猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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アメフト野郎!by航太郎(4)
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    岡山大学アメフト部 BADGERS#7 矢野航太郎

     

    前回までのあらすじ

    アメフト野郎(1)

    アメフト野郎(2)

    アメフト野郎(3)

     

    ■和歌山大学戦 つづき

    岡山21-28和歌山 BADGERSの7点ビハインド。

    残り時間5分強。

    4thダウン、ギャンブルを選択しランプレーで攻撃権更新。

    またしても4thダウン、パスでフレッシュ獲得。

    攻撃権を更新できなければ負けがほぼ決まる状況で、つまり2部昇格への道が絶たれる状況で、二度も立て続けにギャンブルを成功させた。執念といか言い様がない。

    いつ途切れても不思議ではない幸運の連続だった。

     

    ここまで前進できたのはQB沖西の活躍が大きかった。

    ランニングバック陣が脳震盪や骨折で試合に出場できない中、ランでボールを前に運べるのはQBしかいなかった。

    勝負どころで人一倍の負けん気が存分に発揮された。タックルに来た相手ディフェンスをグラウンドに叩きつけ、グイグイ前進してく。

     

    沖西は1部でもやっていけるポテンシャルを持っている、と、あるコーチは言う。誰もが認めるスーパーアスリートだ。頭でイメージしたことをいとも簡単にやってのけ、周りを驚嘆させる。負けず嫌いでメンタルも強い。この瞬間、2年生ながら間違いなくチームを鼓舞し、奮い立たせていた。

     

    しかし、沖西が一人でチームを動かしていたのでは決してない。けが人も、試合に出られない選手も、サイドラインから声を張り上げてフィールド上のプレーヤーの背中を押していた。

     

    例えば、昨シーズン2年生の石川晋伍、

    ごちん。広島出身、沖西と同じ国泰寺高校野球部。カープの大ファンで練習後、一目散にカープの試合結果を確認する。肩の脱臼に苦しみ、長くリハビリ生活を続けてきた。面白いとは言いがたい一発ギャグのレパートリーが豊富でチームのムードメーカーだ。ウォーミングアップの時の声出しは毎日ごちんから始まる。この日も緊迫した雰囲気に委縮することなく声を出し続けていた。

     

    次に当時1年生の玉井慎吾、玉ちゃん。

    体のパーツすべてが丸い。千と千尋の神隠しに登場する緑のだるまの様な体型をしている。沖西にしばしば乳首を摘まれて悶絶しているのが微笑ましく、誰からも愛されるキャラだ。1年生でフィールドに立つ事は出来ないが、よく通る声を目いっぱい張り上げていた。

     

    逆転勝利、入れ替え戦決定戦、入れ替え戦、来年の二部での勝利と続いていく道を信じて、コーチ、マネージャー、選手含めてBADEGSR相手と全身でぶつかっていた。

     

    「自分らで考えて、追い込んで、ついにここまで来た。俺らのほうが努力量は勝っとる。俺らが負けるはずがない。」キャプテンの試合前のモチベーショントークが蘇ってきた。

    沖西が繋いできた攻撃権を途絶えさせる訳にはいかない。逆転以外ない。

     

    この攻撃シリーズで逆転するには8点が必要だ。

    タッチダウンの6点とキックの1点では同点止まりで、タッチダウン後にゴール前3ヤードから攻撃で2ポイントコンバージョンを成功させて合計8点取るしかない。

     

    冷静に考えて、逆転するのは非常に難しい。

    NFLでは統計上、100本タッチダウンを取ったとしたら、トライフォーポイントの内85〜90がキックで、残りの10〜15が2ポイントが行われるとされている。さらに2ポイントコンバージョンが成功する確率は50%弱。

     

    ゴール前3ヤードからのオフェンス、1stダウン。

    だがランプレーで3本止められた。

    ゴール前1ヤードから、この攻撃シリーズ3度目の4thダウンギャンブル。

    ここで点が取れなければ、残り時間を考えても岡大に攻撃権が返ってくるかわからない。返ってきたとしてもけが人も多く、満身創痍の状態で得点できるかは不確実。

     

    仕留めるのは今だ。

    ゴール前1ヤードはエンドゾーンがすぐそこに見えているのにディフェンスが中央を固めるため、見た目の距離感以上に壁をこじ開けるのは難しい。

    ここで岡大タイムアウト。

    サイドラインと、どのプレーでタッチダウンを取るか最後の決断を下した。

    選手もコーチも頭にあるのは一つ。

    シーズン中、いつか窮地に追い込まれた時のために温存してきたプレー。

    このプレーが成功すれば6点追加で1点差まで追い上げれる。

     

    ボールを受けた。

    前に体を伸ばすだけ。

    だが、ディフェンスのスタートもよく、上も前も塞がった。

     

    体が咄嗟に回転した。

    倒れこんだ先はエンドゾーンの中。

    何がどうなったのかはわからないが、とにかく自分はエンドゾーンの中にいる。

    タッチダウンだ。

    やった、タッチダウンだ。

    可能性が見えてきた。

    岡大27−28和歌山 BADGERS1点ビハインド。

     

    あと1点。

    PAT(Point After Touchdown)で狙うはもちろん、2ポイントコンバージョン。

    同点にしても次の攻撃シリーズで得点できる力は残っていない。

    逆転するには勢いがある今しかない。

     

    コールされたのはシーズンで初めて使うプレー。

    パスプレーだが、投げられる状況に無ければ、自らエンドゾーンまで走ることもできる。

    単純なプレーだが使う局面は必ずシビアだから、飽きるほど、何度も反復してきた。

     

    Ready set hut!!

    ボールがスナップされた。

    右にロール。

    けが人の影響でランニングバックの位置には初めてこのプレーを合わせる選手が入っていて、上手く合わない。レシーバーはカバーされていて投げられない。

    ランだ。

    僕はボールを持ち替えた。

    ボールは僕の腕の中にある。観衆の視線もいま、僕が抱えている物体にある。

    僕はボールを、いつもより強く抱きしめた。

    空襲で乳飲み子を抱えて猛火から逃げる母親みたいに、ボールを抱えた。

    このまま走りきれば2点。大逆転だ。

     

    下から手が伸びてきた。

    俺に触るんじゃねぇ。なんとかかわした。

    視線の先に赤いユニフォームが良いブロックで相手を抑えているのが見えた。

    俺が走るコースはあの背中だ。

    間に合ってくれ。とにかく我武者羅に走った。

    そして。

    エンドゾーンまでたどり着いた。

    タッチダァーーンッ!!

     

    漂流中に有人島に上陸できたような、絶望の淵から生を実感したような気分だった。

     

    岡山 29−28 和歌山 BADGERS1点リード 残り時間4分22秒。

     

    俺がやった。

    俺が決めたんだ。

     

    アメフトの神様がいるとすれば来年は絶対に2部で勝負しろよというBADGERSへのメッセージだったかもしれないし、BADGERS39年の歴史に力が宿るとすれば、それの全てがボールを抱えていたに違いない。

     

    だが試合はまだ4分半残っている。

    和歌山としては逆転するのに十分な時間だ。

    タッチダウンの興奮が冷めないうちに、キックオフに向かった。

    少しでも時間を消費し、少しでも敵陣深くボールを止めるために、相手にリターンさせないことが大事なキック。

    ゴロのボールを蹴った。

    リターナーの手元からすり抜け、点々と転がった。

    狙い通り相手にリターンさせなかった。

    やはり今日のBADGERSは勝負強い。

    気は抜けないが勝てる気がした。

     

    サイドラインに帰り、オフェンスコーディネーターと抱き合った。

    普段冷静なコーチのガッツポーズが見えて、タッチダウンと同じぐらい嬉しかった。

    キッキングコーディネーターとも抱き合った。

    二人とも泣きそうだった。

    つられて僕も泣きそうになった。

     

    だが泣くのはまだ早い。

    泣くのは時計が0:00になってからだ。

     

    ディフェンスを信じて、ボールを目でおった。

    ジリジリと前進されたが、ファンブルフォースからのリカバーで攻撃権を取り返した。最後の最後にディフェンスでもビッグプレーが生まれた。

     

    残り時間を消費し、時計が0を示した。

    BADGERSは勝った。

    選手たちは泣いていた。

     

    岡大BADGERS 29−28 和歌山大 BLIND SHARKS

    1点に泣いた天理戦から1点に歓喜した和歌山戦。BADGERSが見せた成長劇だった。

    2部昇格まであと2勝。

     

     

    ■入れ替え戦出場校決定戦、vs大阪芸術大学VIPERS

    和歌山大学戦後、満足感が体を覆い、燃え尽き症候群のような感覚に襲われた。

    激闘の末手にした勝利。これ以上何もいらない気分だった。

    これまでずっと彼女のいなかった男子が大学生になって人生で初めて彼女ができた時のような気分だ。

    だが、まだ戦いは終わっていない。

    2部昇格まで2勝。

     

    エキスポフラッシュフィールドで試合がある時は、朝7時過ぎに岡山駅を出発する。姫路で乗り換え、新快速で大阪まで行って、普通に乗り換え茨木まで。茨木駅からはタクシーでフィールドまで移動する。

    朝はおにぎりとパンで糖を補給し、活動するエネルギーを摂取する。電車の中では100%のグレーピプフルーツジュースを飲む。試合会場に到着後、第1試合を見ながらコンビニで買ったみたらし団子を3本食べる。

    これが僕の試合の日のルーティンだ。

     

    1クオーター残り7分、4thダウンでフレッシュまで3ヤードほど残った。

    26ヤード地点。

    43ヤードのFGトライ。

    僕のキックの出番だ。

     

    タッチダウンは取れなくても緊迫した試合では先制点が大事。

    敵の戦意を多少なりともそぎ落とせる。

    失うものがないチーム、しかも関西人が多く、乗らせると怖い。

     

    初戦の大阪工業大学戦では48ヤードのFGがショートして失敗していたが、5ヤード前のこの地点なら自信があった。練習でも成功する確率が高い距離だ。

    キックで先制して、楽にゲームを進めたい。

    タン、タッ、踏み込んで、振りぬく。

    いつものリズムでボールを蹴った。

    弾道が少し低かったが、ボールはポールの間を突き破った。

    BADGERS 3−0 VIPERS

    知り合いの方が、敵スタンドで観戦した試合は負けないというジンクスを守り、大芸側のスタンドにいたらしいが、それまでの関西ノリの明るさが、このFGを機に消えたそうだ。

     

    4年生は負ければ最後の試合。大阪芸術大学には試合中笑顔も見え楽しそうにアメフトをしている印象を受けた。そんなチームから戦意を少しでも削ることができたなら、キックの効果は3点以上に大きい。

    モチベーションをいかに維持するかが難しい試合だったが、BADGERSはその後も得点を重ね、結局29−7で勝利した。

     

    岡大BADGERS 29−7 大阪芸術大学VIPERS

    入れ替え戦出場権を勝ち取った。

    2部昇格まであと1勝。

     

    ■入れ替え戦 vs大阪学院大学PHOENIX

    この試合に勝てば2年ぶりの2部昇格。

     

    バジャーズはこれまで大阪学院大学に勝ったことがなかった。

    大阪学院は、2部で優勝し1部との入れ替え戦に出場したこともある強豪。3部に降格したことはなく、入れ替え戦にかけるモチベーションも高いはずだ。2015シーズンこそ2部で最下位に沈んだが、シーズンが深まるに連れて確実にチームを完成させてくる。

     

    12月12日11:00キックオフ。晴れ。

    始まってみると人数の差は明らかに得点に現れた。大阪学院はオフェンス、ディフェンス、キッキング全て全力でできないので、どこかで手を抜く瞬間が来る。実際に相手は疲弊していた。試合前にはもう、シーズン中に負った怪我で主力選手が出場できない状態になっていた。

     

    第4クオーター残り10秒、BADGERSサイドのスタンドからカウントダウンの

    声が聞こえてきた。5,4,3,2,1,0。

    フィールドでは大きなビクトリーフラワーが咲いた。

     

    終わってみるとBADGERSの圧勝だった。

    岡大BADGERS 42−13 大阪学院PHOENIX

     

    2部昇格。

     

    和歌山大学戦後は泣いていたが、この時は泣いている人が少なかった。

    やりきった清々しさと、2部で勝ってこそこのチームの目標が果たされる自覚、責任、やっちゃらーという来季への意気込みが表情から見て取れた。引き締まったかっこいい表情だった。

     

     

    ■アメリカアナグマ、ハンディを乗り越え、その先へ

    BADGERSは2004年以来2部で勝利していない。2部には昇格できるものの、リーグ戦で全敗し、3部との入れ替え戦に回り3部に降格するというシナリオが常であった。その間、新入生の勧誘に苦労し、部員数が少ない時期もあった。

    そこで、3年前から特に新入生の勧誘とサイズアップの2点において取り組み方法を見直し、ここ3年はプレーヤー20人以上の入部を達成し、サイズにおいても2部の平均に達した。

    今年は戦力的にも充実、オフェンスのエースと呼ばれるQBには沖西、WRに高森、RBに中、土井田と活きのいい3年生が揃い、それを生かすOLにも経験のあるプレーヤーがいる。

    ディフェンスにはDL窪田、LB山本、SF松川と要所に強力な選手がいる。

    今シーズン2部での勝利を達成し2部に残留すれば、2部上位定着、1部昇格というBADGERSの長期目標も現実的になってくる。

     

    しかしBADGERSの下馬評は低い。

    関西連盟の多くの人が岡大は3部との入れ替え戦に回ると予想しているそうで、また2chの関西学生アメフトのスレでも岡山大学は最下位と予想差されている。

    BADGERSは今年創部40周年を記念してユニフォームを一新した。赤から青へと大幅な変更だ。新ユニフォームに身を包み、関西の連中を驚愕させる所存である。

     

    全てはBADGERSのスローガンであるこの一言に集約される。

    何があっても這い上がる。挑戦を続ける。

    Challenge on!!

     

     

     

     

    | uniqueな塾生の話 | 16:01 | - | - | ↑PAGE TOP
    アメフト野郎!by航太郎(3)
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      ■NFLはすべてが桁外れ
       
      イギリス留学中、ロンドンへアメフト観戦に出かけた。
      年に3回、ロンドンでもNFLの公式戦が行われる。
      ロンドン中心部から少し北にはずれたWembley Stadiumに到着した。
      イングランドサッカーの聖地であるが、この日はNFLのお祭り模様。地下鉄で僕のお気に入りチームのジャージを着ている人をたくさん見かけた。
       
      スタジアム外で行われているイベントには目もくれず、スタジアムに入った。
      エスカレーターで5階席まで上がり腰掛けた。グラウンドではスペシャルチームの選手たちがウォーミングアップをしていた。
       
      突然、目の前を何かが通り過ぎる。
      鳥かな? 
      鳥ではない。
      すぐに正体がわかった。
      パンターが蹴りあげたボールだった。
       
      ボールは5階席の僕の目線まで上がったあと、見事な放物線を描いて、選手が豆粒のように見えるグラウンドの谷底へと消えていった。
      NFLのパンターはとんでもなく高いボールを蹴るのは知っていたが、生で見て驚愕した。
      相手のプレッシャーも試合の緊張感もないリラックスした状態だと、ボールを自由自在に操れるらしい。どのように蹴ったら、こんな高さを出せるのか理解できなかった。
      この高いパントを見られただけでも、それなりの値段がしたチケット代を回収できたなと思った。
       
      ところで、僕がアメリカンフットボールというスポーツを最初に意識したのは高校生の時だった。同級生のサッカー部のキャプテンがNFLの大ファンで、シーズンが始まると毎日アメフトの話をしてくる。何がそんなに面白いのかを聞いても、百聞は一見に如かずだと、まずは試合の映像を見てみろと言われるだけだった。
       
      その頃はサッカーに一途だったので、半信半疑のまま、テレビでNFLの試合を見た。すぐに人間離れしたプレーに圧倒された。
      人を殺しに行くようなタックル、50ヤード以上のロングパス、腕の太さ、首の太さ、足の速さ、何もかもが人間離れししていて、
      「なんだ、このスポーツは!」
      と感じた。
       
      まず、運動神経が凄い。
      相手に触れること無く左右に揺さぶるだけでディフェンスを地面に倒すステップ。地上戦が拮抗したと感じたら、派手な空中戦。QBは弾丸のようなボールを正確なコントロールでディフェンスの間を通し、レシーバーに届ける。レシーバーは垂直跳び1mの身体能力を活かしてディフェンスの頭の上でキャッチする。
       
      スピードが凄い。
      身長2m体重100kgの選手が陸上短距離のスプリンターと同じくらいのスピードで走り、後ろから飛んで来る楕円の球をキャッチした瞬間、ディフェンスがキャッチした選手めがけて猛スピードでタックルをかます。その衝撃は車同士の交通事故にも匹敵するとも言われている。
       
      体格が凄い。
      身長2m体重140kgの選手がフィールド中央でぶつかり合う。ラインマン同士のぶつかり合いは、一つの土俵の中で5人対4〜7人の選手が作戦に基づいてチーム戦で相撲を取っているようなものだ。元横綱・武蔵丸も学生時代アメフトに青春を燃やした。アメリカのプロレスラーにはNFLに入ったものの怪我で試合に出場できず、数年で引退しプロレスに転向した人が多いそうだ。
       
      プレーも凄いがスタジアムも凄い。
      収容人数が多く、ビジョンがやたらとデカい。外から見るとスタジアムだとは思えない近代的な建造物のものも多い。
      僕が好きなスタジアムは、グリーンベイ・パッカーズのホームスタジアムであるランボー・フィールドだ。8万人以上収容できる巨大なスタジアムで、典型的なボウル型がシンプルで美しい。この形が好きすぎて、スタジアムの画像を検索して眺めながら何時間でも楽しめる。
      パッカーズはウィスコンシン州、ミシガン湖の北東部に位置する港町、グリーンベイを本拠地とする。NFLのシーズンは9月から翌年2月ころまでなので、冬は極寒の中で試合を行うが、どんなに寒くてもスタジアムを埋め尽くすファンのチーム愛は無尽蔵だし、冬にきれいに芝生を手入れするグラウンドキーパーの努力は計り知れない。

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      ランボー・フィールド
       
      またパッカーズと同地区で争うミネソタ・バイキングスは新スタジアム”US Bank Stadium”の完成が間近だ。
      近代的な外観で、屋内スタジアムながら、太陽光をふんだんに採光できるようにしてある。シートはチームカラーの紫で、スコアボードも超巨大だ。
      バイキングスには東京ドームのようなドーム球場があったのだが、数年前の大雪の際に、積もった雪の重みで屋根が潰れてしまった。修繕はしたものの、それを機に新スタジアムを建設する計画がスタートした。
      ミネアポリスは寒く、12月にはマイナス10度で試合をすることも珍しくない。選手は白い息を吐き、観客は目出し帽を被っている。
      このスタジアムではQBのミススローやキッカーが短い距離のキックを失敗することがあったのだが、僕は寒さも少しは影響していると考えている。これからは最新の空調設備が整った屋内スタジアムが完成するので、より質の高い試合が見られるのではないかと期待している。

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      US Bank Stadium
       
      スタジアムに響くのは、熱狂的ファンの声援である。
      「クラウドノイズ」をご存知だろうか?
      アメフトでは作戦の伝達は確実に行わなくてはいけない。1つのサインを聞けば11人全員が自分の役割を把握できるようになっているため、聴き逃したり、聞き間違えたりするとプレーが成立しない。
      クラウドノイズとは、敵チームの攻撃の際にプレーコールの伝達がしにくくなるように観客が大声を張り上げることだ。クラウドノイズでアウェイチームのオフェンスは混乱するため、観客の発するクラウドノイズは12人目のディフェンスと呼ばれている。
      人工的にスピーカーで音を発したり、ブブゼラのような楽器を使ったりすることは禁止されている。NFLにはクラウドノイズの大きさを競ったギネス記録があり、シアトル・シーホークスとカンザスシティー・チーフスがNFL一うるさいスタジアムの称号を巡って争っている。
      チーフスは142.2デシベルを記録した。これはジェットエンジンが間近で回っているほどの騒音だという。耳がおかしくなりそうだが、一度経験してみたい。
       
      高校時代からNFLに関してはある程度知識があったが、サッカーしかやったことのない僕が、まさか大学でアメフトをプレーするとはその時は考えもしなかった。


       
      岡大アメフト部・秋シーズン開幕
       
      僕は英国留学中もアメフト部に入部し、イギリス人とアメフトをした。 
      イギリス人はプレー中に、良くも悪くも1プレー1プレーに一喜一憂する。ともすれば泣きそうになる時もある。
      NFLやアメリカのカレッジフットボールの試合を見ていても、感情の出し方は激しい。
      良いプレーをした選手に対しては手荒く祝福し、パスをインターセプトされたりすると怒り悲しむ。相手のラフプレーに対しては、チーム全員が声を荒げる。タッチダウンしたり、QBサックをしたりしたあとは、ダンスなど独特の動きで事自己をアピールする。
       
      一方で、帰国して初めてスタンドから観戦したBADGERSの試合では、淡々とプレーしていて、冷静さを通り越して淡白な印象を受けた。その時、BADGERSをサイドラインが“うるさい”チームにしたいと思った。
       
      2016年9月、僕にとって2回目の関西リーグが幕を開けた。
       
      2015年現在関西学生リーグ1部は立命館大学、関西学院大学、関西大学、京都大学など8校で、2部はA ブロックとBブロックそれぞれ6チームの12チーム、3部はAからDまでそれぞれ6チームの24チームが所属している。
      上位グループの最下位と下位グループの1位が入れ替え戦を行い、下から二番目の大学が下位グループの2位と入れ替え戦を闘うシステムになっている。上位校が勝てば残留、下位チームが勝てば入れ替わりが起こる。
       
      2015シーズン、バジャーズは3部で戦った。
      目標は2部昇格である。
      岡大BADGERSが属する3部Bブロックは、天理大学、大阪経済大学、大阪市立大学、大阪工業大学、和歌山大学、岡山大学という組み合わせになった。


       
      下馬評は次の通り。
      圧倒的な攻撃力をもつ天理大学、
      一人ひとりの体が大きい大阪経済大学、
      ランパスのバランスが良く、岡山大学と同じようなチームの和歌山大学、
      この3チームが優位に立ち、その中でも天理大学か和歌山大学が抜けそうだというのが、シーズン前、関係者の予想だった。
      わが岡大は天理、和歌山に次ぐ3番手か、攻撃次第では優勝争いに絡むという評判だった。下馬評は必ずしも良くない。2部昇格するには、大阪工業大学と大阪市立大学戦での取りこぼしは絶対にやってはいけない。
       
      2015シーズンのBADGERSの目標は、2部昇格だけにとどまらず、2016シーズンに2部で勝つチームを作ること。
      現状としてBADGERSは毎年2部と3部の入れ替え戦に出場していて、その殆どで入れ替わっている。
      3部では王様だが、2部では勝てないエスカレーター状態から脱出したい。


       


      第1節 vs大阪工業大学
       〜オフェンスが本調子には遠い〜
       
      シーズン初戦vs大阪工業大学ROWDIES
      どんなスポーツでも、プロ・アマチュア関係なくリーグ戦の初戦は難しいというが、それを実感した試合だった。
      大阪工業大学は学生スタッフがおらず、選手の人数も少ない。体のサイズやプレーのスピードでも勝っている。
      言い方は失礼かもしれないが、格下相手に大差で勝たないといけないという不要な使命感や、プレッシャー、気合が空回りした試合だった。
      特にオフェンスの動きが固く、リズムに乗れないまま1本のタッチダウンを取っただけで前半を終了した。前半終了時点で岡山大7-0大工大。
      まずい。
      だが、ハーフタイムの修正を経てなんとか後半立て直し相手を突き放した。
      なんとか勝てた。
      ディフェンス陣の奮闘で勝てた試合だった。
      オフェンス陣にとっては、今日よりも強いディフェンスに対して前進し得点を重ねることができるのか、パスを決めることができるのかなど、2節以降に不安を残す結果となった。
       

      第1節 岡大 23−7大工大

       


      岡大アメフト部・ディフェンス陣紹介
       
      大工大戦で相手の得点を死守した、そして2016シーズンのキーとなりそうな岡大のディフェンスから3人、紹介しよう。
       
      まず、2年生DL#52西谷俊輝。
      DLはアイシールド21の栗田がディフェンスの時やっているポジションだ。
      西谷は目が大きく顔立ちがはっきりしているので、先日、大学の講義で本当に留学生に間違われたそうだ。ラグビーサモア代表にいそうな面構えだ。
      入部当初から筋肉の鎧を身にまとっていたが、1年間のトレーニングで169cmながら105kgまで体重が増えた。
      トレーニング棟でベンチプレスをするときに100kgのバーベルでウォーミングアップをしているのには一緒にトレーニングをして下さっているOBさんも感心していた。体の全てが太く、雪山を転がしたら綺麗な雪だるまになりそうな体型だ。
      体重100kg越えといっても、世間が想像するような脂肪たっぷりのプヨンプヨンな体ではなく、引き締まった100kgなので短距離を走らせても速い。また後背筋が大きいので直立した時に腕が閉じない。さらに僧帽筋が発達しているのと首が太いのとで、首が無いように見えるのはまさにラグビー選手のようだ。
      物怖じせずぶつかっていける性格はディフェンスにもってこいで、天性の低さも兼ね備えている。低いと相手の下に潜り込めるのでぶつかったときに相手をあおりやすい。
      今シーズンはアメフト野郎(2)で登場した窪田とともに相手オフェンスを破壊することが期待される。
       
      LB#47山本晃己は今年のディフェンスリーダー。アイシールドで言うと王城ホワイトナイツの進清十郎。
      山本は多くの幕末の志士たちを産んだ山口の萩出身。高校時代は柔道部で、いかつい体と顔をしているのとは裏腹にいじられ役で、後輩からもからかわれる。
      いつもご飯を作ってくれる彼女がほしいと叫んでいるが、米の上に人参を一本丸ごと置いてそのまま炊飯した写真をツイートした時には流石に心配にもなった。たいていのいじりには笑って受け入れる山本だが、唯一、髪の毛を触ると怒る。ちりちりなのを気にしているらしく、少しでも触ると襲いかかってきそうな目をするから怖くなってやめる。
      山本は今年ディフェンスリーダーに就任した。今は負傷中でリハビリしているが、シーズンにはピークを持ってくるに違いない。
      柔道部出身の山本は入部当初、足も遅くボールを扱うのが苦手で苦労していたが、文字通り雨の日もラントレをした日も毎日ひたすら走り続けた。もともと柔道で鍛えた筋肉隆々の肉体だったが、弛まぬトレーニングで筋肉が何倍にも膨れ上がった。
      激しいタックルで相手オフェンスを跳ね返してほしい。そしてチームが苦しい時、重い空気をブレイクするプレーを見せてくれるはずだ。
       
      最後に2年生DB#17戸田和真。
      子犬のような顔をしていて、いかにも女子からモテそうな雰囲気がある。野球部出身で先輩にいじられるが、それを楽しそうに受け入れる。厳しい野球部で鍛えられてきたんだということが伺える。
      僕が彼に活躍してほしい理由が一つある。それは、彼が僕と同じでアトピーを持っているということだ。彼がたまに痒そうにしているのを見ると辛そうだなと思うが、彼は笑顔でそれを弾き飛ばし痒みになんか負けない強い意志を持っている。
      1年間で10kg以上体重を増やし、2部で戦える体にはなった。BADGERSのCBの中では身長があり、また跳躍力もあるのでレシーバーとの競り合いにも負けない。ただ今はまだ恐る恐るプレーしている時があるので、相手を怖がらずに思いっきりよく楽しんでディフェンスしてもらいたい。ミスっても上回生がカバーするから。


       
      アトピー・アレルギーでもアメフトはできる
       
      アトピーだが、僕や戸田のように重度のアトピーの人がアメフトをするのは正直辛い。
      アメフトではヘルメットを被り、ショルダーパッドを装着する。激しい運動で大量に汗をかくが、防具をつけているので外に蒸発せず蒸れる。すると肌が猛烈に痒くなる時がある。しかし防具をつけているのでかけない。結果、痒いままイライラして集中できなくなる。
      雨の日に練習すると練習後、激しい痒みが襲ってくる。濡れた肌が乾き始めた時の痒みは簡単には治まらない。
      アトピーはすぐに完治するものではない。上手く付き合っていかなくてはいけない。その方法として、僕は練習中やアフター練習に入る前は必ず、その他にも頻繁に顔や首を水で流すようにしている。練習後はすぐに洗えるところは洗い、保湿のローションを塗る。更衣室のシャワーは水しか出ないので冬場はシャワーできないが、夏場は頭から水を被る。土のグラウンドで練習しているので、練習後何もしないと砂とホコリと汗で何重にも痒い。
      ただアトピーが悪化しそうだからといってアメフトを諦める必要もない。他のスポーツよりも肌への負担は大きいかもしれないが、対策は十分に取れるし実際にアトピーと上手く付き合いながら活躍している学生もいる。
       
      アトピーではないが、アレルギーを持っているNFLの選手がいる。ニューオリンズ・セインツのQBドリュー・ブリーズだ。彼はグルテン、牛乳、卵などの食物アレルギーがあり、食事制限をしている。因果関係があるかは不明だが、身長もNFLのQBとしては低身長の183cmだ。そのせいで地元のアメフト強豪校に進学できず、NFLのドラフト順位も下げられた。
      僕も食物アレルギーを持っている。だからブリーズが活躍すると勇気をもらえる。一度フェイスブックのページにメッセージを送ったことがある。(案の定、返信は来なかったが…)


       


      第2節 vs天理大学 CRUSING ORCS
       〜3部の強豪・天理大学との一戦〜
       
      2戦目にして山場を迎える。
      天理大学は2014シーズン、ある不祥事で主力選手が公式戦に出場できなかった影響で3部5位に甘んじていたが、2015シーズンは1部でもスターターを張れるレベルのエースレシーバー#88を擁し、圧倒的な攻撃力を誇るチームにのし上がってきた。前評判でも3部Bブロック優勝候補の最右翼だった。
       
      この試合、BADGERSに有利にはたらく要素がひとつある。9月23日秋分の日は毎シーズン決まって岡山でのホームゲームが開催されることだ。
      スタジアムは普段練習している大学のグラウンドから自転車で5分もかからない近距離にあり、試合前に岡山から大阪までの電車移動をしなくていい唯一の公式戦だ。
      J2のファジアーノ岡山がホームスタジアムとして使用する1万5千人以上収容する立派なスタンドがあり、天然芝も手入れが行き届いていて美しい。
      大学の友だちや他の体育会の学生、近隣に住まうOBさん、保護者が普段よりも多く応援に駆けつけてくれるので自然と気合も入る。
      そして応援団とチアが来てくれる唯一の公式戦でもある。スタジアムの屋根に反響して一層大きく聞こえる応援団の勇ましい声と、チアのダンスがスタンドの応援をリードし盛り上げてくれる。
       
      岡山大学応援団といえば団長の角谷謙斗さんが有名だ。同じ尾道北高校出身で、会うと気さくに声をかけてくださる。応援団の団長といえば堅気で孤高な存在というイメージアがあり、角谷さんも例外なく学ラン姿に角刈りで、眼力があり怖い人に見えるが、演舞の時以外はいつも笑顔でとてもフレンドリーだ。角谷さんはバイク好きで、熱烈なNHKの朝ドラとカープファン、お酒も好きな団長だ。
       
      14:00 キックオフ。晴れ。
      夏の太陽が照りつけている。



      岡山 シティライツスタジアム

       
      投げるQBと受けるWRは以心伝心
       
      天理戦、BADGERSが先制する。QB沖西からWR福井へのロングパス。
      QBが投げWRがキャッチする空中戦はアメフトの醍醐味だ。
       
      BADGERSのスタートQBは#2沖西将弥。
      180cm80kg、広島国泰寺高校野球部出身。
      髪を茶色く染め、女の子と会う時はワックスとスプレーで丁寧に髪をセットしてくるイケメンだ。
      祖父がボディービルダーでジムを経営しているといい、その影響か筋肉が大きい。上腕三頭筋が特に発達していて腕が太い。頭でイメージしたことをその通りにできる、生まれながらのアスリートで、1部で活躍する能力があるとコーチに言わしめた逸材だ。
      自分がヒーローだと信じて疑わず、負けん気の強さはだれにも負けない。だが、シャイで繊細な一面もあり、かわいげがある。
       
      昨シーズンのエースレシーバーはWR#11福井頌平。レシーバーとしては身長も高くないし、スピードもずば抜けてはいない。
      福ドンさんはフィジカルに自分の生きる道を見出した。ハードなウエイトトレーニングで男も惚れる肉体を手に入れた。派手さはないが堅実なキャッチングとブロッキングで信頼感は抜群。福ドンさんならどんなボールでもキャッチしてくれそうなワクワク感がある。
       
      この2人はチームで最初にグラウンドに現れ、最後までグラウンドに残ってパスを合わせていた。
      パスコースは前に何ヤード走ってこのタイミングで内に何ヤード入ってくる、というように正確に決められているが、試合では相手の激しいプレッシャーもあるので、少なからずズレは生じる。
      だから、ディフェンスの動きを想定しそれぞれで、言葉を交わさずとも考えが一致するまでに繰り返す。
      阿吽の呼吸だ。
       
      天理戦、沖西から放たれたボールは放物線を描きながらエンドゾーンへと飛んで行く。落下地点は文句なし。
      だがディフェンスも良くマークしている。
      ジャンプ一番、競り合った。
      赤のジャージに身を包んだ#11福井が相手の背後から手を伸ばし、ボールを包みこんだ。片手でのスーパーキャッチ。
      #11はスッと立ち上がり、ボールを天に突き上げた。
       
      BADGERS 7−0 ORCS
      BADGERSが幸先よく先制点をあげた。


       
      アメフトのキックで五郎丸ポーズは不可能
       
      だが、天理も負けてはいない。
      図抜けた力量を持つエースレシーバー#88へのパスが決まり、キャッチした後も岡大のディフェンスをひらひらと抜き去り前進していく。
      タッチダウン。
      あっという間に追いつかれた。
      BADGERS 7-7 ORCS
      その後も天理が#88へのパスで猛攻を仕掛けてきたが、ディフェンスが要所要所で相手を封じ、前半は7-7のまま終了した。
       
      後半、BADGERSに勝ち越しのチャンスが巡ってくる。
      第3Q、ゴール前7ヤードまでオフェンスが前進したところで4thダウンを迎える。
      タッチダウンとボーナスキックで7点追加したいところだが、ギャンブルに失敗して0点に終わるよりも、確実に3点を追加しようと言うのが岡大サイドラインの判断だった。
      ディフェンスが強く、拮抗した試合展開の場合、3点でもリードしていたほうが精神的に余裕も生まれる。
       
      アメフトとラグビーのキックは違う。
      ラグビーのキックは止まったボールを蹴る。だがアメフトのFGの場合、スナッパーがボールをスナップし、ホルダーがキャッチしたボールを地面に立てる、立てられたボールをキッカーが蹴る。
      ボールがスナップされた瞬間、キックされたボールをブロックしようと、ディフェンスの選手がイノシシのようにキッカーめがけて突進してくる。
      ラグビーはルーティンをこなし、じっくり蹴れる。だがアメフトは瞬間的に蹴らねばならない。
      アメフトのキックは、五郎丸ポーズをやっている暇なんかないのだ。
      おまけに、スナップが乱れたり、ホルダーがボールを立て損ねたりするとキックすらできない。
      したがって、スナッパー、ホルダー、キッカーは目隠ししてでもタイミングが合うぐらい息があっていないといけない。
      ラグビーのキックは個人技、アメフトのFGは団体戦なのだ。


       
      僕が決めた公式戦初のタッチダウン
       
      7-7の同点。僕のキックで3点を狙う。
      前の大工大戦でホルダーの沖西にホールドミスがあったので、助走を測る前に声をかけた。彼はお調子者で人一倍負けず嫌いだが、繊細で、おそらく前回の失敗からナーバスになっていると感じた。
      僕は言った。
      「リラックスして置けば良い。立っとるボールなら全部蹴るけ」

      静寂がスタジアムを包み込む。
      ボールがスナップされた。低く速いナイススナップ。
      ホルダー、お手玉。
      くそっ。
      ボールが転がる。
      ピンチ。
      だが、まだプレーは終わってはいない。
      キックは失敗でも、こぼれたボールを抱えてエンドゾーンまで持ち込めばタッチダウンだ。
      僕は咄嗟にボールを拾い上げ、腕に抱えた。
      相手が正面にきた。
      カットを切る。
      だが次の瞬間、右下から地獄へ道連れにしようと僕の足を引きずりこむような手が伸びてくる。
      ギリギリ足にかからない。
      前が開けた。
      僕はエンドゾーン左端を駆け抜けた。
      タッチダァーーーーン。
      6点追加!
       
      走っている時は何も聞こえなかったが、エンドゾーンからスタンドを見た時初めて、歓声とチアバルーンのバチバチ鳴る音が聞こえた。
      公式戦で僕が決めた、初めてのタッチダウンに興奮した。
      パスを決めた時や、ランでフレッシュを獲得した時とはまた違った快感が全身を流れた。
      自分が攻撃のドライブを締めくくる。高い山に登頂したような、弾けるような爽快感を味わった。
      BADGERS 13−7 ORCS
      やった。
      優勝候補の天理をリード。


       
      再逆転され敗戦。1点の重みに泣く
       
      だが、浮かれてもいられない。
      すぐにタッチダウン後のトライフォーキックがある。
      サイドライン、スタンドにいたBADGERSお応援する人全てがタッチダウンを喜んでいた。

      そんな中、一人だけ喜べない選手がいた。ホルダー、沖西だ。
      タッチダウンを取れたので結果オーライだが、二試合続けてのホールド失敗は屈辱以外の何物でもない。
      「さっきのは忘れて、これに集中」
      僕は沖西に言った。
      声をかけ、混乱状態を少しでも和らげようとした。
      ホルダーのミスは自分のミス。スナッパー、ホルダー、キッカーは一心同体。
      だが、またしてもホールドできなかった。
      1点取れず。
      13―7のまま。
       
      キックを決められず、14−7にすることができなかった。6点差は相手からすればTD一本とキックで逆転できる点差で、精神的には楽。相手に追加点を許さなければTD1本さえ取れば勝てるということで焦らなくていい。
      アメフトは、キックの1点が意外に重いスポーツ。
      この1点が試合を左右することになるのか。
       
      僕は沖西のホールドミスが、その後、彼のクオーターバッキングに影響を及ぼさないかだけが心配だった。
      繊細な沖西には、天衣無縫にプレイしてほしい。
      彼は『黒子のバスケ』の火神のように、ZONEに入ったら手が付けられないのだ。
      「今のは忘れて、1点なんか関係ないぐらい、タッチダウン取ってこい。」
      僕は沖西に言った。
      「大丈夫ですよ!俺、スーパースターなんで!」
      彼は答えた。
       
      その後、BADGERSは天理のエース#88を止めることができず逆転された。
      タッチダウンの6点とキックの1点、合計7点で13−14。
      試合をひっくり返された。
      悪い予感は当たった。
      1点が重い。 
      FGを蹴れるゾーンまでも遠い。
      わずかな残り時間で逆転をするためにスペシャルプレーを試みたが、結果は失敗。再逆転できずに試合は終わった。
       
      結果的にみるとキック失敗の1点が負けにつながった。
      杞憂は現実になった。 
      13−14。岡大、痛い敗戦。 
      2016シーズン2部で勝つという目標がある以上、残り試合は全て勝ち続けなければならない。
      下を向いている暇はない。


      第2節 岡大 13−14 天理大

       


      第3節、vs大阪市立大学 GOLDEN CEDARS
       〜キックが絶不調〜
       
      1勝1敗で迎えた大阪市立大学戦。
      大阪市立大学も1980年代、岡山大学を追うように1部に昇格したが、最近は3部に定着している。毎年5月に定期戦を行っており、試合後にはレセプションもあるので、選手の中には友だちもいる。
      2015年、春の定期戦では勝っている相手。春から比べるとどちらも成長しているが、BADGERSのほうが伸びたことを証明し、力の差を見せつけたい試合。

      大阪市立大とは怨恨試合だ。 
      実は、春の定期戦で両チームともQBの控えがいなかったため、QBへのタックル無しというルールで試合をした。QBとはそれほど重要なポジションである。だが、試合最終盤にQB沖西がタックルされて肘を脱臼する怪我をさせられた。
      沖西はその後2ヶ月プレーできなかった。
      その怒りを晴らすためにも、秋の市立戦は勝たなくてはいけない。
       
      だが僕は、この試合でキックの不調に悩まされることになる。
      試合はタッチダウンランで岡大が先制。7-0 BADGERSリード。
      幸先のいいスタート。
      第2Q、ゴール前9ヤードから4thダウン。
      岡大はFGトライを選択。
      キッカーである僕の出番だ。
      ハッシュレフト。
      確実に決めて当然の距離。
      キックしたボールは。左のポール上部を通過した。
      中心を通すことはできなかったが、決まったと思った。
      が、審判のシグナルはキック失敗。
      3秒ほどその瞬間の出来事を受け入れられなかった。
       
      岡山BADGERS 7−0 GOLDEN CEDARS 大阪市立
       
      10−0となるところを、点差を広げられなかった。
      サイドラインに帰りながら首をかしげた。
      キックを失敗と判定されたことも納得いかなかったが、それ以上になぜキックを思い描いているよりも左に飛ばしてしまったのか、原因を考えていた。
       
      飛距離を伸ばすことを考えて、キックのバランスが崩れていたのかもしれない。岡山に帰ってから、フォームを見なおそうと考えた。
      しかし試合中にこれ以上キックの失敗に気をとられるのは良くない。
      立て直せ。試合に集中。
       
      キックに神経質になり、気が散漫になりかけないために、イギリスでアメフトをしていた時にムードメイカーが発した言葉を思い出した。
      We are still winning!!
      僕の中で重い空気を一変させる言葉だった。
      悪いシチュエーションでも勝っていることに変わりはない。
      自分で呟き、沈んだ気持ちを切り替えた。
      得点差を広げられないまま前半終了。
      岡大 7−0 市大
      第3Qに7−6まで追い上げられた時は、キックを決めていればもっと楽に試合運びができたのにと思ったが、タッチダウン後の相手のキックを弾いたディフェンスを褒めることだけを考えた。
      We are still winning.
      岡大はタッチダウンを一本追加し、結果的には13-6で勝利した。
       

      第3節 岡大13−6 大阪市立大

       


      キックの修正・Youtube先生との特訓
       
      キックを失敗したときの帰りの電車はとても長い。新大阪から岡山までの3時間、外したシーンだけが頭の中をリピートする。
      気を抜いていたわけではないが、短い距離のFGだったから集中しきれていなかったのかもしれない。外したことのイライラよりも情けなさが勝った。40秒計が進み、焦っていたのかもしれない。だとしたら練習の時の想定が甘かったということになる。
       
      この距離のFGは決めて当然、サッカーのPKと同じようなものだ。決めても祝福はほどほど、外せば不信感につながる。
      キッカーは孤高であり、スコアリングに関わり勝敗を握るので極度のプレッシャーがかかる。一見単純に見えるがさまざまな要素があり、深く深く突き詰めなければならないポジションである。失敗してもあいつなら次も任せられると普段から信頼を得ていることも重要だ。
      今日のキック失敗で、次の試合からほぼ確実なところでないとFGを蹴らせてくれないのではないか。冒険させてくれないのではないか。
      不安に駆られた。
      何もしゃべりたくなかった。
      電車の窓ガラスに頭を打ち付けるようにして寝た。
      チームは勝った。だが僕にとっては負け試合だった。


       
      キックの研究を重ね、試行錯誤した。
      その結果、キックのばらつきを無くすためには助走が大事だとわかった。
      Youtubeを先生に見立て、NFLやアメリカの大学生、日本の大学生のキックを何種類も何回も見た。
      共通点はボールから後ろに3歩、横に2歩、軸足となる側の足を中心に体をホルダー方向に向ける。助走の一歩目は真下に踏み下ろす程度で小さく、残り2歩はリラックスして、インパクトの瞬間に力を入れる。上体は被せずに足を高く振り上げる。
       
      技術面ではこれらを意識して徹底的に反復する。
      しかし、技術だけでは試合の場面でキックする時は、極度の緊張状態になる。登場機会が少ない分、出場する時は必ず成功させなければならない。サッカーのPKのキッカーがそうであるように、周囲も成功するものだと思っているプレッシャーがある。だから練習でも1本目を大事にした。2,3回繰り返して決めるのは当たり前。試合では一発勝負、1本で決めることができるかに重きを置くことで、精神状態もできるだけ試合の状況に近づけた。 
      研究と練習を執拗に重ね、これなら大丈夫だという自分の中にキックの頼れる軸ができたので、プレッシャーにも負けにくくなった。

      僕は反復練習を楽しんでできる性格だ。反復することは退屈だと思われがちだが、僕はそうは思わない。一つ一つのポイントを確認しながら、一回一回何が上手くいったか、思ったようにいかなかったか自分に語りかけながら繰り返す。 
      ある程度習得できたと思ったら、テストをする。
      キックなら正面に立つポールにまっすぐなボールを当てることができるか、50ヤード先にあるバケツに高いボールを上から落として入れることができるか、ゲーム感覚で楽しむ。
      同じ動きをひたすら繰り返していても、意識する部分を変え、自分で撮ったビデオを確認するようにすると刺激が生まれ、退屈だと感じなくなる。そうして同じ型が自分の中にはめ込まれるまで徹底して繰り返した。


       
      第4節、vs大阪経済大学BOMBERS
       
      2勝1敗で迎えた大阪経済大戦。
      大阪経済大学はサイズが大きいチーム。とにかくフィジカルで勝とうという意志が見える。
       
      結果から先に言うと、この試合ではランニングバックを中心に、攻撃陣が爆発した。タッチダウン5本で35得点はバジャーズオフェンス4年ぶりの高得点だった。
      ここまで悩みに悩み抜いていたオフェンスがやっと、暗く湿気た洞窟から抜けだした。

      僕のキックも絶好調だった。 
      僕がスコアリングで登場したのはタッチダウン後のキック5回。
      市大戦後は反省を元に確実性を追い求めた。
      5回蹴って5回成功。
      乗り越えた。
       
      大経戦からはキックを外す気がしなくなった。
      大阪市立大学戦でキックは飛距離やダイナミックな見た目よりも正確性が大事だということに気づいてからの挽回だった。
      キックに迷いが無くなった。
       

      第4節 岡大 35−13 大経大
       
      いよいよ次は、和歌山大学との最終戦。



       
       

      最終節、vs和歌山大学 BLIND SHARKS
       〜入れ替え戦出場を掛けた最終戦〜
       
      岡大、和大ともに天理大学に敗戦し、勝ったほうが入れ替え戦出場校決定戦に進める。
      勝てばいい。負ければシーズン終了。単純明快。
       
      和歌山大学はディフェンスも強いが、攻撃力で勝負してきたチーム。パスとランのバランスが良く高校からアメフトをしているQBがオフェンスを指揮する。岡山大学と和歌山大学は同じ国立大学同士で似た雰囲気がある。
       
      試合開始から点の取り合い。岡大が先行し、和大が追いつく荒れた展開。
      岡大 21−21 和大
      大接戦だ。
       
      ディフェンスが強く、ロースコアの拮抗したゲームは経験してきたが、点取り合戦は経験したことがなかった。
      だが、不安はなかった。チームの雰囲気が最高だった。どんな状況でもサイドラインからチアアップや檄を飛ばす声が出ていたからだ。
      しかし最後になって均衡は敗れた。ここでBADGERS攻撃陣にミスが出てボールをファンブル。相手選手にリカバーされそのままエンドゾーンに持ち込まれた。
      岡大 21−28 和大
      ピンチだ。あとがない。
       
      残すは第4Qの10分。あと10分しかない。
      試合の流れからみて、無得点で攻撃権を渡せば相手に追加点を奪われる可能性もある。
      BADGERSが逆転するには、この攻撃シリーズでTDを取って6点、その後の2ポイントコンバージョンを成功させるしかない。そうすれば29−28と逆転できる。
      だが、RB陣の怪我でランプレーが思うように展開できない状況。
      いよいよBADGERSは窮地に追い込まれた。
       
      しかしこのピンチで、ロンドンで見たNFLの選手が蹴った、スタジアム5階席まで届くボールが、頭をよぎった。
      身体能力では及ばない。が、志の高さだけは、あのボールには負けていない。そう感じた。
      まわりの仲間たちの姿を見た。
      サイドラインの全員が試合にのめり込んでいた。
      イギリスから帰国後、スタンドからBADGERSの試合を観戦した時に見た、サイドラインに立つ選手たちの自信なさげで静かな背中はそこにはなかった。
       
      (つづく)



      アメフト野郎(1)
      アメフト野郎(2)
       

       
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      アメフト野郎!by航太郎 (2)
      0


        第1部はこちら

        第2部 夏合宿と食トレ


        〜同じ釜の飯を食う仲間、深まる信頼〜
         
        白米が白い石に見える食トレ 
        本番の秋シーズンが始まる前、8月の中旬に合宿を行う。8月13日から17日まで4泊5日の日程だ。昨シーズンは岡山鳥取県境にある氷ノ山スキー場に隣接する合宿施設、氷太くんで行った。三日月形の宿泊所が印象的な施設だ。
        標高840mで昼間でも涼しく、暑さは感じなかった。



         
        BADGERSは頭髪に関して規則はないが、僕は関西1部の強豪校に倣って気合を入れるために、頭を坊主にして合宿に臨んだ。 
         
        合宿の主な目的は、共同生活を送り秋の本番に向けて一層チームの結束を強めること、朝から晩まで常にフットボールに没頭しプレーの完成度を高めること、体重が軽い選手は体重を重くすることだ。
         
        合宿での食トレには苦い思い出がある。
        そもそも食トレとは限界を超えて食べ胃を大きくすることで、大きくなった胃に米を詰め込み体重を増やすことである。体重計を持ち込み一回の食事で2キロ増やさないと帰れないというミッションを課されることもある。食トレが上達してくると、つけもの一切れで茶碗一杯の白米を食べられるようになる。
         
        2年前、僕が1年生で初めての合宿の話だ。エネルギー源の炭水化物、特に白米を毎食食べるが、まず同じポジションの先輩と同じテーブルに座る。自分で自分の茶碗に米を盛ることは許されず、必ず先輩に任せなければならない。
        やさしい先輩はふんわりと盛ってくれるが、いたずら心が働いた時はギュッギュと圧縮してしまう。同じ盛り方に見えても、重量があると絶望感に襲われる。満腹になってからがトレーニングだが、その段階になると白米が白い石に見えてくるし、急激に喉を通らなくなる。

        夜は余ったご飯でおにぎりを作り、ミーティング中に食べる。ごはんの時に無理やり詰め込んだのでお腹に空白はないが、無理やりかじる。満腹のまま寝て、朝起きてもお腹いっぱいの状態が続いている。朝ごはんで大盛りの茶碗4杯分、感覚では3合。
        胃袋がぱんぱんに詰まった状態で練習する午前練は地獄だ。寝ている間に腹を切開され石を詰められた狼の気分だ。動く度にお腹だけが遅れてついてくる感覚だ。さらに夏の蒸し暑さが吐き気を増す。

        3日目の午前練、食べ過ぎで気分が悪く、パスを投げた後に胃から米が逆流してきた。慌ててグラウンドの端に行き、溝に吐いた。吐いたら一気に楽になったが、しんどい思いをして詰め込んだ米が全部吸収されずに出てしまったことに無力感しか残らなかった。
        吐くと一時練習ができなくなるし、食事の効果がマイナスになってしまうので度が過ぎた食トレは次の年から無くなった。

         

         
        岡大アメフト部BADGERS注目選手紹介
        ここで、BADGERSの注目選手を紹介しよう。
        まず、新2年生ランニングバックの高松直登#22。アイシールド21でいうと主人公セナのポジションだ。
        ランニングバックはQBからボールを手渡しされ、そのボールを抱え出来るだけ遠くへ運ぶポジションだ。相手エンドゾーンまで駆け抜ければ6点を獲得できる。彼は高い運動能力を持ち、レシーバーとして1年生の時から公式戦に出場していたが、今シーズンランニングバックにコンバートされた。広島国泰寺高校野球部出身で、とにかく返事がよく、愛すべきおバカさん。言われたことを実直に実行しようとする姿勢が清々しく、楽しそうにプレーするのが気持ちいい。
        ランニングプレーが多いBADGERSのオフェンスにおいて、重要なプレーヤーになることは違いない。背番号22が颯爽とフィールドを切り裂く姿を期待していただきたい。
         
        僕の同期の三浦勇輝4年#74はオフェンスラインをしている。アイシールド21で言うと栗田がこのポジションだ。
        アメフト選手の中で最も大きい選手が集まるポジションで、ランプレーの時はランナーの走路をこじ開け、パスプレーの時はクオーターバックを相手でフェンスから守るきわめて重要なポジションだ。オフェンスラインの出来によってオフェンスの出来が左右される。体重が重いといっても派手なタックルをするわけでもないし、決められたブロックを果たすだけなので、縁の下の力持ちという言葉だけでは、その目立たないところで汗をかいている彼らの功績を表現できない。
        三浦は平成25年度入学で一番最初にBADGERS入部を宣言をした。僕はにわかにも信じられなかった。なぜなら、彼は吹奏楽部出身、180cm/54kgとガリガリで、どうみてもアメフトを続けていくようには見えなかったからだ。だが彼は瞬く間に増量に成功した。1年の終わりには25キロ以上は増やしていた。今では94キロまで増え、オフェンスラインを牽引している。フィールドの中心、選手が密集しているので見つけるのは難しいかもしれないが、双眼鏡を準備して74番の活躍を目に焼き付けてほしい。
         
        最後に、新3年生ディフェンスラインの窪田翔吾#90だ。アイシールド21では王城高校の大田原がそうだ。このポジションは相手オフェンスを破壊することが仕事だ。
        窪田はとにかく体がでかい。体重は114キロ。法学部の授業で講義室を歩いていると、細い女子の肩幅の3倍はあるんじゃないかと思うほどだ。 一般にアメフト選手と聞いて想像するのは窪田のような体型だろう。
        彼の強さは底知れぬ努力に裏付けされた強さだ。 下半身強化のために毎日タイヤを押している。一人黙々とくラウンドにタイヤの跡を残し続けている。筋トレも一人だけとびぬけて高重量を持ち上げる。ベンチプレス140キロ、スクワット210キロ、デッドリフト220キロは日本でも屈指の強さを誇る岡山大学のウエイトトレーニング部も驚く強さだ。
        留学に行く直前、少しでも新歓に貢献したいと思い、大物を入部させようと企んでいたが、そんな折、居場所がなさそうにのそのそと歩いているデカい背中を見つけた。あまりの風格に新入生という確信はなかったが、恥をかいてもいいと思い、思い切って声をかけた。
        話を聞くと体を鍛えることが好きだという。高校時代は野球部に入っていて、大学でも体を鍛えることは続けたいという。何という逸材か、これはアメフト部に入れるしか無いと思い、口説こうとしたが、その必要はなかった。「僕は行きますから他の人を勧誘してください」と言われたのを覚えている。
        最初の出会いから衝撃だった。今シーズンも、敵味方関係なく、観客を唖然とさせる衝撃の強さを魅せつけてくれると確信している。
         
        マネージャー・トレーナーに感謝
        アメフト部スタッフの仕事を紹介したい。
        スタッフの仕事は多岐にわたっている。高校までの運動部のマネージャーは、水汲みやライン引き、タイムキープなど無くてはならないが雑用のイメージが強いと思う。
        だが大学の体育会、特にアメリカンフットボール部のスタッフの仕事は多く重要だ。
         
        一言にスタッフといってもマネージャーとトレーナーに分かれている。
        マネージャーはSNSでの情報発信やOBへの報告などの広報活動、練習や試合のビデオ撮影、試合の統計、試合へ出向いて対戦相手のスカウト、卒部式などイベントの運営、イヤーブックの作成などがある。将来的には現在は選手がしている、対戦相手のアナライジングをできるアナライジングスタッフを設けることを目標としている。 ここでいうスカウトとは、有望な選手を引っ張ってくることではなく、対戦相手となるチームの試合をビデオで撮影し、分析することだ。
        厳密に言うと、現段階ではアナライジングは選手が行っているが、将来的にはアナライジングを行うスタッフを設けたいと考えている。

        スカウトはアメフトの命と言っても過言ではない。相手のベース体型は何か、こちらがこの体型をした時にどんな対応をしてくるのか、事前に知って、周到な準備をしてこそ試合ができる。アメフトの中心部分は10人以上の選手が密集していてグラウンドレベルの目線だと誰がどう動いているのか確認しにくい。岡大のふだんの練習では4階分の足場を組み立て、スタッフがその上から撮影し動きを確認しやすくしている。岡大のグラウンドの横に、鉄骨で組んだ櫓があるのにお気づきだろう。
         
        トレーナーはテーピング、けが人の処置、リハビリメニューの作成、リハビリメンバーのサポート、筋トレの管理、トレーニングのメニュー決めなどをしている。上回生になるとテーピングの質もスピードも向上する。体の一部にでも不安な部分を抱えていると集中して全力のプレーができないと、信頼できるトレーナーのテーピングをしていると、安心してプレーに集中できる。
        スタッフは練習開始45分前に集合し、ライン引きや水汲みなど選手が練習できる環境作りを行い、全体練習後もアイシングなど選手のケアをしてくれる。感謝している。


        ※   ※   ※
         
        さて、冬からの筋トレと食トレでデカくしてきた体を練習で意のままに動かせるように訓練し、合宿を乗り越えBADGERSは秋シーズンに向けて戦闘態勢に入った。
        同じ米を食うどころか、同じ米を吐いた仲間どうしが、いよいよ2部を目指して戦い始める。

         
        (つづく 4月21日(木)ごろ第3部最終回掲載)



         
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        アメフト野郎!by航太郎 (1)
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          僕は岡山大学法学部4年
          アメフト部BADGERS#7
          矢野航太郎です

          これから3回に分けて、岡大アメフト部BADGERS(バジャーズ)がどのような部活か、そしてアメフトの魅力について語ります。
          第1部はアメフト部の生態について紹介し、第2部では夏合宿と3人の選手の紹介、そして第3部では2015年のバジャーズの激戦を振り返ります。
          岡大アメフト部BADGERSで、僕たちと濃く真摯な青春時代を送りませんか?


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          第1部 岡大アメフト部
             BADGERSの紹介 

          〜アメフト部って、どんなところ?〜

           
          ■アメフトで肉体改造。筋肉と体重を増やし強い男に 
          「3限筋トレ!誰か!」
          LINEの通知を開くと、アメフト部の同期LINEグループに書いてある。
          筋トレの合図だ。
          アメフト部の空きコマは筋トレだ。
          授業1コマ分は90分、1回の筋トレは1時間のメニューで組むのが基本なため、空きコマは時間的にちょうどいい。
          筋トレが終わり、更衣室で仲間の裸を見ながら、「お前、脊柱起立筋膨れてきたなぁ」とほめる。仲間の太くなった筋肉は筋トレのモチベーションになる。心のなかで対抗心を燃やす。
           
          アメフト部には、どんな人が入部するのだろうか?
          体格に恵まれ、喧嘩が強かった人が入る部活だと誤解している人もいるかもしれないが、それは太い筋肉質の体や、いかつい防具から連想されるイメージでしかないと僕は思う。
          実際に僕の同期のワタナベ君の現在の体を、入部当初と比較してみよう。彼は入部当初64キロだったが、現在では85キロもある。筋トレと食トレでここまで大きくなった。
           


          Before:ワタナベ君の1年入学時


          After:ワタナベ君の現在

          アメフト部といえども、高校までアメフトを経験した選手が学年に1人いるかいないかの岡大BADGERSの場合、入学時は意外に細い人が多い。筋肉質でも体の線は細い。アメフトの認知度が低い中国地方にある国立大学では、アメフトをしたくて入学する人はほとんどいない。3年・4年のアメフト部員が、入学当初の写真を見返すと、あまりの細さに自分を自分と認識できなかったりする。
           
          筋肉質な体を作り上げるにはどうするか?
          一昨年からBADGERSでは、新入生のために計画的なトレーニングメニューが組まれ、新入生担当のコーチとトレーナーが管理している。
          筋トレは上半身の日、背中の日、下半身の日に分かれる。まずはBIG3と呼ばれるベンチプレス、デッドリフト、スクワットの数値を上げることを目指す。ベンチプレスは入部した時には50キロも挙げられなかった選手がトレーニングを続けることで100キロを挙げられるようになるし、厚く見栄えのある胸板を手に入れることができる。夏にTシャツをタイトに着るおしゃれができるようになる。体が見栄えがするので着飾る必要がない。
          体が大きくなってくると、筋トレ後にパンプアップした自分の体を鏡の前で確認するのが至福の時だ。充実したトレーニングの後はボディービルダーのようにポーズを決める。
          僕自身は体の変化は少ないほうだが、久しぶりにあった高校サッカー部の友達や、久しぶりに訪れた父の実家の親戚からは、「大きくなったね!特に肩まわり」と言われる。


           
          ■アメフトは誰にでもでき、居場所があるスポーツ


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          僕は元サッカー部。アメフト部ではキッカーを任される
           
          野球部、サッカー部、陸上部、水泳部、柔道部、剣道部、吹奏楽部、テニス部、ラグビー部、ヨット部、バスケ部など様々なスポーツ経験者が同じスポーツをしていることは珍しい。イチローと本田圭佑、五郎丸歩、錦織圭、瀬戸大也が同じチームで戦っているようなものだ。他にも囲碁将棋部や帰宅部だった人も試合で活躍しているので、将棋の羽生名人までいることになる。
          スポーツのサラダボウルたるアメフト、これは大学から始める人が多いカレッジスポーツの魅力だ。
           
          アメリカンフットボールは球技に分類されるが、選手の中には特殊な状況を除いてボールに触れられないポジションもあり、ボールを扱うのが苦手だからと言って敬遠する必要は全くない。
          人とぶつかるのが強い人、ボールを投げるのが得意な人、ボールをとにかく遠くへ蹴り飛ばせる人、走るのが早い人、反復横飛びが得意な人、相手の行動が予想できる人、機転が利く人、作戦を考えるのが好きな人、人をだますのが得意な人、全てが長所になり得るスポーツだ。
           
          僕はクオーターバックとキッカーを任されている。アイシールド21で言うとヒル魔と武蔵のポジションを一人でこなしている。
          キッカーが登場するのはキックオフの時と、フィールドゴールを狙うときだ。試合開始と得点後に、キックを蹴る機会がある。
          キックオフは状況に応じて蹴り分けるが、滞空時間の長いボールを遠くまで飛ばすディープキック、高いボールで相手にあまりリターンさせないスカイキック、わざと転がすスクイブキック、自チームがリカバーして攻撃権獲得か目指すオンサイドキックなどがある。

          フィールドゴールはラグビーの五郎丸選手のキックとよく似ている。スコアリングに関係し、試合の勝敗を左右するので、キックの時には重圧がのしかかる。
          キックの技術もさることながら、強いメンタルも求められるのがキッカーというポジションだ。毎回、サッカーのPKのように決めて当然と思われる周囲からの重圧を跳ね返さなければならない。
          10年間サッカーをしていたので、蹴ることは得意だが、丸いボールを蹴るのと、楕円のBALLを蹴るのとでは感覚が違う。蹴り方もいかにBALLに体重を乗せられるかが重要で足の振り上げ方など、サッカーで言うと低い弾丸ミドルシュートを蹴る時のようなフォームになる。
           
          もう一つのポジション、クオーターバック(QB)は攻撃の要。チームの司令塔だ。
          センターと呼ばれるポジションの選手からボールを受け取り、ランニングバックにボールを手渡ししたり、ワイドレシーバーにパスを投げたりする。相手のセット位置や動き方次第で瞬時にプレーを変えることもあり、パスを投げる肩と判断力、決断力が求められる。
          大学のクオーターバックは、アメフト経験者か野球部出身の選手がやるポジションなので、サッカー経験者の僕がQBをやるのは非常に珍しい。
          キャッチボール程度なら人よりも上手にできる自信があるが、投げる動作をスポーツとして行っていなかったので、楕円の400グラムあるボールを投げるのに必要な力が無く、最初は辛かった。腕使い方や体重移動の方法などアドバイスを受けたが頭ではわかっていても、具体的なイメージが掴めずなかなか吸収できなかった。ボールを投げ込み、今ではコントロールして投げられるようになったが、飛距離ではやはり野球部出身のQBに負ける。
          ただ、QBは肩の強さだけで判断されるわけではないので、肩の弱さをカバーするため、フェイクのうまさ、目線の使い方、安定感など他の要素で僕は勝負している。
           
          僕は得意なことが無いという人には次の言葉を紹介したい。
          「技術は好不調があってお前を裏切るかもしれんけど、体重だけは信頼できる」
          体重は筋トレと食事次第で増やせる。当たりが強くなれば皆に平等にチャンスがある。こうして考えると、アメフト部に最も向いているのは食べるのが好きな人かもしれない。


           
          ■僕がアメフト部に入部したきっかけ


          岡大入学式.JPG
          岡山大学入学式で
           
          ここで、僕が岡山大学アメフト部BADGERSに入部した経緯を書く。
          僕は大学受験で都会の第一志望校に不合格になり、不本意な気持ちで岡山大学に入学した。憧れていた都会の洗練された空気とはかけ離れた、地方特有のぬるい雰囲気を感じた。長風呂した時のように体から油が抜けすぎ、しかも微妙に居心地がよく、ふやけてしまいそうだった。
          新歓ではサッカーサークル中心に回ったが、仲良こよしの球蹴りで面白みを感じなかった。自分が所属するべき環境はサークルの中に見当たらなかった。
           
          そんな状況から僕を抜け出させてくれたのが岡大アメフト部BADGERSだ。活発に動き回るための酸素を与えてくれる場所だと直感的に感じた。
          1976年に学生会館に貼りだされた一枚のポスターからBADGERSの歴史は始まった。OB会は総勢400名を超え、金銭面や練習器具など多大な支援を頂いている。
          BADGERとは“アメリカアナグマ”を意味する。アメフト部初期の先輩が、不幸にも練習中の事故で亡くなられた。その方は、体は小さいがすばしっこく何度倒れても立ち上がる強靭さを持っていたそうだ。その方にちなんで小さくても果敢に相手に立ち向かうアメリカアナグマがチームのニックネームになっている。
          僕はこのエピソードを聞いて自分と重ね合わせた。僕は小さいころからアトピーとアレルギーで、体は丈夫ではなくても執念で果敢に生きてきた。加えてBADGERSのスローガンはchallenge on だ。挑戦し続けるという意味のこの言葉は大学受験の失敗に縛られていた僕を前に進ませてくれるものだった。挑戦し続ける姿勢は当時の僕に一番必要な姿勢だった。
           
          岡山大学アメフト部BADGERSに入部することを決心したのは、新歓行事として行われたパーティーが契機だった。先輩の家で鍋とたこ焼きをすることになっていたのだが、卵アレルギーの僕は生地に卵を混ぜるたこ焼きは食べられないから、鍋だけを食べようと思っていた。
          ところが予想外の出来事が起きた。4回生の先輩が、僕が卵を食べられないと知って卵を生地に混ぜずにたこ焼きを作って下さった。僕は嬉しくてたまらなかった。
          「卵なしのたこ焼きも意外とおいしいな」と先輩が笑顔で言ってくれた時は誇張ではなく泣きそうになった。入学前は大学に入ってまで部活をやる気なんてさらさらなかったが、待ち望んでいた居場所をやっと見つけたと思った。
           
          僕はBADGERSで人のために泣けるようになりたい。自分が負けたのが悔しくて泣くことはあるが、仲間を勝たせてあげることができなくて泣いたことはまだない。今いる環境は本当に汗臭く、男臭い。泥まみれで練習し体を痛めながらも執念で勝利を目指すアメフト部は自分に最適だ。共に同じ釜の飯を食い、寝、体をぶつけ合って、血を流した仲間と泣きながら抱き合いたいと思う。


           
          アメフト部のスケジュールと食生活 
          BADGERSは火、水、木、土、日の週5日全体で活動している。
          平日練習は午後6時から9時まで。周辺住民との取り決めで9時に照明を消し、10時に更衣室から完全に撤退する。体のケアと道具の手入れをしていたら消灯後の1時間は飛ぶように過ぎる。
           
          とあるアメフト部員の一日を、表にして紹介しよう。


          アメフト部員の1日.png

          スケジュールを見ると大変そうに見えるが、時間をどう使うか考え、無駄な時間がなく充実している。
           
          練習が終わり、アフターをして、ご飯を食べた後に練習の反省ミーティングを行う。時間がない時は弁当屋さんで弁当を買い、ミーティング中に食べる。
          会議中や勉強中にご飯を食べるのは許されないと思うが、アメフト部では消費したエネルギーを補給しないことや、お腹をすかした状態を作ることが一番の悪なので、ミーティング中にご飯を食べる光景は当たり前になっている。
           
          練習はビデオで撮影する。ミーティングではパートリーダーが中心となり、ビデオを何度も巻き戻しをしながら、1プレーずつ1人の動きを丁寧に確認していく。そして全体の連携をホワイトボードで整理しながら戦術理解を高めていく。
          パスプレーに関しても、
          「お前、なんでこのルート走ったん」
          「カバー判断できんかったからちょっと中に入った」
          「それじゃあ、QBが投げるスペースが狭くなるよな」
          切迫した状況でパスが通るように、ミーティングで徹底して頭の中のイメージをすり合わせていく。
           
          土曜日、日曜日や長期休暇中は午前中に練習する。朝9時から3時間程度全体練習だ。昼ごはんを食べて、ミーティングをした後、クラブハウスで昼寝するときもある。相撲の力士みたいだ。
          寝るといってもベッドや畳があるわけではなく、ホームセンターで売っている正方形のカラーマットが敷き詰めてあるだけ。それも年に1回大掃除の時に洗うだけで、汗が染みこんでいる。シミと匂いがプンプンするマットすら気にかけないほど、練習後は眠くなる。体がでかい人のおなかを枕代わりにして寝たり、パイプ椅子の下に潜り込むように寝たりしている人もいる。
          練習後の大男たちが集まるのできれいとはいいがたいが、睡魔には勝てず横になると、気づかぬ内に眠りに落ちている。起きた時に毛玉やほこりが服につきまくっていて、クラブハウスで寝たことを少々後悔する。
           
          アメフト部の食生活だが、ふつうの大学生の2倍くらいの量は食べる。白米だけで一日5合は食べる。
          ふだんの昼ご飯は学食か、量が多い定食屋さん、もしくは3限が無かったらお金を節約するために自炊することもある。
          山下、かがしや、学食、ひで、稲穂、かつ亭、丼丸がよく使う店だが、中でもお気に入りなのは山下と稲穂だ。
          山下は夫婦で経営されている定食屋さんだが、大盛り無料でおかずの量も多い。僕が特に好きなのは肉巻きで、少し濃い目のソースがご飯とよく合う。米がなくなり次第閉店するのが残念なところ。
          夜利用することが多いのは稲穂だ、ここも年配の夫婦が経営されている定食屋さんで、優しい家庭の味という感じで美味しい。焼き肉定食、生姜焼き定食が好き。日替わりは450円で学生には嬉しい。夜11時まで営業されているので練習後に行ける数少ない定食屋さんだ。
           

          ※2016年度からクオーター制が導入されタイムテーブルが大幅に変更されたので、体に染み付いたリズムも変更を強いられる。


          アメフトと勉強は両立可能か?


          図書館.JPG
          僕が1年間留学した、イギリス・ケント大学
           
          毎年新歓時期、アメフト部入部希望の新入生と話していると、アメフト部に関して心配事は共通している。
          勉強との両立はできるのか、お金はどれくらいかかるのか、けがは大丈夫か、親に反対されないか、自分の運動能力でアメフト部についていけるか、だ。
           
          まず、勉強とアメフトはは両立可能だろうか?
          僕は大学1年生の時、アメフト部で練習しながら、岡大からのイギリス交換留学をめざした。交換留学に選ばれるには、IELTSという試験で高得点を取る必要があった。
          現在僕は岡山で下宿しているが、1年生の時は尾道の自宅から1時間半かけて通いながら授業に出て部活もし、通学中の電車や大学に行く前の早朝、部活がない日は早めに尾道に帰り英語を勉強した。
          その結果、法学部の交換留学生に選出され、イギリスのケント大学に1年間留学することができた。
           
          交換留学に応募するにはIELTSで4.0以上取ることが条件だったが、それをクリアするだけでは他の学生との競争に負ける可能性が高いので、各セクション5.0以上を目指した。5月終わりに募集要項が発表されてから9月の試験までに時間がなかったので、空き時間は全て勉強に当てた。
          3週間で旺文社の『TOEFL3800英単語』に掲載されている単語のうち、語源や語呂を駆使して2000語弱を暗記した。僕がアメフトをやりながら暗記した単語を並べてみた
          僕が暗記した単語
          最終的にはIELTSで5.5を取れ、留学中に9月に受けた試験では7.0相当の点を取れた。
           
          部活がない日は講義が終わったらすぐに電車で尾道に帰り、夕方7時ころから深夜時ころまで勉強した。早朝も笠見先生に無理をお願いし、岡山に行くまでの時間を勉強した。
          岡山から帰ってくる時、勉強時間を確保するために新幹線を使い急いで尾道へ帰ったが、確認せずに乗った「のぞみ」の車両が福山で停車しないもので、広島まで行ってしまったこともあった。
          また、丸暗記しただけでは特に英作文など歯がたたないので、教養を身につけるために読書もした。
          留学に必要な英語は、大学受験英語では太刀打ちできない。IELTS受験後に、大学受験で一番難しいと言われる慶応大学の問題を解いたら簡単に見えた。
           
          結局は時間の使い方次第で、何か目標に向かって勉強している時は、無駄な時間を極限まで削ぎ落とせる。自分なりに工夫して時間の使い方を学べば社会に出てからも役に立つはずだ。まとまった時間は確保しにくいし、練習で疲れた体に鞭打って勉強するのは簡単ではないが、部活と勉強は両立できる。

          なお、僕の英国留学記は、こちらをご覧下さい。
          コウタロウ英国留学記
          (1) (2) (3) (4)


           
          ■バイトや恋愛と両立できるか?就職活動は? 
          バイトについて。
          まず書いておかなければならないのは、アメフト部員は食費にお金がかかるということだ。逆に言えば食費以外、服や飲み代にお金がかからないので食費しか出費がないといえるが、力士並みに食うため4万から5万円程度毎月かかるので、バイトをして生活費に充てなければならない。
          事実、8割以上の部員がバイトをしいる。長期休暇中を除いて、部活が休みの月曜日と金曜日、土曜日、日曜日の午後から夜にかけて働く人が多い。スポーツジムのトレーナーやベネッセのサポートスタッフ、ドラッグストア、レストラン、居酒屋、家庭教師、酒屋、牛丼チェーン、デパート、ラーメン屋、コンビニ、カフェなど業種は幅広い。
           
          恋愛については問題で、「腹減ったー」と同じような感覚で「彼女ほし〜」と叫ぶ人もいる。アメフト部の狭いコミュニティーで日常の大部分の時間を過ごしているのと、普段女性との接点が少ない分、理想が高くなりがちな傾向がある。それは置いといて自分たちで一番問題だと思っているのが、デブかデブじゃないか。アメフト部の中ではガリガリと揶揄される人でも、一般世界に出ればゴリゴリとの評価を受ける。そうすると、アメフト部の中で、いい意味で「でかくなったなー」と言うと、普通ではデブと分類される体型に成長している危険性がある。これが価値観の違いというやつか、いや、そんなに大層なものではない。彼女ができないのをデブのせいにして諦めている姿勢が良くないだけだ。
           
          体育会の部員は就活で有利と聞くが実際はどうなのだろうか。
          先輩の就活を見てきた実感としては、比較的早い段階で終わっている印象だ。アメフトで鍛えているため、ストレス耐性が強いことは高く評価されるようだ。志望する業界に進めている人も多い。メガバン、製薬、ゼネコン、生保、公務員と業種は様々だ。
          また、大学のキャリア開発センターが主催する部活生だけの就活合宿にも参加でき、部活を活かした就活方法を勉強できる。アメフト部というだけでキャリアの先生と仲良く慣れるのも魅力だと思う。
          公務員になる人も多い。岡大の公務員講座は3年の6月に始まるが、部活と平行して頑張っている人もいる。部活の時間を犠牲にしないために独学で公務員試験の勉強をして就職した先輩もいた。
          さらに先輩や直接の関わりのない部OBからサポートをしていただけるのも体育会の魅力だろう。マスコミ、商社に勤めておられる古い先輩もいらっしゃる。


           
          ■アメフトは痛い? ヘルメットや防具は重い?


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          大学1年の5月、はじめてヘルメットをかぶった時
           
          アメフトに“痛そう”という印象を抱いている人が多いと想像するが、想像よりも痛くない。頑丈な防具が身を守ってくれるからだ。アメリカンフットボーラーからするとラグビー選手が生身でトップスピードの選手に対してタックルしているのを見て、怪我しないのかとひやひやする。アメフトはヘルメットで頭を守り、ショルダーパッドで肩から胸にかけてと背中を守り、下半身にはヒップパッドとサイパッド、ニーパッドの着用義務がある。
           
          試合は人工芝のグラウンドでできるので血が出るけがは多くないが、もし出血した場合は止血しなければフィールドに入ることができない。試合にはトレーナーやチームドクターが帯同しており、安全面には細心の注意が払われている。
          練習は砂のグラウンドなので擦り傷や切り傷ができやすいが、出血したらすぐにトレーナーが処置してくれる。
           
          アメフトのヘルメットは野球やバイクのヘルメットと違い、重量感がある。 顔への打撃を防ぐフェイスガードが付いているためで、合わせて1.5キロほどだ。
          重量に耐えるために首トレは欠かせない。また首トレにはタックルの衝撃に耐えるという超重要な意味もある。初めて首トレをした次の日は筋肉痛で朝起きるのがしんどい。首が回らないので、自転車に乗っている時に後方確認しようとしても後ろが向けないので、腰からひねらないといけない。筋肉痛が痛いのは辛いが、トレーニングの成果が出ていると実感できる嬉しい瞬間でもある。
          聞いた話だと関東の強豪校である東大アメフト部は首の周囲が40cmを超えないと試合に出場できないそうだ。


           
          ■アメフトとラグビーの違い 



          ラグビーとアメフトのボール。どっちがアメフトのボールでしょうか?
           
          フットボーラーにとって、ラグビーとアメフトを間違えられるのはアメフトの知名度の低さに歯痒い思いをする悔しい瞬間ではあるが、昨年ラグビー日本代表・ブレイブブロッサムスがラグビー旋風を巻き起こしたことを考えると、仕方ないのかと思う。
           
          「ラグビーとアメフト何が違うの?」とよく聞かれるが、ボールを持って走る動作やキック、ボディコンタクトが激しいこと以外、共通点を見つけるのは難しい。
          ラグビーは流れの中で攻撃を組み立てる一方で、アメフトでは1プレー1プレー、次にどのような攻撃をするかをレストランのメニュー表よりも多い選択肢の中から様々な要素を総合的に判断して決める。ラグビーのプレーヤーは全員が兵士なのに対して、アメフトでは参謀の力も備えていなくてはいけない。アメフトは身体能力お化けがするスポーツと思われがちだが、かなり知略が求められる。
           
          アメフトとラグビーはボールの形が似ている。
          岡山から尾道に帰るとき、一度アメフトボールを持って帰ったことがあるのだが、ボールを入れたカバンを電車に忘れ、終点の駅まで荷物を取りに行った時のことだ。
          内容物を確認するのに、「ボールが入っていると思うのですが…」と駅員さんに言ったところ、「あー、ラグビーボールが入っているカバンがあったよ!」と躊躇なく言われた。去年ラグビーのラグビーブームもあり、ラグビーが一気にメジャーになったが、楕円のボールを見ると、大きさや模様に関係なく、ラグビーボールだとし認識するのだと感じた。その時はあえて言い返さなかった。
           
          ラグビーとアメフトを混同した人のエピソードを2つ紹介したい。
          まずは小学生。小学校の体育の授業でフラッグフットボールを行う時に、BADGERSの部員がサポート役として参加するボランティアがあるのだが、小学生たちは僕たちに向かってしきりに五郎丸ポーズを見せてくれた。ラグビーと間違えているなと思いつつ、一緒になって五郎丸ポーズで遊んだ。
          2つ目は、つい先日、前期試験の合格発表のとき。合格発表では定番になっているアメフト部による胴上げは例にもれず岡山大学でも行われるが、いざ胴上げしようという時に一人の男子が中腰で前傾し、両手を合わせて、人差し指を立てていた。誰かに浣腸でもしたいのか、度胸のある子だなと思っていたが、すぐに、なるほど、この子は五郎丸ポーズをしていて、自分たちをラグビー部だと思っているのだと気付いた。


           
          ■中国地方なのに関西リーグの岡大
          ここからは具体的に日本学生アメフトの話をしたい。
          日本学生アメフトは北海道、東北、北陸、中部、関東、関西、中四国、九州のリーグにわかれている。西側では九州と中四国の勝者が関西の勝者と戦い、東日本では東北と北海道の勝者が北陸、中部の勝者と戦い、それの勝者が関東の勝者と闘う。東日本と西日本のチャンピオンが学生日本一をかけて相まみえるのが甲子園ボウルだ。
           
          その中で岡山大学のBADGERSが所属しているのが関西学生アメリカンフットボール連盟だ。そのため中四国リーグの広島大学や島根大学とは公式戦では戦わない。


          中四国リーグ.png

          関西リーグの公式戦は大阪や神戸で行われる。 岡山でのホームゲームはシーズンでたった1試合。あとはアウェイだ。
          BADGERSは国立大学のチームで、私立のようにお金もなく新幹線で移動することはできない。渋滞に巻き込まれ試合時間に遅れることは許されないのでバスを借りる選択肢はなく、公共交通機関を使う。岡山から在来線を乗り継ぐこと3時間強、試合会場についた頃にはふくらはぎが張っていることもある。試合は週末に開催されるので乗客も多い。運良く座れれば良いが、岡山から大阪まで立ちっぱなしのこともある。
          逆に関西にある桃山学院大学や天理大学は岡山で試合がある時は前泊するか、新幹線で岡山まで乗り込む。桃太郎がいる地に自ら新幹線を使って堂々と乗り込むとはいい度胸をしている。金にものを言わせるチームには絶対に負けたくない。


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          僕たち岡大アメフト部員を大阪まで運ぶ新快速
           
          関西学生リーグ編成の説明をしよう
          関西学生リーグには1部・2部・3部があって、強豪校が揃う1部は現在、立命館大学、関西学院大学、関西大学、京都大学、神戸大学、龍谷大学、甲南大学、同志社大学の8校だ。
           
          関西の強豪校にもそれぞれ色がある。
          関学は頭脳のチームだ。関大のヘッドコーチの言葉を借りると、関学は小さい体を補って余りある頭脳で勝ってきたチームだそうだ。2部の僕達からすると関学の選手の体が小さいと思ったことなどなかったが、確かに、戦術のチームであることは疑いようがない。2010年から2014年まで5連覇。学生アメフト界では無類の強さを誇る。
           
          立命館は“アニマルリッツ”と言われるように動物的、野性的な猛獣の集団だ。一度1年生の時に試合当番で立命館のサイドラインに立ったことがあるが、背中から感じる迫力は凄まじかった。アメフトをやっていて、あれ以上の飲み込まれるような雰囲気を感じたことはない。2015年には関学を倒して関西学生リーグを制し、東の覇者早稲田とのライスボウルでも僅差で早稲田を倒した。さらに社会人王者と対戦するライスボウルでは、社会人チャンピオンのパナソニック・インパルスを終了間際までリードするなど勝利まで後一歩のところまで迫った。
           
          京大アメフト部ギャングスターズはハードヒットが売りだ。かつては水野弥一監督の猛烈なスパルタ指導で有名だった。現在は、アメリカから元NFLのプレーヤーをコーチとして招聘し、関大の板井ヘッドコーチは京大もおしゃれなフットボールをするようになったとおっしゃっていた。京大でアメフトがしたくて浪人して入学する人もいるが、やはり国立大学で経験者は少ない。技術も体もゼロからスタートする選手を鍛え、関学、立命、関大の3強を崩すかもしれない。
           
          毎年7月に定期戦を行っている甲南大学は、昨シーズン1部に昇格した。圧倒的なラインの力で相手を押し込み、ランプレーを主体にして勝ってきたチームだ。
          春に甲南大学と練習試合をした時、1stメンバーが全員出場していたわけではないが、全く歯がたたない相手ではないと感じた。ただ先制されても焦らず、難なく逆転する底力は持っているので簡単に勝てる相手ではない。
           
          岡大BADGERS は21世紀になってから、1年ごともしくは2年の間隔で2部と3部を行ったり来たりしている。実際に聞いたことはないが、連盟上層部ではBADGERSは3部のライオン、2部のお荷物と揶揄されているらしい。
           
          いまは勝てないかもしれないが、僕はこれらの強豪私立には負けたくない。人工芝のグラウンドで練習でき、グラウンドメイクや整備の手間がない。雨の日も汚れずに練習ができる。擦り傷も切り傷も少ない。専属コーチもいれば、資金があるので前述したように新幹線移動ができる。
          たとえば甲南大学は監督が自費でグラウンド横にそびえるマンションの12階の一室を借り、ベランダから練習風景を撮影して、戦術を研究している。ドローンで撮影したようなアングルで、選手の動きが確認しやすい。私立の強豪チームはそこまでやるのである。
          私大の選手たちは、資金に恵まれていて不自由なくアメフトができる。逆に僕たちは資金が少なく、土のグラウンドで水抜きや整備に時間を取られ、大阪神戸まで移動しなければならず、しかも普通列車で立ちっぱなしの時もある。そんなハンディを乗り越え、恵まれた私立大学に反骨精神むき出しで立ち向かっていきたい。

           ※  ※   ※ 


          アメフトの公式戦は、9月から12月にかけて行われる。
          岡山大学アメフト部では、1月から月末まで体づくりやファンダメンタルの強化に主眼をおいた練習やトレーニングを行い、4月は新歓、5、6、7月は春シーズン、学校のテスト期間に合わせた2週間程度のオフを挟み、8月に合宿を行い、9、10、11月に本番の秋シーズンを戦うようになっている。
          春シーズンはプロ野球のオープン戦のような扱いで、勝敗にこだわるのは勝負として当然だが、それよりも戦術理解を深め、チーム力を向上させることが重要だ。夏合宿でチームをレベルアップさせ、秋シーズンが公式戦となる。
           
          第2部は夏合宿と、BADGERSの魅力ある3人の選手について語りたい。



          (つづく 4月12日(火)に掲載予定)
           
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            2692     vent
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            2696     thrive
            2697     universal
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            2711     fingerprint
            2712     aquifer
            2713     rudimentary
            2714     arsenal
            2715     subsequent
            2716     mob
            2717     integrate
            2718     hydrogen
            2719     enlightenment
            2720     treaty
            2721     notoriety
            2722     orbit
            2723     upheaval
            2724     dividend
            2725     ambush
            2726     skeptic
            2727     aloft
            2728     tacit
            2729     acclaim
            2730     elaborate
            2731     procession
            2732     pathetic
            2733     whisker
            2734     illusion
            2735     coniferous tree
            2736     aloof
            2737     tow
            2738     extravagant
            2739     tranquil
            2740     coexistence
            2741     consensus
            2742     console
            2743     orientation
            2744     rigid
            2745     consent
            2746     averse
            2747     emit
            2748     alleviate
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            2751     tangible
            2752     metabolism
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            2764     sewer
            2765     commemorate
            2766     cradle
            2767     composure
            2768     practitioner
            2769     exemplify
            2770     dump
            2771     tumor
            2772     utopia
            2773     wither
            2774     periphery
            2775     monumental
            2776     hinder
            2777     landfill
            2778     finesse
            2779     legitimate
            2780     contemporary
            2781     crude
            2782     prescribe
            2783     plead
            2784     preface
            2785     supplementary
            2786     austere
            2787     veterinarian
            2788     critical
            2789     burden
            2790     mediate
            2791     tan
            2792     wharf
            2793     shrewd
            2794     fragment
            2795     addiction
            2796     gastric ulcer
            2797     intact
            2798     inertia
            2799     mutter
            2800     liner
            2801     creditor
            2802     profusely
            2803     abbreviate
            2804     soak
            2805     crescent
            2806     trait
            2807     audit
            2808     defame
            2809     nocturnal
            2810     diurnal
            2811     kerosene
            2812     monarchy
            2813     lieu
            2814     vogue
            2815     strife
            2816     hefty
            2817     nullify
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            2833     prominent
            2834     liability
            2835     dogmatic
            2836     bearish
            2837     avalanche
            2838     perpetual
            2839     genre
            2840     alloy
            2841     classify

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            僕が3週間で暗記した単語
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              1119     nutrition
              1120     deal
              1121     brink
              1122     phenomena
              1123     candid
              1124     ambition
              1125     irony
              1126     camel
              1127     stature
              1128     burst
              1129     gratitude
              1130     cordial
              1131     anguish
              1132     advantageous
              1133     dinosaur
              1134     aviation
              1135     bulletin
              1136     attain
              1137     collide
              1138     mode
              1139     pound
              1140     conservative
              1141     radiate
              1142     damp
              1143     hatch
              1144     bleed
              1145     clarify
              1146     statutory
              1147     drain
              1148     pump
              1149     absence
              1150     tender
              1151     ethics
              1152     beard
              1153     anticipate
              1154     obedient
              1155     slim
              1156     biology
              1157     gut
              1158     injustice
              1159     sophisticated
              1160     unlock
              1161     intangible
              1162     abduction
              1163     sanctuary
              1164     aquarium
              1165     opponent
              1166     immunity
              1167     current
              1168     remark
              1169     implicate
              1170     threaten
              1171     sum
              1172     mobile
              1173     utensil
              1174     sociology
              1175     in question
              1176     starve
              1177     hippopotamus
              1178     zip code
              1179     deceive
              1180     natural science
              1181     suspicion
              1182     sustain
              1183     waist
              1184     pretend
              1185     fraud
              1186     betray
              1187     irrational
              1188     considerate
              1189     livestock
              1190     apart
              1191     composition
              1192     ban
              1193     gaze
              1194     recall
              1195     assemble
              1196     downfall
              1197     chronic
              1198     peninsula
              1199     lung
              1200     tryout
              1201     geography
              1202     imitate
              1203     melon
              1204     calculate
              1205     cream
              1206     showcase
              1207     barley
              1208     hazard
              1209     lavish
              1210     breadth
              1211     peculiar
              1212     endure
              1213     extraordinary
              1214     spectacular
              1215     overtake
              1216     lunatic
              1217     overlook
              1218     calamity
              1219     proceed
              1220     vendor
              1221     Venus
              1222     alarm
              1223     description
              1224     implementation
              1225     seek
              1226     delinquent
              1227     candle
              1228     duel
              1229     urban
              1230     tremble
              1231     dairy
              1232     agreement
              1233     humidity
              1234     confuse
              1235     ease
              1236     cave
              1237     unite
              1238     revolve
              1239     chill
              1240     concept
              1241     feasible
              1242     content
              1243     hare
              1244     nominate
              1245     gem
              1246     hidden
              1247     halfway
              1248     qualified
              1249     obscure
              1250     evolution
              1251     merit
              1252     uphold
              1253     void
              1254     endeavor
              1255     informal
              1256     frantic
              1257     shabby
              1258     spill
              1259     housing
              1260     distribute
              1261     utility
              1262     limb
              1263     philosophy
              1264     probability
              1265     longitude
              1266     page
              1267     adjacent
              1268     chancellor
              1269     bulk
              1270     superstition
              1271     exhausted
              1272     trunk
              1273     bowl
              1274     sting
              1275     afterward
              1276     integrity
              1277     thrust
              1278     in the midst of
              1279     therapy
              1280     file
              1281     mustache
              1282     prerequisite
              1283     grateful
              1284     temper
              1285     breeze
              1286     blame
              1287     vast
              1288     courageous
              1289     partial
              1290     assure
              1291     bite
              1292     reign
              1293     consistent
              1294     casualty
              1295     pessimism
              1296     autograph
              1297     economics
              1298     massive
              1299     consciousness
              1300     veteran
              1301     innovation
              1302     vulnerable
              1303     promote
              1304     bribery
              1305     encounter
              1306     capitalism
              1307     brook
              1308     cling
              1309     fluency
              1310     fallacious
              1311     virtually
              1312     forbid
              1313     impose
              1314     detach
              1315     hedonism
              1316     flaw
              1317     faint
              1318     obey
              1319     affirm
              1320     comb
              1321     loose
              1322     applaud
              1323     beverage
              1324     refugee
              1325     decent
              1326     pact
              1327     embrace
              1328     haze
              1329     barter
              1330     comprehensive
              1331     pigeon
              1332     alike
              1333     bottom
              1334     extinct
              1335     debt
              1336     accustomed
              1337     court
              1338     fertile
              1339     facilitate
              1340     arcade
              1341     humane
              1342     drought
              1343     digit
              1344     sacred
              1345     surgeon
              1346     skeptical
              1347     candidate
              1348     discard
              1349     interfere
              1350     timber
              1351     chore
              1352     anxiety
              1353     resolute
              1354     nest
              1355     certificate
              1356     equation
              1357     mark
              1358     Catholic
              1359     enchant
              1360     rage
              1361     statue
              1362     heave
              1363     inject
              1364     contrary
              1365     possess
              1366     periodic
              1367     astronomy
              1368     admire
              1369     contest
              1370     amuse
              1371     upset
              1372     condemn
              1373     intensive
              1374     lament
              1375     essay
              1376     critic
              1377     lay an egg
              1378     application
              1379     spread
              1380     spoil
              1381     once and for all
              1382     stare
              1383     surplus
              1384     vivid
              1385     conserve
              1386     harm
              1387     approve
              1388     brush
              1389     flawless
              1390     sovereign
              1391     verify
              1392     mammal
              1393     intimate
              1394     dull
              1395     offspring
              1396     circulate
              1397     validity
              1398     thumb
              1399     edible
              1400     accountant
              1401     govern
              1402     weep
              1403     embarrass
              1404     geometry
              1405     hostile
              1406     ridiculous
              1407     nighttime
              1408     undergo
              1409     be addicted to
              1410     concern
              1411     anger
              1412     cultivate
              1413     coarse
              1414     fatigue
              1415     plain
              1416     discreet
              1417     vital
              1418     glorious
              1419     idiom
              1420     medieval
              1421     site
              1422     up-to-date
              1423     confidential
              1424     recitation
              1425     refine
              1426     deserve
              1427     spouse
              1428     sacrifice
              1429     friction
              1430     bimonthly
              1431     sink
              1432     guideline
              1433     reflect
              1434     indignant
              1435     inaugurate
              1436     apt
              1437     confess
              1438     vice versa
              1439     individual
              1440     beast
              1441     exempt
              1442     affect
              1443     suspect
              1444     continuous
              1445     coalition
              1446     transfusion
              1447     vague
              1448     favor
              1449     transfer
              1450     shiver
              1451     glut
              1452     insult
              1453     lighthouse
              1454     consume
              1455     implement
              1456     nourish
              1457     sigh
              1458     fantastic
              1459     enclose
              1460     dormant
              1461     capture
              1462     lunar
              1463     layer
              1464     explicit
              1465     velocity
              1466     slipper
              1467     moss
              1468     idle
              1469     immigrate
              1470     perception
              1471     usher
              1472     persistent
              1473     infamous
              1474     span
              1475     mist
              1476     physics
              1477     humiliate
              1478     ballot
              1479     solar system
              1480     enthusiastic about
              1481     rumor
              1482     social science
              1483     objective
              1484     accurate
              1485     liable
              1486     capable
              1487     orphan
              1488     yawn
              1489     excavate
              1490     intellect
              1491     pile
              1492     asset
              1493     beforehand
              1494     jury
              1495     duration
              1496     perfume
              1497     pail
              1498     beg
              1499     optical
              1500     unanimous
              1501     restrain
              1502     negotiate
              1503     bathtub
              1504     subtle
              1505     tongue
              1506     nephew
              1507     steep
              1508     paradox
              1509     walnut
              1510     crow
              1511     amaze
              1512     dignity
              1513     absurd
              1514     characteristic
              1515     ordinary
              1516     physician
              1517     dedicated
              1518     fundamental
              1519     chase
              1520     deliberately
              1521     concentrate
              1522     grandma
              1523     literally
              1524     salute
              1525     clap
              1526     dove
              1527     chronicle
              1528     beneficial
              1529     dim
              1530     Saturn
              1531     aerial
              1532     impatient
              1533     apology
              1534     execute
              1535     swear
              1536     financial
              1537     concrete
              1538     ceiling
              1539     duplicate
              1540     exaggerate
              1541     goods
              1542     assess
              1543     drag
              1544     framework
              1545     envy
              1546     steer
              1547     release
              1548     utilize
              1549     grandpa
              1550     substitute
              1551     cell
              1552     strait
              1553     tilt
              1554     equator
              1555     immune
              1556     dwarf
              1557     ensure
              1558     peasant
              1559     isolate
              1560     readily
              1561     assign
              1562     civil
              1563     manager
              1564     cosmetic
              1565     portrait
              1566     pudding
              1567     orchard
              1568     reinforce
              1569     welfare
              1570     confront
              1571     folklore
              1572     vice
              1573     intuition
              1574     eventually
              1575     fur
              1576     arrogant
              1577     banish
              1578     glance
              1579     cluster
              1580     thermometer
              1581     breathe
              1582     fabricate
              1583     rub
              1584     predict
              1585     Secretary of State
              1586     scorn
              1587     potential
              1588     coward
              1589     hire
              1590     mutual
              1591     context
              1592     testify
              1593     whisper
              1594     athlete
              1595     hatred
              1596     demanding
              1597     enforce
              1598     fade
              1599     expenditure
              1600     bias
              1601     courtesy
              1602     judicial
              1603     aim
              1604     deepen
              1605     feeble
              1606     remove
              1607     witness
              1608     vanish
              1609     hostility
              1610     well-off
              1611     cent
              1612     convex
              1613     bloom
              1614     umpire
              1615     roar
              1616     strategy
              1617     scratch
              1618     magnet
              1619     conquer
              1620     advocate
              1621     heir
              1622     inherit
              1623     transmit
              1624     complicate
              1625     concert
              1626     glacier
              1627     reap
              1628     approximately
              1629     precious
              1630     decisive
              1631     taxation
              1632     eligible
              1633     spine
              1634     address
              1635     confirm
              1636     keen
              1637     dandelion
              1638     nourishment
              1639     branch
              1640     affair
              1641     clam
              1642     significant
              1643     incidentally
              1644     ongoing
              1645     conference
              1646     weary
              1647     deadline
              1648     roadside
              1649     deadly
              1650     bring down
              1651     soil
              1652     blizzard
              1653     pending
              1654     congested
              1655     emerge
              1656     pension
              1657     Mars
              1658     compliant
              1659     accord
              1660     explode
              1661     extinguish
              1662     glue
              1663     superficial
              1664     menu
              1665     parrot
              1666     tension
              1667     seemingly
              1668     odd
              1669     dolphin
              1670     promise
              1671     atmosphere
              1672     drizzle
              1673     subtract
              1674     burglar
              1675     bumper
              1676     drill
              1677     envoy
              1678     swell
              1679     passive
              1680     cedar
              1681     parody
              1682     breed
              1683     acknowledge
              1684     chestnut
              1685     arrangement
              1686     sled
              1687     pitcher
              1688     successor
              1689     draft
              1690     flatter
              1691     excursion
              1692     ecology
              1693     eliminate
              1694     prepare
              1695     brisk
              1696     clinic
              1697     quote
              1698     charge
              1699     inherent
              1700     beat
              1701     gravity
              1702     category
              1703     budget
              1704     cuttlefish
              1705     ground
              1706     sensitive
              1707     allowance
              1708     household
              1709     beak
              1710     politic
              1711     circular
              1712     bounce
              1713     artificial
              1714     assert
              1715     fragile
              1716     shrine
              1717     abstract
              1718     vicious
              1719     crucial
              1720     devote
              1721     technical
              1722     competent
              1723     destroy
              1724     absorb
              1725     discipline
              1726     oblige
              1727     immense
              1728     indict
              1729     slip
              1730     designate
              1731     headline
              1732     prey
              1733     dictator
              1734     contemplate
              1735     appreciate
              1736     manufacture
              1737     irritate
              1738     quarrel
              1739     durable
              1740     fossil
              1741     certify
              1742     launch
              1743     vocational
              1744     adequate
              1745     Jupiter
              1746     jolly
              1747     optimist
              1748     humble
              1749     innovate
              1750     wound
              1751     seize
              1752     circulation
              1753     implicit
              1754     feast
              1755     radius
              1756     infinite
              1757     theoretical
              1758     optimistic
              1759     ankle
              1760     bud
              1761     sensible
              1762     purse
              1763     exclude
              1764     exclude
              1765     manual
              1766     ingenuity
              1767     refrain
              1768     dreadful
              1769     acting
              1770     tease
              1771     conceal
              1772     racket
              1773     contract
              1774     whatever
              1775     sphere
              1776     resign
              1777     grant
              1778     domestic
              1779     literal
              1780     chunk
              1781     disorder
              1782     centigrade
              1783     ethnic
              1784     chemistry
              1785     ape
              1786     equivalent
              1787     explore
              1788     anatomy
              1789     replace
              1790     competitive
              1791     stove
              1792     conventional
              1793     instinct
              1794     anxious
              1795     parade
              1796     balcony
              1797     naughty
              1798     restore
              1799     grasp
              1800     prudent
              1801     prescription
              1802     muscle
              1803     accommodate
              1804     inquire
              1805     opposition
              1806     criticize
              1807     appropriate
              1808     comfort
              1809     flood
              1810     bet
              1811     overnight
              1812     clash
              1813     stubborn
              1814     clue
              1815     irrigate
              1816     core
              1817     index
              1818     contradict
              1819     basin
              1820     bond
              1821     verbal
              1822     constitution
              1823     stir
              1824     accessory
              1825     bow
              1826     mandatory
              1827     extend
              1828     lid
              1829     rob
              1830     convey
              1831     eternal
              1832     convince
              1833     eminent
              1834     endow
              1835     appoint
              1836     casual
              1837     thermal
              1838     resent
              1839     bend
              1840     justify
              1841     tremor
              1842     prospect
              1843     squeeze
              1844     stingy
              1845     tropical zone
              1846     sympathy
              1847     animate
              1848     levy
              1849     menace
              1850     touchy
              1851     commitment
              1852     startle
              1853     overtime
              1854     haphazard
              1855     apprehend
              1856     methodical
              1857     ostrich
              1858     linguistic
              1859     proximity
              1860     consequently
              1861     maple
              1862     linear
              1863     pumpkin
              1864     per capita
              1865     inflate
              1866     peril
              1867     awe
              1868     obituary
              1869     stagnant
              1870     divergent
              1871     obsess
              1872     obsess
              1873     disposal
              1874     falcon
              1875     ginger
              1876     prohibit
              1877     tangle
              1878     eradicate
              1879     mercantile
              1880     disdain
              1881     meteorology
              1882     reminiscence
              1883     collaborate
              1884     pacifist
              1885     ascend
              1886     oust
              1887     constituency
              1888     curator
              1889     bewilder
              1890     part-time
              1891     obsolete
              1892     dough
              1893     fleet
              1894     compile
              1895     inscribe
              1896     rebut
              1897     ignite
              1898     furor
              1899     phonetic
              1900     pathology
              1901     precaution
              1902     condone
              1903     remit
              1904     withhold
              1905     attribute
              1906     personable
              1907     contingency
              1908     viable
              1909     eulogy
              1910     quota
              1911     lofty
              1912     retiring
              1913     luminous
              1914     virus
              1915     foreshadow
              1916     collective
              1917     deplore
              1918     tantalize
              1919     yell
              1920     gauze
              1921     intricate
              1922     succinct
              1923     mandate
              1924     octopus
              1925     legacy
              1926     compound
              1927     pragmatic
              1928     bracket
              1929     precipitous
              1930     plaintiff
              1931     presumption
              1932     blink
              1933     superb
              1934     submerge
              1935     shed
              1936     solemn
              1937     deplete
              1938     footnote
              1939     frail
              1940     revenue
              1941     stray
              1942     relic
              1943     contagious
              1944     turbulence
              1945     stoop
              1946     intestine
              1947     tariff
              1948     diffuse
              1949     elusive
              1950     tame
              1951     conscience
              1952     languish
              1953     diarrhea
              1954     attest
              1955     cardinal
              1956     merger
              1957     install
              1958     deputy
              1959     humility
              1960     stoke
              1961     abolish
              1962     cruel
              1963     specimen
              1964     standpoint
              1965     fusion
              1966     ponder
              1967     gnaw
              1968     verdict
              1969     peacock
              1970     hangover
              1971     denounce
              1972     acme
              1973     legend
              1974     repent
              1975     perplex
              1976     surcharge
              1977     incentive
              1978     purge
              1979     radioactive
              1980     anarchist
              1981     oxidize
              1982     nausea
              1983     pneumonia
              1984     Orient
              1985     authoritarian
              1986     installment
              1987     inhale
              1988     bash
              1989     massacre
              1990     virtue
              1991     tract
              1992     exploit
              1993     degrade
              1994     nomad
              1995     unprecedented
              1996     bully
              1997     homogeneous
              1998     diminution
              1999     Temperate Zone
              2000     evasion
              2001     imaginative
              2002     concede
              2003     leverage
              2004     shoddy
              2005     sterilize
              2006     domain
              2007     aftereffect
              2008     melancholy
              2009     allocate
              2010     census
              2011     resonant
              2012     rebellion
              2013     hail
              2014     hug
              2015     impair
              2016     philanthropist
              2017     surge
              2018     dynamics
              2019     embark
              2020     mammoth
              2021     irrelevant
              2022     outlook
              2023     foresight
              2024     invert
              2025     exile
              2026     terra
              2027     imaginary
              2028     frigid
              2029     prosecution
              2030     maxim
              2031     defiance
              2032     thrifty
              2033     interim
              2034     prevalent
              2035     reactor
              2036     refute
              2037     hurl
              2038     jolt
              2039     equity
              2040     fanaticism
              2041     intermittent
              2042     credibility
              2043     stalk
              2044     inception
              2045     stretcher
              2046     deference
              2047     oath
              2048     acid
              2049     doom
              2050     garlic
              2051     wrath
              2052     ascertain
              2053     outgoing
              2054     extol
              2055     flammable
              2056     maternal
              2057     vow
              2058     compliance
              2059     conceit
              2060     Brussels sprouts
              2061     stake
              2062     staple
              2063     dubious
              2064     smash
              2065     shred
              2066     nuisance
              2067     ardent
              2068     conviction
              2069     oak
              2070     resignation
              2071     capricious
              2072     luminary
              2073     outset
              2074     authenticate
              2075     finite
              2076     optician
              2077     astronomical
              2078     prototype
              2079     bowel
              2080     supreme
              2081     lace
              2082     anchor
              2083     exacerbate
              2084     paralysis
              2085     hoist
              2086     maneuver
              2087     influenza
              2088     subordinate
              2089     concur
              2090     desperate
              2091     expedite
              2092     mentor
              2093     rhinoceros
              2094     render
              2095     rectify
              2096     been sprouts
              2097     cabin
              2098     grotesque
              2099     potent
              2100     concession
              2101     coherent
              2102     allotment
              2103     iceberg
              2104     Neptune
              2105     seclusion
              2106     glossary
              2107     scrape
              2108     lick
              2109     soothe
              2110     particle
              2111      definitive
              2112     sprinkle
              2113     devoid
              2114     rebel
              2115     rally
              2116     be clad with
              2117     invoke
              2118     oblivion
              2119     appraise
              2120     amiable
              2121     despise
              2122     mineralogy
              2123     appendix
              2124     thorn
              2125     exhaustive
              2126     itinerary
              2127     reclaimed land
              2128     scapegoat
              2129     transplant
              2130     mercy
              2131     dissent
              2132     consolidate
              2133     precise
              2134     extort
              2135     inflame
              2136     segregation
              2137     founder
              2138     forehead
              2139     sober
              2140     ingrate
              2141     discerning
              2142     abstain
              2143     tuberculosis
              2144     saturate
              2145     perish
              2146     arbitrary
              2147     pregnant
              2148     blast
              2149     somber
              2150     conspicuous
              2151     strain
              2152     mantelpiece
              2153     archaeology
              2154     tomb
              2155     cancer
              2156     erroneous
              2157     momentum
              2158     centrist
              2159     tempt
              2160     deploy
              2161     detect
              2162     prompt
              2163     preside
              2164     temporary
              2165     wander
              2166     perspective
              2167     frontier
              2168     bolster
              2169     comply
              2170     personnel
              2171     leopard
              2172     bankruptcy
              2173     collapse
              2174     precede
              2175     proliferation
              2176     consecutive
              2177     plenitude
              2178     insane
              2179     petty
              2180     hearth
              2181     stimulant
              2182     criterion
              2183     exert
              2184     swamp
              2185     jurisdiction
              2186     glitter
              2187     ethnology
              2188     frugal
              2189     trim
              2190     expose
              2191     spiral
              2192     erratic
              2193     affliction
              2194     setback
              2195     compel
              2196     enmity
              2197     endorse
              2198     frown
              2199     whirl
              2200     tidal wave
              2201     fiscal
              2202     weather
              2203     unfold
              2204     testimony
              2205     decay
              2206     relevancy
              2207     lateral
              2208     unearth
              2209     placid
              2210     expire
              2211     disperse
              2212     recipe
              2213     monopoly
              2214     crane
              2215     compulsion
              2216     liaison
              2217     successive
              2218     seismology
              2219     margin
              2220     premise
              2221     underpin
              2222     timid
              2223     ordinance
              2224     avarice
              2225     tractable
              2226     renounce
              2227     numb
              2228     imprison
              2229     yolk
              2230     fierce
              2231     adverse
              2232     zealot
              2233     ordeal
              2234     chant
              2235     soybean
              2236     sympathize
              2237     infringe
              2238     patent
              2239     contempt
              2240     innate
              2241     manifest
              2242     virtual
              2243     armored
              2244     opaque
              2245     catalyst
              2246     arid
              2247     reserve
              2248     ascendancy
              2249     illusive
              2250     matrix
              2251     riot
              2252     uprising
              2253     statistics
              2254     solicit
              2255     allure
              2256     stipulate
              2257     torture
              2258     augment
              2259     kindle
              2260     herring
              2261     vigor
              2262     benign
              2263     be reduced to rubble
              2264     monetary
              2265     seaport
              2266     detached
              2267     coincide
              2268     intrinsically
              2269     genetics
              2270     leak
              2271     enzyme
              2272     proposition
              2273     freight
              2274     submissive
              2275     indiscriminate
              2276     credulity
              2277     evergreen
              2278     affirmative
              2279     temperate
              2280     come across
              2281     oyster
              2282     inventory
              2283     assassinate
              2284     culminate
              2285     exquisite
              2286     illusory
              2287     agent
              2288     nominal
              2289     momentous
              2290     meddle
              2291     practicable
              2292     subsistence
              2293     veto
              2294     profound
              2295     grass roots
              2296     abide
              2297     likelihood
              2298     meteor
              2299     linguistic
              2300     consequence
              2301     debris
              2302     compromise
              2303     woe
              2304     manipulate
              2305     ardor
              2306     magnitude
              2307     snail
              2308     ozone
              2309     diligence
              2310     reclaim
              2311     stereotype
              2312     uniformity
              2313     jellyfish
              2314     pretentious
              2315     paddy field
              2316     celebrated
              2317     acquisition
              2318     thigh
              2319     credentials
              2320     elated
              2321     transparent
              2322     grim
              2323     crash
              2324     utmost
              2325     inundate
              2326     glimpse
              2327     baroque
              2328     pasteurization
              2329     herb
              2330     predecessor
              2331     dismantle
              2332     ecologist
              2333     scorch
              2334     embezzle
              2335     accuse
              2336     provincial
              2337     divorce
              2338     savant
              2339     reputed
              2340     abuse
              2341     infer
              2342     sprain
              2343     mail
              2344     abortion
              2345     absolute
              2346     predominant
              2347     dine
              2348     scrutinize
              2349     barely
              2350     condolence
              2351     withdraw
              2352     Frigid Zone
              2353     ironic
              2354     acoustic
              2355     archipelago
              2356     scan
              2357     anthropology
              2358     corrupt
              2359     hypothetical
              2360     incompatible
              2361     indispensable
              2362     seep
              2363     rubble
              2364     stern
              2365     benevolent
              2366     illuminate
              2367     industrious
              2368     detergent
              2369     converge
              2370     brand-new
              2371     growl
              2372     descend
              2373     outlet
              2374     volatile
              2375     proprietor
              2376     hypocrisy
              2377     reservoir
              2378     barren
              2379     solitary
              2380     raid
              2381     runoff
              2382     built-in
              2383     apathy
              2384     incontrovertible
              2385     candor
              2386     illiterate
              2387     smother
              2388     levity
              2389     forbearance
              2390     strive
              2391     arduously
              2392     placate
              2393     perch
              2394     dismal
              2395     zinc
              2396     shudder
              2397     hemorrhage
              2398     sluggish
              2399     visionary
              2400     hectic
              2401     narcotic
              2402     stem from
              2403     junk
              2404     acute
              2405     monotonous
              2406     valid
              2407     sporadic
              2408     admonish
              2409     convene
              2410     faction
              2411     abruptly
              2412     controversial
              2413     unique
              2414     feudal
              2415     impetus
              2416     speculate
              2417     bold
              2418     stem
              2419     articulate
              2420     acid
              2421     outright
              2422     itchy
              2423     submit
              2424     cardiac
              2425     satirical
              2426     throne
              2427     discount
              2428     novelty
              2429     derive
              2430     formidable
              2431     confine
              2432     gale
              2433     expertise
              2434     eclectic
              2435     tactics
              2436     amity
              2437     stroll
              2438     insolent
              2439     rehabilitate
              2440     redundant
              2441     fervor
              2442     insolvent
              2443     lethal
              2444     captivity
              2445     taper
              2446     natal
              2447     wholesome
              2448     clemency
              2449     afflict
              2450     common sense
              2451     prose
              2452     detain
              2453     simultaneous
              2454     tuition
              2455     remorse
              2456     additive
              2457     disclose
              2458     eccentric
              2459     postscript
              2460     restless
              2461     reckless
              2462     boxwood
              2463     larva
              2464     prodigal
              2465     intrude
              2466     defendant
              2467     sparrow
              2468     offshore
              2469     cosmic
              2470     stockpile
              2471     wedge
              2472     boost
              2473     ail
              2474     haunt
              2475     thesis
              2476     curtail
              2477     dynamic
              2478     blatant
              2479     plateau
              2480     adversary
              2481     deadlock
              2482     erode
              2483     infrastructure
              2484     Uranus
              2485     tentative
              2486     agenda
              2487     document
              2488     groan
              2489     esteem
              2490     disruption
              2491     antipathy
              2492     infallible
              2493     mend
              2494     renewal
              2495     plutonium
              2496     coffin
              2497     whistle
              2498     equivocal
              2499     concise
              2500     foe
              2501     hamper
              2502     ranch
              2503     provoke
              2504     smuggle
              2505     conclusive
              2506     depict
              2507     limestone
              2508     aggravate
              2509     censor
              2510     rugged
              2511     negligence
              2512     didactic
              2513     converse
              2514     converse
              2515     credence
              2516     hawk
              2517     anonymity
              2518     tedious
              2519     sprout
              2520     devastate
              2521     inert
              2522     indulge
              2523     trivial
              2524     ambiguous
              2525     dismiss
              2526     municipal
              2527     back away
              2528     aggression
              2529     miscellaneous
              2530     precipitate
              2531     jogging
              2532     retail
              2533     lucrative
              2534     marital
              2535     upright
              2536     cumbersome
              2537     savory
              2538     uneasy
              2539     penetrate
              2540     rhetoric
              2541     sanction
              2542     contend
              2543     compensate
              2544     notorious
              2545     colleague
              2546     impede
              2547     at one's best
              2548     erupt
              2549     foster
              2550     propriety
              2551     offset
              2552     phobia
              2553     latent
              2554     authentic
              2555     recession
              2556     vegetation
              2557     incisive
              2558     ascribe
              2559     carnation
              2560     onlooker
              2561     distort
              2562     induce
              2563     oppression
              2564     insensitive
              2565     mirage
              2566     obstinate
              2567     irreparable
              2568     outskirts
              2569     terminate
              2570     forgo
              2571     gloomy
              2572     mystical
              2573     enhance
              2574     pier
              2575     legislation
              2576     salvation
              2577     apparatus
              2578     polar bear
              2579     counterfeit
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              コウタロウ英国留学記(4)
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                Walmerで木登り

                コウタロウ英国留学記最終回。
                イタリア・ポルトガル・スペインへの旅行
                大学でのエッセイの追い込み、そして帰国


                前回までのコウタロウ英国留学記  (1) (2) (3)


                1月「涙」

                ローマの危険で不気味な地下鉄

                12月31日ローマに向けて出発した。移動にはドイツのLCCのライアンエアーを利用した。


                LCCは値段が安い分、郊外にある空港を使う場合があるが、イギリスの拠点はロンドン北部にあるスタンステッド空港で、フライトの時間を考えないと空港までの交通費や前泊の宿泊費などでLCCを使わない場合よりも高くつく場合がありそうだなと思い、注意が必要だと思った。
                飛行機でアルプスを超える時の景色は忘れられない。地上から見ると巨大な山々だが、上空から見るとちっぽけだ。雲の間から刺々しく山頂が顔を覗かせる。



                 
                ホテルはヴェネチアへの列車が出発するローマテルミニ駅付近にとった。
                空港から駅まではシャトルバスで移動した。バスでの移動中から古代の遺跡が見えて、また石畳の道路の脇に高い木が立っていてこれぞ”ローマへの道”と言う場所を通ったので、興奮気味に車内からカメラを向けていた。街自体が遺跡というか、遺跡が街を構成している、2000年前の建物が違和感なく溶け込んでいるという感じがした。



                コンスタンティヌス帝の凱旋門


                ローマ市街南側の境界、サン・セバスティアーノ門


                アッピア街道。ローマ付近は現在でも車道として使われているらしい。どの車も石畳の細い道をとんでもないスピードで走る
                 
                ローマの地下鉄はロンドンやパリとは比べ物にならにならないほど暗く、施設が古びていた。車両も全面にスプレーで落書きがしてあり、落書きなのかアートとして描かれているのか判断しかねた。
                地下鉄ではスリに合いそうになった。僕が乗った電車は満員だった。これは注意していなければスリに遭っても不思議ではないと思っていたところ、ドアが閉まる直前に30歳くらいの男の人が僕の正面に不自然に割り込んできた。想像した通り、彼は僕のポケットに手を突っ込んできた。スリに会わないようにポケットには何も入れていなかったので被害はなかったが、実際にスリに遭遇して貴重な体験ができたと思った。不思議だが実際に自分がターゲットになったことが嬉しかった。


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                2015年1月1日の始まりはスペイン階段の上で過ごした。偶然、留学していた日本人の友達とローマにいる日が被ったのでせっかくだからと、一緒に晩御飯を食べ、新年をカウントダウンして迎えた。
                ローマの年越しは花火がいたるところで打ち上げられ、また、爆竹がひっきりなしにならされ、耳がおかしくなりそうなぐらい騒がしかった。遅くなりすぎても怖いので、1時ころホテルに帰った。

                 
                ヴァチカンの大混雑

                1月1日。元日は多くの施設が閉じているので、次の日の観光ローマの街をひたすら歩き続けた。少し歩けばコロッセオ、また少し行けばトレビの泉、その目と鼻の先にマルクス・アウレリウス・アントニウスの廟と、世界史の資料集でしか見たことのなかった建造物が自分の目の前にある、夢のような時間だった。
                 
                1月2日はヴァチカンに行った。ヴァチカン美術館は長蛇の列ができることで有名で、事前予約が必須であるが、実際に行列を目の当たりにしてぞっとした。チケットを購入しようとする人とは別に予約をしている人の列すらできる。
                中に入って気づいたが大方の目当てはシスティーナ礼拝堂だった。壁面、天井を隙間なく埋め尽くす壁画にはため息しか出ない。この空間だけ異様だったのは薄暗さと、私語とカメラの仕様に対してとにかく厳しいことだ。少しでも声を発したら注意されるし、カメラを構えようものならすぐに警備員が飛んで来る。システィーナ礼拝堂の特別さと神聖さを感じる経験だった。
                 
                博物館から出て帰るときには、城壁をぐるっと囲うほどの列ができていて、この行列に並んだら観光どころではなく並ぶだけで一日の観光が終わってしまう恐怖感を覚えた。予約は大事だとつくづく感じた。そのあとサンピエトロ寺院に入ったが、想像していたよりも巨大で、ペトロの墓も荘厳な雰囲気を帯びていた。



                イタリアでは、ピザはレストランでも大衆食堂みたいなところで食べても種類が豊富な上、安くて美味い
                 

                コロッセオとカタコンベ

                1月3日は午前中にコロッセオを見学した後、午後はカタコンベに行った。
                コロッセオはむき出しの地下部分、昔は檻として使われていたところに苔がはえていて、感情がないというか寒々しい雰囲気を醸しだしていた。客席部分は人がどうやって座っていたのか想像できないくらい傾斜が急で壁のようだった。グラジエイターは戦い続けるか死ぬかの選択肢しかない悲惨な状況だったというが、人が獣と闘うのを見て、観客が興奮していた場所だと考えると笑えなくなってきた。それにしても、ここまでしっかりと形が残る遺跡を作った古代ローマ人の力を感じる。




                カタコンベにはバスで行けるが、どのバスに乗れれば良いのか調べるのが面倒くさいし、バスの時間に縛られるのも嫌だったので、タクシーで行こうかと考えたが、それも一人で乗るのはもったいないし、歩いたほうが最も融通がきくと考えたので結局歩いて、もしくは走っていくことにした。
                結果的に、途中にカラカラ帝の大浴場跡を発見できて収穫もあったが、全体的に道が狭く人影がなくただただ怖い道中だった。車がたまにしか通らない、片方は工事が途中で放棄された廃墟のような建物が吹きざらしになっているような道を通った時は、思わずダッシュせずにいられなかった。頭上をカラスが飛んでいっただけで変な道に導かれているのではないかとか、誰かが待ち伏せしていて誘拐されてしまうのではいかといった妙な想像をしてしまった。
                カタコンベに行くときは一日がかりの計画で、タクシーかバスを使い、余裕を持って訪れなければならないと学んだ。

                 
                ヴェネチアで、たった一人の成人式

                1月4日。朝10にローマを発ちヴェネチアへ移動した。友達の勧めでITALOに乗った。フェラーリと同じ色の鮮やかな赤が特徴の列車だ。車内では無料でwi-fiが利用でき便利だった。
                ヴェネチアの駅に到着する手前で、電車が海の上を走るのだが、いよいよ水上都市のヴェネチアに到着したという興奮状態にしてくれる。駅を出たら目の前は運河。夢の国に来たようなわくわく感が心を支配する。水上バスであるヴァポレットのチケットを購入し乗船した。
                ヴァポレットはいろいろな路線があり、どれに乗ればいいか迷うが、ヴェネチアの全体像を把握するために2番の船でとりあえず1周してみた。ゴンドラで優雅な時間を過ごしている人もいれば、警察もボートでパトロールしている。主要な交通手段が船ということに興奮しっぱなしだった。
                 
                ヴェネチアでは孤独に関して考えることになった。結果的に言うと、孤独は人にあふれる場所で感じるということだ。これまでは大自然の中に一人ぽつんと立っていてなかなか人に会えないような、物理的な距離や時間的な遠さが孤独を生むと考えてきた。しかし、実はそのような状況下だと確かに寂しさを感じるかもしれないが、自然が自分の友達になったというか、包み込まれたような不思議な安心感に似た感情を抱く。

                逆に、人ごみの中だと自分が1人でいるという事実が際立つ。有名な観光地のヴェネチアなので、周りはカップルや家族連れ、友達同士の旅行客ばかりだ。1人で行動している人はほとんどいない。日本で一番孤独な人間は、東京ディズニーランドに一人でやってくる客だと聞いたこともある。

                そんな中で自分は1人で行動している。ちょうどそのころ日本では、もうすぐ成人式で友達は地元に帰っている。仲の良い友達と集まり酒を飲んだり、早いところでは成人式があったりしている。旧友と久しぶりに会い、成長を確かめ合い、思い出話に花を咲かせる。その様子をfacebookやtwitterに投稿したものが目に入る。そんな光景がうらやましくて仕方なかった。
                 
                20歳の誕生日を海外で迎えるほうが貴重だとか、成人式に出席したかしなかったかなんて大した違いを生まないと自分に言い聞かせようとしたが、そう思えば思うほど、強がっているのが鮮明になり余計に悲しくなった。美しいサンマルコ広場の夜景を見ていると急に寂しさがこみ上げてきた。目の前に広がっている光景が次第に滲んでいく。一滴の涙が頬を伝うのがわかった。波の音や鐘楼から響く鐘の音が寂しい気分を助長するBGMと化した。


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                サンマルコ広場の鐘楼より

                 
                ヴェネチアのとびきり美味なシーフード

                ヴェネチア二日目はブラーノ島へ出向いた。ガラス細工で有名な島で、ヴァポレットを降りると人が同じ方向に流れていくのでついて行ったら、ガラス細工の工房を見学できた。色とりどりに輝き、どうやって作業したか想像もつかないような繊細な飾り付けがされたガラスがあったのでお土産に何か一つ買って帰ろうかとも考えたが、手頃な値段のものがなく諦めた。将来こういうものが躊躇なく買える様になってからもう一度来たいと思った。
                 
                1月6日イタリア最終日、ロンドン行の飛行機は夜なので、昼過ぎまでは観光できた。la plancaというジューデッカ島にあるレストランで昼食を食べた。トリップアドバイザーでの評価も高く、僕が行った時も満席だったので2時間待った。



                ジューデッカ島にあるLa Palancaというレストラン

                このレストランで、久しぶりに生の魚を食べた。カジキマグロのカルパッチョ、コイワシのマリネ、ヴェネチア名物のサルディン・サオールが盛られている前菜は2人でシェアしても十分満足できるだろうと思えるほどの量だった。それを一人で平らげたのでとても満足した。嫌な生臭さもなく味付けもさっぱりとしていて非常に食べやすかった。干したオレンジの皮を刻んでふりかけていたのはおしゃれだった。メインのトマトソースパスタも酸味と甘みのバランスが絶妙で何人前分でも食べれそうな勢いだった。久しぶりに食に幸せを感じた。オーナーが直接注文を取りに来てくれる親切な店で、待った甲斐があった。
                 
                隣の席に座っていたイギリスのオックスフォードから旅行に来ている中年夫婦とも会話し、一人旅の寂しさが少しは解消された。食後には美しいヴェネチアの景色を目に焼き付けながら、紅茶を一杯のんびりと飲み干した。
                トレビーソ空港まではシャトルバスで行き、ライアンエアーを使ってロンドンまで帰った。感情の起伏が激しいイタリア旅行だったが、ミラノやフィレンツェにもいけていないし、ヴェネチアは涙を流した思い出の地となったので、将来もう一度訪れたいと思う。
                僕はヴェネチアで確実に強くなった。


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                注文した前菜、魚の盛り合わせ。これがほんとに美味しいんだ。量的には2人前だけど、新鮮な生の魚を食べるのが久しぶりというのもあって一瞬で食べきった。

                 
                ポルトガルとエンリケ航太郎王子

                1月7日にイタリアから帰国して、服などを少し入れ替えてから1月10の朝にはスペイン、ポルトガル旅行に出発した。
                スペインというと、マドリードやトレド、バルセロナお観光する方が多いと思うが、僕はグラナダのアルハンブラ宮殿にだけ行ければいいという気持ちで計画を立てた。高校二年生の時に世界史の資料集でアルハンブラ宮殿に一目惚れしてから、大学生の内に絶対に行くと決意していた。
                またポルトガル観光で、リスボンではなくポルトを選んだ理由はエンリケ航海王子の生家を訪れるため。高校時代に年に1回生徒が発行する学校誌のようなものの学級欄で”運動できる爽やか王子”と書かれたことがあった。それ以来、エンリケ航太郎王子と呼ばれることもあった。
                 
                例のごとくロンドンスタンステッドからライアンエアーでポルトに飛んだ。空港から試合地まではメトロで移動する。ポルトのメトロは路線数が少なくわかりやすい。車両はきれいで乗客の雰囲気ものんびりしていた。
                ポルトはドウロ川河口付近に位置する。川を挟む形で町があり、坂に住宅が立ち並び、観光用のケーブルカーがあり、橋が架かっているなど構造的には故郷である尾道と同じ雰囲気を感じたが、建物が石造りというだけで見た目が全く違って見えた。ポルトでやりたいことは二つ。ポルトワインのワインセラーを見学することと、エンリケ航海王子の生家を訪れることだ。


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                ポルトといえばこの景色。ドンスイス1世橋とワイン運搬船の組み合わせ。橋の上を走っているのは何とメトロ

                エンリケ航海王子の生家は発見するのに時間がかかった。Google map のGPSと地図上の点はあっているのに、それらしき建物が全然見当たらないのだ。10分以上そのブロックを周回した末にやっと入り口を見つけることができた。しかし、観光客が訪れている雰囲気もない。ガラス越しに中を覗くと、一応見学できるようにはなっているようだったがその日は閉まっていて、それ以降しばらく開館されることはないという。質問に答えてくれた人も忙しそうにしていたので、この場所には来れたわけだし、とりあえず目的は達成したと思い、入り口にあった看板と説明書きだけ写真に収めてその場を後にした。

                ポルトワインは、まだ糖分が残っている発酵途中にブランデーを加えて酵母の働きを止めることで甘く仕上がるのが特徴だ。まだまだ子供なのでワインの味など区別できないが、このワインがとにかく甘いことだけは分かった。ただアルコール度数が20%と通常のワインよりも高いため、甘くて飲みやすいからと言ってごくごく飲んでいるとすぐに酔っぱらう。ツアーの最後に試飲会があるが、白と赤を少しずつ飲むことができる。ジュースみたいだった。学生にとっては危険なワインだなと思った。


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                ポルトワイン。ワインの味を区別できるほど大人な舌は持ってないけど、また飲みたくなるワインだった。

                 
                スペイン・マドリードの8万人収容のスタジアム

                目的を達成し早々とポルトを後にした。向かう先はマドリード。特にマドリードには用事はなかったが、ポルトからグラナダへ直接移動する手ごろな手段が無かったのでマドリード経由でグラナダまで行くことにした。
                手段は長距離バス。パリに行くときに利用したバスが頭をよぎり、さぞかし辛いバス旅になるだろうと予想していたが、思ったより楽だった。乗客が少なく、のんびりとくつろげたからだ。距離的には420kmと国境を超えるドライブにしてはそれほど長い距離ではないが、ポルトガル内の複数の都市で客をピックアップし、スペインに入ってからも高速は走らず、いろんな街を経由して順々に乗客を降ろして回るので余計な時間がかかったが、移動が昼間で外の景色も見られたし、本を読むなどして暇を持て余すことはなかった。
                ポルトガル-スペイン国境でウルグアイ人が二人バスから降ろされたのには少し驚いたが、無事にマドリードに到着した。マドリードのバスターミナルは巨大だった。
                 
                マドリードのユースホステルで一泊した。ヨーロッパの街はどこもそうだが、住宅もホテルも会社も同じような石造りの外観のところが多いのでホテルの場所を見つけるのが大変だった。とくにマドリードに着いた時は暗かったので、自力では見つけられずジムらしき場所に入って受付の人に場所を聞いた。いい意味で予想を裏切り親切に答えてくれたのは嬉しかった。
                次の日の午前中、グラナダへのバスの時間までレアルマドリードのホームスタジアムであるサンチアゴベルナベウのスタジアムツアーに参加した。ツアーと言ってもガイドはおらす、個人個人で自由にスタジアムを見学できる。試合がある日以外は基本的に見学できるそうで、これだけの人気クラブだとスタジアムツアーに参加したい人も多いだろうから、ツアーによる収入だけでも相当な額になると思った。
                 
                8万人入るスタジアムは巨大だった。日本には8万人収容できるサッカー専用スタジアムは無い。これが満員になるとどんな雰囲気なのかと想像もつかなかったし、8万人の大観衆の中でスーパープレーを繰り出す選手たちの精神的な強さは想像もつかない。この巨大なスタジアムが試合ごとに常に満員にする集客力はクラブや選手の努力の賜物だと思った。スタジアム自体がスパースターが集うビッククラブの力を象徴している気がした。
                スタジアムツアーでは、ロッカールーにも入れるのだが、意外にも質素で木のベンチが並んでいるだけだった。それでもジャグジーがあったりシャワーが綺麗だったり、ジャグジーとは別に風呂もあったりとホームチームのロッカーは充実していた。受験生の時とアメフトを始めてから、サッカー選手にはあまり興味がなかった僕でも知らない名前はないぐらい有名な選手の名前がロッカーに刻まれていて、凄い場所に来たんだなという以外に感想が持てなかった。
                 
                マドリードからグラナダへの移動にもバスを使った。利用客は少なくなかったが、隣の席は埋まらなかったので、ゆったりと座ることができた。
                休憩のためにとまったサービスエリアのようなところで生ハムを買いバスの中で食べた。抜群に丁度いい塩気が疲れた体を蘇らせる。この時から生ハムにはまった。
                グラナダに到着してからタクシーでホステルまで向かいそのまま一泊。家族がやっているB&Bで、日本で最近話題になっている民泊みたいなホステルだった。リビングは家族と共有で、子供が親からプレゼントをもらっている様子も見ることができた。テレビでは吹替え版のドラえもんが放送されており、ワールドワイドな日本のアニメの実力に触れた。

                 
                20歳の誕生日。一人パエリヤ

                1月15日、20歳になった。スペインで迎える誕生日、これからの人生の中であるか無いか分からないスペインで迎える誕生日。別にスペインということにこだわりは無いが海外で迎える特別な20歳の誕生日になったことに変わりはなかった。
                晩御飯にはパエリヤを食べた。注文するときに店主がスペイン語で何かを伝えようとしてきたのだが、しばらくしてこれは値段も量も二人前だが大丈夫かということを確認したかったらしいことがわかった。2人前を平らげることに不安は無かったのでそのまま注文した。人生で初めて食べたパエリヤだが、めちゃくちゃ美味かった。
                イカやムール貝などのトッピングにも香ばしい味がしみ込んでいて、米にもカツオや昆布からだしをとってたいたようなまろやかな味付けがしてあった。帰国してからスペイン料理屋で何度かパエリヤを食べたが、このときを超えるものにはまだ出会っていない。


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                世界史の勉強で憧れたアルハンブラ宮殿

                次の日は朝からアルハンブラ宮殿とアルバイシンの丘を観光した。高校生のころからの念願がやっと叶うと期待に胸を膨らませ、歩き始めた。丘の上にあるので坂道が長く続いたが、もうすぐアルハンブラ宮殿に到着すると思うと坂道を歩いて登る煩わしさなどみじんも感じなかった。人は本当に感情に左右される。
                 
                宮殿の入り口に到着した。イヤホンガイドを借り、順序に沿って見学し始めた。アルハンブラ宮殿は異なる時代に建てられた建物が組み合わさって構成されている。時代によって建築様式や形状なども異なるため見ていて飽きない。カルロス5世の宮殿やライオンの中庭、アラヤネスの中庭、ヘネラリーフェなど見どころは盛りだくさんだ。イスラームの装飾は繊細で、僕が行ったときは天井を修理していたのだが、修復にも時間がかかるといっていた。宮殿にはシエラネバダ山脈からの水が引き込まれ、建物の中に溶け込んでいる。水を利用しているというよりも水が活きている宮殿だと思った。噴水や水路をとおる水など音が絶えず聞こえてきて癒される。やっぱり僕は水のある場所が好きなんだと再確認した。
                 
                アルハンブラ宮殿からはこれも世界遺産であるアルバイシンの丘が見えるのだが、一つの丘が真っ白に見えて非常に見応えがある。この丘は昔アラブ人の居住区だったところで、建物の壁がギリシャのサントリーニ島のように白で統一されている。
                アルハンブラ宮殿に3時間ほど滞在した後、ここに歩いて向かった。歩いていると遠くからギターの音と歌声が聞こえてきたのでそれに誘われて行くと展望台にたどり着いた。ここからはアルハンブラ宮殿を一望できるのだが、ここから見るシエラネバダ山脈を背景にした宮殿も美しかった。のんびりした空気の流れる南米のような雰囲気の感じられる場所だなと感じた。



                ナスル朝時代王族の避暑地として造られたヘネラリーフェ、アセキアの中庭。1950年代に修復工事が終わったらしく、外観はとても新しい。水が主役の庭。ベンチに座って深呼吸すると澄んだ心が蘇る。

                グラナダにはもう一泊し、次の日の朝飛行機で帰国したが、途中経由したマドリードの空港もターミナルが巨大で乗り継ぎが大変だった。 
                結局、クリスマス休暇でフランス、イタリア(ヴァチカン市国含む)、ポルトガル、スペインを旅行したが、それぞれ雰囲気が違って面白かった。
                店での接し方を例に取ると、フランスはよそ者、イタリアは友達、ポルトガルではお客様、スペインでは観光客としての対応をされているなと感じた。これは僕の態度や行先で大いに変わるが僕の中での各国の印象を簡単に言うとこんな感じだ。1か月弱最初から最後まで1人で旅行すると精神的にもそこそこ疲れるなと感じた。

                 
                日本人留学生ダニエル

                ここである日本人留学生の男を紹介したい。その名はダニエル。顔がハリーポッターのハリーに似ていることから、ダニエルと言うニックネームを持っている。
                彼は地元尾道では有名人だった。1/2成人式で将来の展望を発表し、国連職員になりたいと語っていたのが印象的だった。機械が動いているかのような正確なお辞儀をし、しゃべり方も只者ではない印象を受ける。尾道から広島市内の高校に進学し、卒業後イギリスに渡ったそうだ。直接面識があるわけではないが、彼と中学校が同じだった友達から間接的に話を聞くと、みんなも別次元の人だと認識しているように感じる。ブログも有名だ。
                僕が1月にロンドンで英検を受験したとき驚愕した。筆記試験の時の試験監督がダニエルだったのだ。会場はImperial College of Londonで、後で彼のfacebookを確認してみると、やはり試験監督はダニエルだった。
                試験会場に入室し着席して顔を上げた瞬間、知っている顔が教壇に立っているのだ。試験前だったのに、試験どころでなく動揺した。イギリスの大学に進学しているのは知っていたが、まさかこんなところで目にするとは思っていなかった。
                試験監督と受験生という立場に歴然とした差を感じた。何が何でも絶対に合格せねばと思った。

                 
                2月「授業」

                英語のディスカッションの苦しさ

                さて、ここまで大学の授業について全く触れていないので少しはイギリスでの勉強に関しても触れておきたい。
                Pre-sessional courseが終了しテストにも無事合格したので、10月からは正規の学生と一緒に授業を受けることになる。10月からクリスマスまでの秋タームと、クリスマス休暇明けから4月2週目くらいまでの春タームがあるが、それぞれ4つずつ授業を履修した。
                政治の導入科目や、日本の政治、イギリスの国会について、第二次世界大戦中のイギリス、EUの仕組み、世界の帝国史などに関する授業をとった。ジャーナリズムを学んでみたかったが、開講されるのがバスで1時間ほど離れたキャンパスにあり他の授業との兼ね合いもあり、取るのを断念した。
                 
                1つの授業につき週に1時間の講義(レクチャー)と1時間のゼミのようなディスカッションの時間(セミナー)がある。つまり他の人と顔を合わせて学ぶのは各ターム週に8時間しかない。予習復習がとても重要だということだ。講義を受ける前に2,3の資料を読み、講義の後に復習をし、それを踏まえてセミナーのための文献を読む。セミナーでは講義内容と参考文献を元に議論をして理解を深める。
                僕が最も苦労したのがこの部分で、いくら参考文献を読んだところで、背景知識の量が違いすぎ他の学生が説明していることが少ししか理解できない。イギリス政治の授業はセミナーのグループで自分以外全員ネイティブだったので会話のスピードも速くついていくのが必死だったというか、完全についていけてなかった。
                 
                セミナーではどれだけ積極的に議論に関与しようとしても限界を感じた。外国人の僕には、アクティブラーニングのようなセミナーはきつい。聞き流しても内容は入ってこない。
                逆にレクチャーは日本の大学の一般的な講義と同じで先生がスライドなどを使って解説していく方式だ。先生が説明口調で、プレゼンのときのように聞き手の学生を意識して話してくれるので非常に聞き取りやすかった。



                イギリスで読んだ日本の文庫本。本体価格1円の中古の本だけど、古本独特の匂いと日焼けした紙の感じが好き。文字が小さいのも昔っぽい。

                 
                3月「坊主」

                長髪を一気に坊主にした人気者koTTAro

                4月にイギリスに来て夏に1回散髪をしたが、それ以降は耳の周りを軽く切る程度でほったらかしていた。日本人がやっている美容院に行く選択肢もあったが髪のためにお金を出す気にはならず、それなら現地の散髪屋さんに行ってテレビの企画であるようにお任せで安く仕上げてもらおうかとも思ったがそこまでの勇気もなく、結局気づいてみれば耳が完全に隠れるほど髪が伸びた。ヘルメットを被っているような見た目だった。頭が重く感じた。
                 
                バリカンを友達に借りて、長髪を一気に刈った。思い付きは怖い。現地の床屋に入る勇気がないのに、いきなり坊主にしだすとは面白い。フランス旅行前に坊主にしていればドライヤーを荷物から省けたし、何より確実なシャワーが保障されないユースホステルなどでは洗面台で頭を洗ったりできるので非常に便利だったというのに。乾かす手間も省けたし旅行の前に坊主にすればよかったと後悔した。
                 
                坊主にした後アメフト部の練習に行くと、いつもは“Hi,koTTAro”と迎えてくれるはずのみんなが、僕のほうを見ては目を丸くしている。QBのローレンスには誰かまったくわからなかったといわれた。自分の目の前にいる日本人がkoTTAroであると認識されてからは丸めた頭を触られまくった。一瞬だけでもFalconsの中心になった気がしてうれしかった。ちなみに、チームメイトたちは‘こうたろう’とフラットに発音することが難しいらしく、イメージとしてはkoTTAroと呼ばれている感じなのでこう表記している。
                イニシエーションのコスプレといい、突然坊主にしてくるのといい、最初から最後までこの日本人はどこか狂っていると思われていたかもしれない。
                 
                エッセイ。エッセイ。エッセイ。エッセイ。エッセイ。エッセイ。3月の僕の頭の中を文字であらわすとこうなる。24時間こんな感じだった。本当にエッセイに追われていた。一つ2年生の授業を取っていたのだが、エッセイが3500ワード以上で死ぬかと思った。レッドブルを飲み夜遅くまでエッセイを書き続けた。この時が一番留学生らしかったかもしれない。
                 
                4月「362日ぶりの日本」

                帰国の荷造りはたいへん

                帰国の時が近づいてきた。たった1年とはいえど、イギリスに来た時よりも格段に荷物が増えている。パークウッドには服や靴、本などを入れておけばユニセフに寄付されるボックスが設置してあったので、日本に持って帰って使うほどでもないが、まだまだ使えそうな靴や衣類、文房具などを大量に寄付した。1年前の反省を活かし、できるだけ荷物を減らしたかった。
                帰国3週間前頃から荷造りを始めた。お土産などに多くのスペースお割かれるので苦労した。どうしても入りきらない荷物は新しく大きくて安いスーツケースを買い、クロネコヤマトで日本に送った。
                帰国2日前、2年生のWRで一番仲の良かったセドリックが、帰国するコウタロウのためにメッセージを募ってくれた。多くのチームメイトから嬉しい言葉をもらい、世界とつながったと思った。QBのローレンスやセドリックとは今でも連絡を取る。
                 
                海外での「湯船愛」

                日本でも一人暮らしをしているとシャワーで済ます人が多いかもしれない。しかし、家に湯船があり入ろうと思えばいつでもお湯を張れる状況と、入りたくてもシャワーの施設しか無いのとでは全く違う。シャワーだと立ちっぱなしで足がつかれリラックス出来ない。少しでも風呂でくつろぎたかった僕はバケツを持ち込み、そこに座り壁にもたれかかり、ぬるめのお湯を浴びることで何とか気持ちを紛らわしていた。だが、湯船には到底及ばない。
                またクリスマス休暇の時は結局時間がなくて断念したのだが、湯船というか温泉に浸かりたくてハンガリーのブダペストに行くことを本気で計画していた。それほど湯船に恋焦がれていた。
                そして帰国直前に湯船に浸かる機会が訪れた。ヒースロー空港で前泊した部屋に湯船があったのだ。興奮した僕は熱いお湯を貯め、ざぶーんと勢いよく浸かった。思わずのぼせるまで浸かってしまい、熱くて風呂上りに全裸でいたら案の定湯冷めして、次の帰国の日の朝、体調は最悪だった。風邪をひいているときの長時間フライトは辛い。

                 
                帰国してインフルエンザに

                日本を出国してから362日ぶりに帰国した。到着ゲートを出て親の姿を発見した時は、親がここにいてくれるだけで安心感を抱いていることに気が付いた。「久しぶり」と言うと「風邪は大丈夫?」と母親は言う。特別な言葉をかけるのも照れくさいので、何気ない日常にありふれたような会話をした。
                体調が優れなかったので、“3大食べたい”の、焼き肉、ラーメン、すし、を置いてうどんを食べた。だしの味が体にしみた。うまかった。やっぱり日本食はうまい。そう思った。
                 
                父の運転する車で尾道まで帰った。家についたころには熱が上がっていて、病院に行くとインフルエンザだと診断された。帰国早々のインフルは残念だったが、1週間ほどゆっくり休めと言われているのかなとも感じた。
                 
                最後に、留学したいと言い出した僕を叱咤し、情熱的に牽引してくださり、この場でコウタロウシリーズイギリス編を書く機会を設けてくださった笠見先生には最大限の感謝を表明したい。
                また家族、祖父母、BADGERSの仲間、留学中出会った日本人の留学生たち、留学制度を維持している岡大の担当者の方々、全ての方の協力、サポートのおかげで留学が成り立っていたことに感謝したい。
                さらに直接の関わりはなくとも僕を応援してくださっている方々もいることを認識し、その方たちの期待を裏切らないように成長し続けなければならない。
                その一歩目として、帰国後一年間の僕の歩みをアメフト編として書く。


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                最後のヒースロー空港。さよならイギリス、また来るでー


                コウタロウ英国旅行記 完 


                これは、コウタロウが大学2年の、イギリスへ留学した時の体験記である。大学1年での、アメフトと留学を目指すための英語勉強を両立した体験は、コウタロウシリーズ(31)を参照してほしい。


                 
                 
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                コウタロウ英国留学記(3)
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                  ケンブリッジで、藤原正彦『遥かなるケンブリッジ』を読む



                  11月「両親英国上陸」

                  コッツウォルズへ両親を案内

                  11月に入り雨の日が増えてきた。
                  11月の重大イベントはなんと言っても両親がイギリスに来たことだ。両親がイギリスに到着した翌日に会ったのだが、「その格好で寒くないん?」と最初に僕にかけた言葉はやはり僕を気遣う言葉だった。「入国審査大丈夫だった?」と聞くと、「何がなんだか分からなかったけど2人で何とか通してもらえた、一組前のアジア人が部屋に連れて行かれていて焦った」というようなことを不安そうに、でもどこか楽しそうに話してくれた。
                   
                  メインイベントはコッツウォルズへの日帰りツアーだ。母がガイドブックを見て一目惚れし、なんとしてでも行きたいと言っていたので、実現して良かった。コッツウォルズは見どころとなる町がそれぞれ離れているのでツアーで行くのがお勧めだ。僕たちはロンドンヴィクトリア発のみゅうのツアーに参加した。バイブリーという村はイギリスで最も愛らしい村と言われ、澄んだ小川と緑が抜群の調和をなしていた。湖水地方にも行きたかったそうだが、時間的に厳しかったのと位移動がしんどそうだったので今回はパスした。

                  行きたかったポーターズというレストランで晩御飯を食べたり、ウェストミンスター寺院に行ったり、ビックベンを見たり、テムズ川クルーズの遊覧船に乗ったり、観光地を巡った。特にウェストミンスター寺院は気に入ったようで、「ウィリアム王子が結婚式したとこよね!?」などと終始楽しそうだった。他に、カンタベリーに来たときに丁度アメフトの試合があったのでそれを見てもらった。

                  2階建バスに乗る機会がほかになさそうだったので、ここぞとばかりにバスに乗ってしまいバッキンガム宮殿の衛兵交代式を見逃したのは僕の最大のミスだ。悔やんでも悔やみきれない。
                  またエッセイのデッドラインが近く僕が慌ただしくしてしまったせいで十分に案内してあげることができなかったのが非常に心残りなので、もう一回家族でイギリスに行って今度はゆっくり観光したい。

                   
                  錦織圭とPerfume

                  この月は錦織のATPツアーファイナルを観戦しに行くことができた。ウィンブルドンに錦織の試合を見に行くことはできなかったが、タイミングが合い見に行った試合で錦織はマレーに対して見事に初勝利を挙げた。日本人として誇らしかった。また、テニスの試合を生で観戦したのは初めてだが、ポイントが入るごとに盛り上がり、プレーが始まるときには一瞬にして静寂に包まれる観客のマナーの良さに感動した。


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                  青い照明に包まれたO2アリーナ
                   
                  11月にはまた、Perfumeのロンドン公演が開催された。公演直前にタイミングよく、友達の別府君がフェイスブックにデビュー15週年の記事を投稿していて、それを見てロンドン公演のことを思い出した。これはなんとしても行かなければと急いでチケットをとった。
                  左端でステージの端っこが切れて見えない時もあるが、なんと前から3列目の席を確保することができた。Perfumeに関わらずコンサートに行くこと自体が時初めてだったので、その場の雰囲気に感動した。加えて、Perfumeは広島出身ということで、イギリスで同郷のアーティストが活躍している姿を見ると勇気がもらえた。

                  それまではPerfumeに特段興味があるわけではなかったが、異国の地にいる時は同郷というだけでここまで親近感が湧くものなのかと不思議に思った。体に映像を投影するプロジェクションマッピングや、あーちゃんによる自由奔放な進行もぞんぶんに楽しめた。半分以上は日本語を話しているのに、会場全体が燃え上がっていて、お客さんを楽しませるプロだなと思った。
                  錦織の活躍とPerfumeの公演は、イギリスのどんよりとした天気に負け鬱気味だった僕に元気を与えてくれた。


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                  前から6列目で飛んだり踊ったり、ハッスルしてました。Perfumeとかなり近かったです。聞きたかった広島弁は1人1回ずつ喋ってくれました。今日は大満足。
                   

                  12月「冬の旅行」

                  パリでジプシーに襲撃される

                  12月の中旬に各授業の期末エッセイを提出し終わったら、いよいよ待ちに待ったクリスマス休暇が始まる。取っている授業によって違うが、12月20日頃から約1か月間の休暇だ。
                  僕はまずフランスに行くことにした。パリがどれほど美しい街か感じてみたかったし、ヴェルサイユ宮殿や、モンサンミシェル、ルーブル美術館など、行きたい名所が多くあったからだ。またウッチャンナンチャンが泳いで渡ったドーヴァー海峡を船で渡ってみたかった。

                  ドーヴァーでバスに乗り、すぐに乗船し1時間半程度の航海。カレーに上陸し、バスでパリのバスターミナルまで行く。9時間弱の長時間移動なのに4列シートで、居心地は最悪、満席な上に子供がはしゃいだりするとくつろげない。
                  唯一の救いだったのは、隣に座っていたおじいさんが教師をしていた若いころの話や、イギリスとフランスのクリスマスの違いなど、会話に付き合ってくれたことだ。現在はパリに住んでいるらしく、イギリスから帰っている途中だったそうだ。


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                  バスに乗ってからフェリーに乗り込むまで2時間以上かかった。その大半が入国審査待ち。旅程の1/4を全く動かずにバスの中で待機というのは辛い。

                  午前8時半ごろにパリのバスターミナルに着いた。計画では朝着いて数カ所めぐろうと思ってたが、バス旅に疲弊しすぎて行動する気が起こらなかった。
                  お腹がすいたのでとりあえずマックに入りハンバーガーを頼もうとしたが、店員さんがフランス語しか話さないので注文に手間取った。挨拶以外のフランス語は全く分からなかったので指で注文した。パリでは英語を話してくれない人が多いと聞いていたが、英語で大丈夫だろうと気軽に構えていたので意表を突かれた。フランス観光が一気に憂鬱になった。
                   
                  朝のパリには地元の人しか受け付けない雰囲気を感じ、居心地が悪くなり、地下鉄で何気なくテュイルリー公園まで行った。公園を散歩しているときにジプシーのような集団に声をかけられた。ジプシーとは東欧を中心に生活している移民型民族の総称であるが、中には大都市の観光名所でスリをしたり、詐欺行為をしている人もいる。僕が出会ったのは詐欺のほうだ。手に署名用紙みたいなものを持っていて名前を書いてほしいとのことだった。言われるままに名前を書くと次は数字の欄だった。ここでしまったと思ったがもう遅かった。
                  気づけば僕の周りを5人以上の女の人が囲み、「money, money.」と連呼していた。あーこうやって金を取られるんだなと落ち込んだが、簡単に金を奪われるのも嫌なので逃げる方法を考えた。結局金を渡そうとして相手がちょっとだけでも気が緩んだ瞬間にダッシュするという強引な手段を採用した。後ろからは僕を罵る声が聞こえたが振り返らなかった。最悪なフランス観光のスタートになった。
                   
                  長時間のバス旅に加え、ジプシーに追い詰められて憔悴した僕は、ガルニエ座付近にあるスタバで休憩することにした。コーヒーを注文し二階に上がった。ツイッターを開き、Taloと書かれたコップを写真にとってツイートしたのを思い出す。


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                  ヴェルサイユ宮殿は「ただの箱」

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                  この日のメインイベントはヴェルサイユ宮殿に行くこと。思ったよりも中心部から離れていて電車で行かなくてならない。イギリスでもオランダでも思ったがヨーロッパは中心部を少し離れると一気に閑散とし田舎の雰囲気が出てくる。日本だと中心部から離れていくとグラデーションのように徐々に田舎に移行していくが、街の成り立ちの違いがこういうところに現れるのだと感じた。
                   
                  また、電車の中でアコーディオンを演奏する人がいて、演奏終了後にチップを求めてきたが入れるべきか入れないべきか分からず一度は断ったが、他の乗客たちが気前よくハットの中にチップを投げ込んでいたので、僕もそれに倣って、気持ち分のチップを投げた。電車内で楽器を演奏するのは、日本ではありえない光景だなと思った。僕がポケモンの歌を歌ったら、チップが集まるのだろうかと呑気なことも思ったりもした。
                   
                  ヴェルサイユ駅に到着した。みんな目的地は同じなので地図がなくとも宮殿まで迷うことはない。駅からの一本道を左折すると宮殿が見えてくる。金の装飾が目立つ宮殿もさることながらその前に広がる広場の広さにも驚いた。イギリスの学生ビザは最強でヴェルサイユ宮殿にも無料で入ることができた。
                  ヴェルサイユ宮殿の一番の目玉はなんといっても鏡の間で、ヴェルサイユ条約の調印式が行われた場所だ。まばゆいばかりに輝く華々しい歴史を感じた。しかし、宮殿の他の部屋には装飾品が残っておらず思うほど過去の栄光を実感することはできなかった。

                  建物自体は本当に大きいし、豪華絢爛なのは分かったが、“ただの箱”という印象で、そこまで感動はしなかった。中国の紫禁城に訪れた客も同じ印象を抱くと聞く。グランド・トリアノンやプチトリアノンせっかくなので行ったが、こちらは、豪華さは損なわず、かつ生活感があって落ち着く感じがした。プチトリアノンにはトイレがあって、これには驚いた。当時のフランスはそこらかしこでところかまわず脱糞し、トイレもないものだと思い込んでいたので意外だった。
                   
                  もう一つ想像を超えたのは庭園の広さだ。観光客用に自転車やカートが用意されているほどだ。歩いて回ろうと思ったら誇張無しに一日かかるか、その前に疲れ果ててしまう。大きさや富や地位を現していたのだと思うと納得する。とにかく広い。庭というより森。装飾よりも規模に驚かされたヴェルサイユ宮殿だった。
                  パリ中心部に帰ってからは、ノートルダム大聖堂に行った。クリスマスのミサが行われていて、人が多かった。青く灯された巨大なクリスマスツリーが、雨がぱらつく中で印象的だった。


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                  ヴェルサイユ宮殿。宮殿内、今でも豪華絢爛な鏡の間以外は想像していたよりも普通の宮殿だという印象を受けた。家具や装飾品がごっそり持って行かれとるせいだろうか。
                   
                  フランス2目12月25日、クリスマスに唯一営業しているエッフェル塔に行った。エッフェル塔で驚いたのが、ベビーカーを押したままエッフェル塔最上部の展望台まで上がっていた観光客が、一組ではなく、いた事だ。ヨーロッパは日本よりもベビーカーを押す子供連れの家族に対して優しいと聞くが、エッフェル塔まで連れて登るのだなと感心した。景色は言わずもがな綺麗だった。凱旋門を中心に放射状に広がるパリの構造が一望できた。


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                  ベトナム人街の汚い公衆トイレ

                  エッフェル塔の観光が終わった後はパリ13区にあるベトナム人街に行った。昼ごはんにフォーでも食べようと考えた。
                  ここでは人生で一番汚い公衆トイレを経験した。街を歩いているときに急にトイレに行きたくなった。かといって日本のようにコンビニがあるわけでもなく、クリスマスなので開いているカフェも見つからず、仕方なく公衆トイレを使うことにした。コインを入れたら扉が開く方式だが、コインを入れても開かない。扉が少し開いていたので手で無理やりこじ開けた。

                  入ってみると清掃されている痕跡がない。しかも前の人が残したであろう便が残っており悪臭を放っている。一刻も早くそこを出たかったが、排便という生理的欲求には勝てない。漏らすわけにもいかないということで、腰を浮かして排便した。幸いにも極限まで我慢していたため、瞬間的に用を足すことができた。トイレットパーパーが備わっているはずもなく持っていたポケットティッシュで拭いた。少しおなかが痛かったのもあり、フォーを食べるのは諦めて、ホステルに戻った。
                   
                  モンサンミシェルとラム肉

                  翌日、モンサンミシェルには日本人向けツアーを企画しているみゅうのツアーで行った。休憩がてら小さな歴史のある街によるのだが、そこでフランスらしい棚を発見した。小さな町の小さなスーパーなのに1ラインの棚全てをチーズが埋め尽くしていた。種類が多すぎてどれがどんなチーズなのか全くわからなかったので、写真だけとって思い出にとどめておくことにした。


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                  田舎町のスーパー。日本のコンビニと同じかそれより小さい店だけど、この棚は1面チーズ。イギリスに来てやっとチーズを食べられるようになった僕は種類多すぎて混乱状態

                  当日は雨の予報だったが、バスで移動している最中に強風によって雲が押し流され、到着する頃には晴れ間が覗いていた。モンサンミシェルは言わずと知れた海に浮かぶ寺院であるが、陸地と寺院を繋ぐ歩道が潮の流れを遮り砂が堆積し、このままでは陸続きになってしまうということで潮の流れを遮らないように橋を設置する工事がちょうど終了したところだった。橋の横にはパワーショベルが数台止まっていた。

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                  写真やテレビで取り上げられているせいか初めて目に入ったときの感動はそれほどなかった。ただ天井が木の板のところがあって、大聖堂が火災で燃えたとか、空襲にあって消失したとか聞いたときに石造りの建物なのに燃えるのかなと不思議に思うことが少なくなかったが、このとき初めて大聖堂の中で木を見て、燃えることがあることに納得できたのは収穫だった。

                  モンサンミシェル周辺はラム肉が有名で、こちらも有名な貝類とどちらを昼ごはんに食べるか迷ったが、ラム肉を食べた。ラム肉は生臭く食べにくいイメージがあったが、ここで食べた肉は嫌な臭いもなく、さらに柔らかくとても美味しかった。
                  先ほど感動はなかったといったが、参道や周辺の家は趣があって気に入った。


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                  僕が羊肉を好まない理由の独特の匂いがほぼ無かったのは子羊の肉だからなのか、ガイドさんが言うように潮を被って塩分を含んだ草を食べているからなのか
                   
                  パリの美術館巡り

                  パリではルーブル、オルセー、オランジュリー、ポンピドゥーセンターの近代美術館の合わせて4つの美術館を巡った。
                  オルセーは駅舎を改装して美術館にしているそうだが、駅舎が美術館になったという驚きよりも、こんなにも壮大で装飾に凝った建物が駅舎として使われていたことに驚いた。
                   
                  ルーブル美術館には一日を費やそうと考えていたが、広大すぎで絵をじっくり見ていたら一日で回るのは不可能だと思ったし、それ以上に歩き続けると足がしんどくて半日が限界だと感じた。実際の滞在時間は5時間程度。モナリザや、ナポレオンの戴冠式、サモトラケのニケや、ロゼッタストーン、など見逃せないものをかいつまんで見学して回った。


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                  ルーブル美術館、イギリスの学生ビザのおかげで無料だったし、リシュリュー翼から入ることによって全く待つことなく入場できた!メインエントランスはとんでもない列ができていたというのに。
                   
                  近代美術館は僕にはまだ早かった。近代の芸術を楽しんで鑑賞するセンスや技術は身に付いていない。キャンバスを赤一色で塗っただけのものや、メッセージ性を帯びているのはわかるが、時間をかけて解釈を考えるほど時間に余裕がなかったので一通りめぐるだけで、そんなに時間を割かなかった。
                   
                  一番気に入ったのがオランジュリー美術館。こじんまりとしているが、モネの睡蓮を展示するために改装された美術館で濃度が高い。モネやルノワール、セザンヌといった印象派の画家やピカソやゴーギャンの絵もあり、どれも有名な絵画ばかりで、しかも展示の仕方も凝っている。モネの睡蓮がパノラマ展示してある部屋で一日中読書でもしていたい気分になった。
                   
                  パリの地下鉄は路線がわかりやすく攻略すると移動が楽になるので、観光が一気に楽しくなる。芸術の都パリというイメージから多くの人が施設や町並みから人々のファッションまで、何もかもが美しいという幻想を抱いて旅行に向かう人が少なくないと思うが、その幻想もパリに行けば壊されるかもしれない。
                  ジーンズにダウンを羽織っているし、道端にはごみが落ちていたり、匂いもよくはない。そんなことを考えながら再び長いバス旅に耐えながらカンタベリーまで帰った。

                  (つづく)
                   

                   
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                  コウタロウ英国留学記(2)
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                    ケント大学アメフト部入部。スポーツセンターのコーチと

                    コウタロウ英国留学記(1)

                    7月「静寂」

                    夏休みにWalmer城観光

                    正規の学生たちは夏休みに入り、大学の敷地内から姿を消す。Parkwood は語学コースに参加している学生だけになり閑散とする。
                    7月は淡々と勉強をする日々が続いた。7月のハイライトはWalmer観光だ。Walmerはカエサルが上陸した海岸だそうだ。Walmer城はイギリス南東部を防衛する拠点のひとつで、重要な役割を果たしていたという重要な街だ。
                    当日は雨の予報だったが、バスでの移動中に晴れてきて、到着したころには青空が広がっていた。その分強風が吹き荒れていたが。Walmerの海岸は砂ではなく大き目の石の浜で、日本ではあまり見ないような海岸だった。
                    雨上がりなので空が青く白い雲とのコントラストが美しかった。足を肩幅に開き、腕を組んで海に向かって仁王立ちすると気持ちが引き締まるというか、自分はちっぽけだ、まだまだ頑張らないと、という気持ちになってくる。





                    Walmer城とQueen Mother's Garden。ヘンリ8世の時代に建てられたイギリス南東海岸にある5つの城のトップ。庭は現エリザベス2世の母、Queen Motherの95歳の誕生日に合わせて造園されたもの。 

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                    その先にある海。WalmerはDoverと違って海岸線が崖ではない。2000年ほど前、カエサルが上陸したとされている海岸。かなり大きめの石が転がっている。どこまでも続きそうな浜辺。写真で見るよりかなり急斜面。風がとんでもなく強かった。うおりゃ→ジャボーン。 



                    8月「念願」

                    サッカー少年、念願のプレミアリーグ観戦


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                    ついに、サッカーを始めたころからの夢だった、生でプレミアリーグ 観戦を達成した。
                    ロンドンにはチェルシー、アーセナル、トットナム、クリスタルパレス、ウエストハムの5チームあるのだが、チェルシーやアーセナルの試合を観戦するとビッグクラブを追いかけるミーハーに思われそうだったのと、歴史のある中堅クラブを選ぶことでプレミアリーグに詳しい人を装えるのではないかという魂胆で、僕はウエストハムの試合を見に行くことに決めた。ちょうど吉田麻也が所属するサウサンプトンとの試合だったので彼のプレーを見れたのは幸運だった。
                    僕の中ではプレミアリーグは激しく運動量が試合終盤でも落ちないフィジカルサッカーの印象がある。だから見事なカウンターの応酬が見られる。でもそれ以上に魅力的なのはサッカー専用スタジアムと整然と着席してみる観客、そしてその観客が奏でるチャントだ。
                     
                    まずはスタジアムについてだが、プレミアリーグのスタジアムはすべてサッカー専用で、最近は建て替えが進んでいるが、古いスタジアムが多く味がある。一人ひとりの座席も広くないが密集している分、スタンドの一体感がある。またウエストハムのホームスタジアムであるブーリングラウンドはピッチとスタンドの間に傾斜がついており、最前列の席はピッチに立つ選手と同じかそれよりも低い目線で観戦できる。さらに2階席の傾斜がきつくなっており、上部の席でもピッチに近く感じ、臨場感を損なうことはない。
                     
                    チケットを取ったのが試合2週間前ごろだったのでほとんどの席が埋まっており、適当に選んだ席が偶然熱狂的なサポーターのいるゴール裏の隣だった。コアなサポーター席の近く。チケットには座って観戦するようにとの注意書きがあったが、周りの人がみんな立ってみていたのでそれに合わせて立ち見した。チャントも1週間前からYouTubeで勉強していた知識をフル活用してチャントを歌った。
                     
                    ウエストハムの試合で一番気に入ったのが、選手入場の時に歌うForever Blowing Bubblesという曲を全員が合唱することだ。日本でもベガルタ仙台が選手入場時にカントリーロードを歌うが、スケールが違った。しかも歌の歌詞に合わせて大量のシャボン玉を噴射する演出がある。瞬く間にシャボン玉がスタンドに充満する。この瞬間、僕は完全にウエストハムの虜になった。試合前にユニホームを買っていたのだが、値段が高くて後悔までは行かずとも痛い出費だったなと思っていたが、この瞬間に吹っ切れた。買ってよかったと思った。
                     
                    ちなみにウエストハムは2016-2017シーズンからロンドンオリンピックパークをホームスタジアムとして使用することが決まっており、もし次回ウエストハムのホームゲームを観戦することがあってもブーリングラウンドに行けないのが残念ではあるが、新しいスタジアムでサポーターたちがどんな雰囲気を作り出すのか楽しみだ。


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                    ウエストハムのホームスタジアム ブーリングラウンド

                     
                    生涯初の牡蠣を英国で食べて吐く

                    8月にはもう1つ事件があった。カンタベリーから路線バスで北に15分ほど行ったところにウィスタブルという港町がある。ここは牡蠣で有名な町だが、毎年8月に1週間オイスターフェスティバルが開催される。その最終日に花火が打ちあがるのだが、pre-sessionalの友達と祭りに参加した。
                     
                    広島県も牡蠣で有名なので勝手に親近感を覚えていたが、アレルギーがあるかわからないのでこれまで牡蠣を食べたことがなかった。ウィスタブルに住んでいる先生に聞くと生牡蠣でも臭みがなくおいしいというので、思い切って食べてみた。感想は…やっぱり海鮮を食べるなら日本で食べるべきだと心の底から思った。日本に帰ってから尾道で牡蠣を食べる機会があったのだが、新鮮で歯ごたえがあり、生臭さが弱かった。同時に僕は生牡蠣そのものが得意ではないことにも気づいた。もしかしたらイギリスの牡蠣も僕が牡蠣に慣れてなかっただけでそれほどまずくなかったのかもしれない。
                     
                    花火が打ちあがるまでに時間があったので現地の子供たちに倣って、牡蠣の貝殻をタワー状に積み上げその中でろうそくをつけるオブジェを作って時間をつぶした。海沿いで飲むのが気持ちよくてついつい飲みすぎた。花火が打ちあがるころには大分良いが回っていた。花火自体は楽しめたが、牡蠣しか食べておらず空きっ腹に近かったからか、帰るころには気持ち悪くなっていた。


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                    牡蠣のからを積み重ねた光のオブジェ。

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                    9月「引っ越し」

                    歌とダンスと酒を愛するブラジル人


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                    9月5日、Pre-sessional Courseが終了した。卒業検定のような試験があるが、2000ワードのエッセイと、リスニングとライティングのテスト、15分程度のインタビューで評価される。出来によって、1年生と同じ授業をとるか、半分は英語の授業をとらないといけないFoundationコースになるかが決まる。
                    大学院に進学するには求められる点数も高く、特に高い英語能力が求められる法律のマスターに進みたい人の中に必要な点数を獲得できず再試か、他の大学院を探すことになった人もいたが、学部に進む日本人は全員合格していた。こうして約4か月に及ぶpre-sessionalコースは終わった。
                     
                    正規の学生が帰ってくるのと、新入生が入ってくるのに合わせて、2度目の引越しをした。
                    ハウス間の距離がどれほど遠くなかったので、移動は楽だった。新しいハウスではゲイっぽいフランス人、イタリア人の女性、ブラジル人と暮らすことになった。5人のハウスのはずだが、どう考えても7人以上、日、仏、伊の3人と、ブラジル人が4人以上生活している気がした。知らない顔にどんどん遭遇して僕は混乱した。
                     
                    話を聞くと、一人は彼女と同じ部屋に住んでいて、もう一人は10月に帰国するから友達の家に住まわせてもらっているということだった。その友達もすぐ帰国するから新しいブラジル人が来るよとも言われた。
                    ブラジル人のコミュニティはつながりが非常に強いとこの時に気づいた。最終的に同じハウスに住んでいたのはKotaro(日、男)とYoan(仏、男), Melisa(伊、女), Felnanda(ブラジル、女), Jamor(ブラジル、男), Luan(ブラジル、男)である。やっと謎から開放された。ちなみにFelnandaとJamorはカップルだ。
                    Jamorは質の良いスピーカーを持っていて、料理中と食事中はキッチンで音楽を流すのだが、音楽に誘われて続々と人が集まってくる。そしてその流れで毎晩キッチンパーティーが行われる。僕の部屋はキッチンの横だったので自分が参加していないときはうるさくて仕方がなかった。言えばヴォリュームは下げてくれるが、10人も集まれば声だけで騒がしい。
                     
                    彼らを一番象徴しているなと思ったのが、金曜日に友達の誕生日パーティがあるから来ないかと誘われた月曜日の晩、「ビール飲まないか、金曜日のためのプレドリンクだよ」と言われたことだ。金曜日のプレドリンクを月曜日から始める感覚にはかなり驚いた。ブラジル人がひとたびパーティを始めれば、パークウッド中のブラジル人が集う。彼らがパーティーを始めれば当然僕たちも誘われるが、Yoanと同じリヨンの大学から来たフランス人の女も仲間に加わっていた。ダンスがひと段落着くと全員タバコをすい始めるのでそのときは自分の部屋に帰っていた。
                     
                    あるとき酔ったブラジル人(ハウスメイトではない)が、そのフランス人の女と、Yoanの部屋で体液交換をしていた。Yoanですら非常に困惑していた。これには驚いた。彼らにとってそれはコミュニケーションの手段に過ぎないのかもしれないが、何がそこまで燃え上がらせるのか理解できなかった。酒の力だけではそこまでは行くまい。二人の間に愛が存在したのか、そうも思えない。いや、コミュニケーションに場所など関係ないと言われればそれまでであるが、それでもセックスの場所ぐらい考えたほうがいい。やっぱりわからない。
                    ここでのハウス生活を通して実感したのは、ブラジル人は歌とダンスと酒を愛しているなということだ。また、ブラジル人はスパイスの使い方が抜群に上手でチキンをオーブンで焼いた料理などはもらって食べていた。夜うるさいことに悩まされたときもあったが、概ね良好な関係で生活を送っていたと思う。



                    木曜の朝にありがちなキッチンのテーブル。ブラジリアーン。


                    冷凍庫。一応1人1段で分けとるけど実際は超フレキシブル。1週間分買いだめするし、ハウスメイトはピザとかポテトとかを解凍するだけで食事を済ませるから自然と満杯になる。無理矢理詰め込みすぎて最上段の蓋は破壊された。


                    いかにも身体に悪そうなスポーツドリンク


                     
                    10月「イギリスでアメリカンフットボール」

                    アメフト部新入生のコスプレ通過儀礼

                    10月、アメフト部Falconsに入部した。正式な部員となるために参加しないといけないイニシエーション、文字通り通過儀礼がアメフト部にもある。
                     
                    内容はルーキーがいろんなゲームをする中で酒をのんだり罰ゲームをこなしたりするものだ。Falcons行きつけのパブに集合、ルーキーのドレスコードはプレイボーイバニー、更にコスプレに熱意が足らなければ罰ゲームがあると書かれてあったのでこのイベントの詳細を読んだときは全身が硬直した。できれば行きたくなかったが、これからFalconとしてアメフトを楽しみたかったので参加する以外に選択肢は無いと考えて腹を括った。
                     
                    アマゾンでできるだけ過激な衣装を購入した。尻は半分以上露出していた。イニシエーションの最中でなかったとしたら絶対に警察に呼び止められる自信がある。いざ会場についてみると僕が最も過激な、露出の多い格好をしていた。ここまでやる必要はなかったんだと気づき、後悔したし、一気に恥ずかしくなってきた。ルーキー、2年目、3年目関係なく、僕の格好を見たものは皆大爆笑した。これならエブリデイ清水氏にも負けない自信はある。恥ずかしくて仕方なかったが、これでKOTAROという名前を覚えてもらえたら羞恥心を捨てた甲斐があると思った。
                     
                    イニシエーションは続く。様々なゲームをして、負けたチームが唐辛子や、ハバネロの混ざったビールを飲むのだが、ルーキーは皆死にそうな顔をしていた。一段落した後、チームごとに大学へと歩いて帰る。道中にミッションが複数個用意されていてそれをクリアしなければならない。女の子からブラを借りてくるというミッションがあったので、パブの前で飲んでいた二人組みに声をかけようとしたら、向こうから先に話しかけてきた。
                    「ちょっとお尻たたかせて!」耳を疑ったが、彼女らは今にも俺の尻をたたこうとしている。二発びんたされた。なぜ屋外でこんなMなプレイをさせられんといけんのじゃと、という気持ちもあれば、初めて女の人に尻をたたかれたてMが目覚めそうな複雑な気分だった。これが、僕が人生で一番はっちゃけていた日の記録だ。


                     
                    ケンブリッジでパンティング

                    レンタカーを借りてドライブもした。ケンブリッジまで片道2時間強運転した。方向指示器を動かしたつもりがワイパーを動かしてしまったり、イギリス独特の信号の無い丸い交差点(ラウンドアバウト)では出たい出口で出られず何周もしたり、慣れるまでは難しかったが、イギリスは右ハンドル右側通行なので日本と同じように運転できた。ただ、信号の位置が日本で言う歩行者用の信号の位置にあったり、夜の高速が暗かったり、霧が濃かったり、他の車の運転が荒かったりと常に慎重に運転して気が疲れた。
                     
                    ケンブリッジではパンティングを体験した。一本の棒で川底に刺し、押すことで船を操縦するのだが、見た目よりも力が要るし、バランスをとるのが難しいので非常に苦戦した。ケンブリッジの学生はいとも簡単に操るので同じようにできないのが悔しかった。途中木の枝にぶつかって川に落ちそうになったのも今となっては良い思い出だ


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                    ケンブリッジで乗ったパント。プライベートだし安いし、ツアーではなく自分で漕ぐタイプを選んだわけだが…初心者には漕ぐのがとてつもなく難しい。船首が右に左に安定せず時には真横になって通行止め状態、当然他のパントとのクラッシュも何度も経験。


                    左がガイドさんで右は初めての人。なかなか真っ直ぐ漕ぐのは難しい。


                    今思えばツアーの舟を漕いでいた現役ケンブリッジ大学生の腕はとにかく太かった。何気無く操っているように見えて実はかなり体力を求められるパンティング。上手にパントを漕げる技術も紳士には必要なのか。 

                     
                    ロンドンでNFL観戦

                    NFLのLONDONゲーム観戦。これも留学中に果たしたかった目標の一つだ。
                    イギリスではアメフトはラグビーの劣化版だという意見が強い。Soccerという単語を使うと、とある先生は「それはアメリカンフットボールという危険で野蛮なスポーツを好むアメリカ人が使う言葉だから、お願いだからイギリスでは使わないでくれ」といわれたことがある。
                     
                    イギリスではサッカーはfootballと言うように気をつけたい。だが、イギリスでアメフトを好む人も増加しているのは事実だ。LONDONゲームのチケットは3試合とも売り切れるし、僕が観戦した試合もスタンドは満席だった。地下鉄でもアメフトのジャージを着た人を多く見かけたし、会場のウェンブリースタジアムは祭りのように賑やかだった。
                    NFLでは将来的にロンドンをホームタウンとするチームを作るか、既存のチームをロンドンへ移転させる計画もあるそうだ。本場のアメリカでアメフトを観戦したい気持ちが強まった。



                    アメフトはラグビーの劣化版という認識の強いイギリスでは、ラグビーのピッチサイズでアメフトの試合が行われることがしばしばある。その時は自陣40ヤード地点から敵陣40ヤード地点までが無理矢理10ヤードに縮められる。

                     
                    ポケモンの歌を英国で披露
                    僕自身のアメフト部Falconsの初戦も10月にあった。オックスフォードブルックス大学戦。試合内容はいまいちだったが、勝つことができた。
                    個人的には2回パスターゲットになって0キャッチ、ヘッドコーチからの信頼を得ていないので出場機会も少なく、QBとも息が合っていなかった。
                     
                    外国だなと思うのは試合内容に関わらず、勝利の後のテンションが異常に高かったことだ。勝利でお祭りのような雰囲気の中、帰りのバス車内でルーキーによるカラオケが始まった。ご存知の方も多いと思うが、一緒にいた人が慰めようか何と声をかけようか迷うほど僕は歌が苦手で、簡単に言えばジャイアンだ。加えてバスの中で歌えるような英語の曲をほとんど知らない。自分の順番だけがどんどん迫ってくる。迷った末に僕が選択したのが「ポケモンいえるかな」。
                    ポケモンはイギリスでも知名度が高くポケモンの話題になると盛り上がるのを感じていたので、これを選んだ。「Heloo Kids! 君はもう、たっぷりポケモン捕まえた?ポケモン151匹捕まえた君も、まだまだな君も《ポケモン言えるかな?》に挑戦だ!How’s your mouth rolling today? ピカチュウ、カイリュウ、ヤドラン、ピジョン…」と続いていくが、日本語の部分は通じないし、ポケモンの名前も日本名と異なるものがあるのでチームメイトが理解できていたのかは知らないが、みんなノリノリで聞いてくれた。
                    歌自体は誰も知らないのでリズムを間違えても、テンポをミスっても、音程をはずしても、誰も何もわからない。とりあえずピカチュウと叫んでおけばウォー!!!という地鳴りが起こった。単純なものだ。

                    (つづく)

                     
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                    コウタロウ英国留学記(1)
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                      私の教え子で、岡山大4年でアメフト部に所属するコウタロウが、大学2回生の時岡大から交換留学に選ばれ、1年間イギリスのカンタベリーにあるケント大学に留学した。
                      コウタロウが書いた英国留学記を、4回に分けて連載する。留学とはどんな勉強をし、どんな生活をし、どんな旅をし、どんな友ができ、どんな食事をするか、詳細に書かれている。留学志望の方は大いに参考にしてほしい。
                      真面目さと好奇心にあふれた若者の、青春の軌跡。



                      4月「いざ!航海の時」

                      出発前夜。関空での両親との別れ

                      出国前夜は関空の日航ホテルに泊まった。
                      幼稚園の時に中国に行って以来の海外なので、ほぼ初めての海外と言ってよい。
                      中国にはアトピーの漢方治療に行った。僕には幼少時から重度のアレルギー・アトピーがあったからだ。中国では大部分の時間を母の背中で過ごし、記憶はほぼ無い。息子がアトピーを持っていた松居一代が主催する漢方ツアーで訪れた中国、長い待ち時間の末に得た診察は極短時間。しかも僕は泣きじゃくり、高いお金を払ってきたのにと母は落胆したという。
                      挙げればきりがないが、アトピーやアレルギーに対する抗いとしては他にも、体質から改善しようと奥出雲の延命水や岡山県新見市で汲める硬水など様々な水も試したし、綿の服を着るなど身につけるものにもこだわった。幼稚園入園前の写真を見ると、首元から顎にかけて赤くただれていて痛々しいが、薬も適度に服用しながら、中学生のころにはアトピーは気にならないほどに治まった。
                       
                      尾道で生まれ、尾道で育ち、大学にも尾道から通っていた僕にとって、1年という長期間親元を離れるのは初めての経験だった。受験生のころ、大学生になったら海外旅行に行きまくろうとは考えていたが、留学という形で異国の地への扉が開かれるとは思ってもいなかった。
                      出国前夜は日本を出てイギリスに行けることへの期待感が大きかったので、緊張もせず、すぐに寝付くことができたが、当日となり、手荷物検査のゲートまで僕を見送りに来た両親の姿が徐々に小さくなっていくのを見ながら、特に母親の不安な気持ちを想像すると心細さも感じた。
                       
                      実家のダイニングの壁に沿って腰の高さの本棚があるが、アトピーの治療法やアレルギーの子のためのレシピ本などがずらりと並んでいる。母は小中高と12年間弁当を作ってくれた。毎日代わり映えがしないおかずに文句を言ったこともあったが、僕の希望は何でも聞いてくれたし、できるだけ給食の献立に似たものを作ってくれた。
                      親が完全に視界から消え、ここからはすべての行動が初めての体験になると思うと、自分の力が試されるようで気分が高揚していた。冒険に出発する少年のような無邪気な心を持って搭乗口に向かった。

                       
                      アムステルダム経由でロンドンへ

                      ロンドンへは、評判もよく値段も安かったKLMオランダ航空を使い、アムステルダム経由で行くことになった。その便の利用者の半数以上がオランダ人と思われた。日本で生活していると自分の身長が低いと思ったことはないが、大勢のオランダ人の中に入ると175cmの自分が小人に思えた。平均身長が10cm以上違う国と対戦するバレーボール選手のような気分だ。父親がオランダと聞くと、新婚旅行のトランジットの際にトイレに行ったら便器の位置が高くて驚いたと言う話を良くしていたが、確かにこの長身の人達とは同じ位置の便器は使えないなと思った。
                      ついに俺の時代が来た。そんなことを思いながら飛行機に乗り込んだ。
                       
                      アムステルダムのスキポール空港には予定より30分程度遅れて到着した。
                      着陸前にロンドン・ヒースロー空港への乗り換えのための時間とゲートが案内された。着陸は遅れたが、出発の時間は予定通りということだった。実際はどうだったのかわからないが、当時の僕の認識ではそうだった。
                      英語の表示があるとはいえ、オランダの空港となると勝手が分からず非常に焦った。乗り換え時間が45分しか無いので到着ゲートから出発ゲートまで広大なターミナルをダッシュした。書類やとりあえず使うかもしれない小物を詰め込んだ手荷物の重さにイライラした。つくづく旅に慣れていなかったなと振り返って思う。出発ゲートまでの距離が遠くて直線の建物までもが迷路に思えた。
                       
                      何とか間に合ってシャトルバスで飛行機の下まで移動してタラップから飛行機に乗り込んだ。関空からオランダまでに乗ったB777-400の大きい機体とは違い、city-hopperという短距離飛行に使われる小さい飛行機だった。乗り込んだ時はまだコックピットのドアが閉まっておらず自分の座席からテレビや本でしか見たことがないコックピットが見れて興奮した。初めてのヨーロッパ、何もかもが新しい体験で高揚感に溢れていた。
                      アムステルダムからロンドンまでのフライトは1時間弱、ヒースロー着陸直前は上空から見える草原の中に住宅密集地が点在する。ついにイギリスにやってきたと感じた。通路側の席だったが、首を伸ばして何とかこれから自分が降り立つ地を目に収めた。隣の乗客は非常に迷惑だったかもしれない。


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                      ロンドンのタワーブリッジ
                       

                      ロンドンからカンタベリーへ。バス移動はつらい

                      ヒースロー空港に到着した。アムステルダム経由だったせいか、入国審査ゲートが閑散としていて期待を裏切られた感じがした。人でごった返すターミナルをイメージしていたからだ。厳しいと言われるイギリスの入国審査を拙い英語でなんとか切り抜け、荷物をピックアップし、到着ゲートを抜けたらそこは異国の地。お客さんや家族、友達を迎えに来た人たち、日本人が平たい顔族であるならば、そこには起伏に富んだ顔族ばかりが立っていた。
                       
                      イギリスでは長距離バスをコーチというが、コーチに乗ってロンドンビクトリアまで行くというプランしか立てていなかったので、とりあえずnational expressやcoachという案内板を必死に探し、コーチのチケットを買える窓口までたどり着こうとした。しかし、20kgのバックパックを背負い、20kgのキャリーケースを押し、10kgのボストンバックを持っている状態で行動するのは想像より遥かにしんどかった。アメフト部で筋トレしていることなど関係無かった。極度の緊張の中で、いつどのような災難が自分に降り掛かってくるか不安に思いながらの行動は精神的に疲れる。
                       
                      20分くらいターミナルを彷徨ってやっとの思いでチケットオフィスにたどり着いた。“I want to go to Canterbury via London Victoria by coach. Can I get a ticket?”と聞いてみた。すると返ってきた答えは愕然とするものだった。「ビクトリアまでのバスは満席だからタクシーか地下鉄で行ってちょうだい。カンタベリーまでの行き方はビクトリアで聞いて。」と言われた。ヒースロー空港からロンドンビクトリアまでは直線距離で30km、ビクトリアからカンタベリーまでは90km弱。バスの席がないのは想定外。直線距離ではそれほど遠くないように感じるが、移動手段がなければ手も足も出ない。どうしようかと考えた結果、結局ロンドンビクトリアまでは地下鉄でいくことを決心した。
                       
                      地下鉄では緊張の連続だった。ヒースロー空港からロンドンビクトリアまでは直通の路線がなく、途中で一回乗り換えなければならない。Informationで教えてもらった乗換駅のアナウンスを聞き逃さないように細心の注意を払い、荷物を体で守り、なおかつ人の邪魔にならないように気をつけた。そんなアップアップの状況下でも景色を見る余裕があったのは自分でも驚くのだが、途中ロンドンのフットボールクラブであるチェルシーのジャージを着た青年が乗り込んできた。後から確認するとチェルシーのホームタウン付近の駅だったのでユースの選手たちだった可能性も無きにしも非ずといったところか。そして無事地下鉄を乗り換えることができ、地図に頼ってロンドンビクトリアまで何とかたどり着いた。
                       
                      道路が石畳の箇所もあり、また歩道の路面状態も悪いのでキャリーケースを引くのに難儀した。悲劇は繰り返す。バスターミナルのチケットオフィスでカンタベリーまで行きたいと尋ねたところ、ヒースロー空港に続いてまたしても耳を疑う答えが返ってきた。「8時半発のバスは満席だから10時発のバスを予約するけどいいか。」とのこと。ここまで来てほかに選択肢が思いつかなかったのでそのバスを予約した。しかし、待てども待てどもバスが来ない。ターミナルの客はどんどん減り、浮浪者と思われる人が多くなった気がした。全く落ち着かなかった。ついにカンタベリー行きのバスが来たのは午後11時前。夜は車窓からは暗闇しか見えず、自分が正しい方向に向かっているのかとか、どこで降りるか分かるだろうかとかちょっとしたことも不安になってくる。カンタベリーに到着したのは午前0時半頃だった。



                      田舎町・カンタベリーの第一印象

                      カンタベリーにあるケント大学の寮に入る予定日は4日後。それまではホステルが宿だ。カンタベリーのバスステーションからホステルまでどうやって行こうか悩んでいた時に、希望のタクシーが目に入った。タクシーに座った時は安堵感で包まれた。初めての土地で、バスステーションからホステルまでが長く感じた。後日歩いてみてわかったが、ホステルからバスステーションは歩いて5分もかからない。
                      ホステルに到着したのは1時前。受け付けを済ませ2段ベッドが4つあるドミトリータイプの部屋に案内された。部屋は既に消灯され僕を除いて7人は既に眠っていたため総重量60Kgの荷物お音お立てないようにそっとおいてベッドに横になり、貴重品は身に着けたまま眠りに落ちた。飛行機の中で少しは眠っていたとはいえ、28時間ほぼ起きっぱなしの長い一日がやっと終わった。
                       
                      カンタベリーのKipps hostel というホステルに結局4泊した。共同のキッチンは付いているとはいえ、食材がなく、インスタントの味噌汁を飲むぐらいしかできないので、ケトルだけ使って飢えをしのいだ。
                      散歩に出かけスーパーを見つけた。食材を買っても調理できないので、バナナとポテトチップスで腹を満たした。しかしこのバナナが問題だった。黄色くまあまあ熟したようなバナナを選んだにも関わらず、噛んでみると歯が刺さるほど固く、歯が折れるかと思った。イギリスはご飯が美味しくないというイメージがあったので、イギリスで売られている果物自体もこんなにも質が悪いのかと落胆してしまった。食生活は最悪なスタートを切った。
                       
                      ホステルでの4日間は、散歩したりテレビでプレミアリーグを観たりして過ごした。散歩は毎日少しずつ距離を伸ばし、知らない場所を開拓していった。カンタベリーに到着した時は真っ暗だったので周りの様子がよくわからなかったが、昼歩くと活気のある良い街に思えた。イギリスに来るまではロンドンしか知らなかったので、自分が大都会を闊歩しているイメージしか抱けなかったが、田舎町を当てもなくのんびりとさまよい歩くのも趣があって絵になると思った。


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                      散歩の途中、線路にかかる陸橋に立ち止まっては電車の写真を撮影した。近くで桜を発見した。日本以外にも桜があるのかと感動し、無駄に長い時間をかけて写真を撮った。日本にいたら綺麗だなと思うことはあっても、桜を見てホッとしたのはこの時が初めてだった。

                       
                      大学寮と日没が遅いロンドン

                      大学に行く日が来た。ケント大学は丘の上にあるので歩くには遠くバスステーションからタクシーで向かった。留学生担当のオフィサーと会い、寮のある場所まで連れて行ってもらえることになった。最初に到着した場所から寮までは遠く、森の中に大学があるなという印象だった。

                      同じpre-sessional courseに参加する日本人だけのintroductionコースが始まった。このコースはこの年から試験的に始めたコースらしく無償で参加することができた。カンタベリーの歴史についてやイギリスの教育制度の概要について、カンタベリーでどう生活していくかなどを先生役の大学院の学生と学びながら、イギリスでの生活に慣れるための期間だった。
                       
                      寮はキッチンが広いこととシャワーの水圧が強い事を確認できて満足した。留学生活で不自由ない生活を求めることはしないと思っていたので、それだけで十分だった。
                      緯度が高いイギリスは4月から日没の時間が遅くなる。夜9時でも薄暗い程度で、朝4時ごろから明るいので、生活リズムがなかなか安定しなかった。毎朝6時前には目が覚めていたのだが、時差ボケなのか外が明るくなるからなのか分からなかった。


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                      ケント大学の寮

                       
                      南アフリカ共和国のゲイカップル

                      一年の留学中に結局2度引っ越し(引っ越しと言っても同じ敷地内にある違う建物に移るだけ)をすることになるのだが、その中で最も刺激的な経験をこの最初の寮でした。フランス人と南アフリカ出身の男性のゲイカップルが1つの部屋に同居していたのだ。この寮はキッチンとシャワールーム、トイレ共有で、5個の個室が付いている。個室はシングルベッドと壁に備え付けてある勉強机があるだけの狭い部屋のだが、そこに2人で暮らしていると思うと感心さえする。
                       
                      彼らはとてもオープンで、キッチンで○背位で○ストンする真似をしたり、階段で1分間くらいの長く熱いディープキスをしたりする。周りの目など気にすることはまず無い。片方が着るセーターに一緒に入ってみたり、一緒に料理をして食べさせあう姿も頻繁に見かけた。とても頭が切れ、2人とも法律の勉強をしていた。英語やほかの勉強を教えてもらったこともある。彼らが帰国する際のフェアウェルパーティーには地方議員の出陣式かと思われるぐらい多くの人が集まっていた。喧嘩も多いカップルだったが、常に一緒に手をつないで歩くほど仲が良かった。これはイギリスで初めて海外を実感した瞬間かもしれない。



                      カンタベリーの朝。街も人も寝起きが遅いイギリスの週末。大聖堂、教会、修道院。3つの世界遺産がある街を朝からジョギングする贅沢。中心部でも人をほとんど見かけないので、神聖で新鮮な空気を独り占めしたような気分になる。




                      5月「pre-sessional course

                      カープ堂林のユニフォームで、海岸まで走る

                      Pre-sessional courseが始まる直前の休日、一人で大学のあるカンタベリーから北に10kmほど行ったところにあるHerne Bayという海岸の町まで走った。イギリスの海がどんなものか見てみたかったのと、ヘトヘトになるぐらい体を動かしたくてたまらなかったので、観光がてら長い距離を走ってみようと思い立った。
                       
                      知らない道を一人で走ることに不安もあったのでお守り代わりに僕が所属する岡山大学アメフト部BADGERSのTシャツと笠見先生から頂いた広島カープの堂林のユニフォームを着て走った。堂林の背番号7はBADGERSの僕の背番号と同じで、またBADGERSとカープのユニフォームはともに赤で似ている。どちらも目立つし、それを着ていると一人という感じがしなかった。
                      イギリスは運転が荒いと言われているし、道中は交通量が少ない山道のためスピードを出す人が多く、歩道もなかったので車の音が聞こえる度に道脇の草むらに入って車が行き過ぎるのを待った。Google mapでは徒歩で2時間と表示されていたが、起伏のある道だったせいか実際に走ってみると実際より距離があるように感じた。
                       
                      朝9時半ごろ家を出発してハーンベイに到着したのは12時を過ぎていた。ハーンベイの海は爽快だった。瀬戸内育ちの僕にとっては見渡す先に島のない海は新鮮に映った。昼ごはんにはイギリスに来て初めてフィッシュアンドチップスを食べた。フィッシュもチップスもフライなので茶色、彩りなど全く気にしないイギリス人の潔さが好きになった。チップスの量がとても多く満腹になった。


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                      堂林 in Herne Bay

                       
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                      Bank holiday 後にpre-sessional courseが始まった。このコースはでは英語と英語での勉強の仕方を学ぶ。
                      Block1, Block2, Block3の三部構成でBlock1からの留学生もいればBlock2からの留学生もいるが、これは英語レベルによって分かれており、僕はBlock1からだったが、約20人の日本人の他に、中国人、タイ人、サウジアラビア人、オマーン人、イラク人、トルコ人などアジア人が中心に参加していた。
                      Block2はブラジル人やウルグアイ人、パラグアイ人など南米からの留学生が中心だった。Block1よりもBlock2、Block2よりもBlock3の留学生の方がイギリスに来る前段階での英語レベルが高い。
                       
                      1時限90分で、午前中2限、午後から1限、朝9時から午後3時までListening and Speaking, Reading, Writing の授業を受ける。Block1の留学生は英語のレベルがそれほど高くなく基礎から勉強していくが、Writingの時間に勉強した引用の書き方は後にエッセイを書くときに大いに役に立った。同じクラスだった中国人のユーペイと35歳サウジアラビア人のモハメッドに出会ったが、彼らとは今でも連絡を取り合っている。
                       
                      ウィンブルドンで雨のため試合が中断されたり、ゴルフの全英オープンの中継で低くどんよりした雲に覆われている様子から、イギリスは雨が多いというイメージがあるが、9月頃までは思ったよりも天気が良い。雨の降り方が日本と違い、ぱらぱらと小雨が短時間で降り、止んだと思ったらまた降り出すという感じだ。だから降水量は多くない。高温多湿の気候が肌に猛威を振るう梅雨の日本に比べると住み心地がよく、肌の調子も良くなってきた。


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                      大学で使ったテキスト



                       
                      6月「夏の旅行とワールドカップ」

                      ブリュッセルは小便臭い街




                      1週間の休暇があった。休暇があると判明した時から国外に旅行に行こうと決めていた。
                      まずユーロスターに乗るという目標をクリアするために、行き先はフランスか、ベルギーの2択になった。フランスはもうちょっとじっくり計画を立ててから行くほうが楽しめそうだから、ベルギーに行くことに決めた。ただ、ベルギーだけに行くのはもったいないのでオランダとあわせて旅行する計画を立てた。
                      朝5時前に寮を出発、カンタベリーウエスト駅からアッシュフォード国際駅に行き、そこからユーロスターに乗り込んだ。イギリスの出国審査はなく、大陸の入国審査はパスポートを見せるのと、荷物を探知機に通すだけだった。会話もなかった。ゴツゴツした車体や座席で乗り物にのっているというより、機械に座っている気分だった。トンネルも多く、牧草地の中を突っ切るので車窓も楽しめず、移動中は退屈だった。
                       
                      ブリュッセルに到着した。とりあえず荷物を置くためにユースホステルに向かった。線路の高架下を歩いているとき、どことなく小便のにおいがしたので、小便小僧が有名なブリュッセルだからこんなにおいがするのかと思ったが、そんなわけがあるはずもなく、臭い街だなというのがブリュッセルの第一印象だった。昼ごろに到着したのでホステルに荷物を預けて、小便小僧や、グランプラス、ゴディバ本店や、王宮などを見て回った。観光客が多く、気楽に行動できたが、何日も観光する街ではないと思った。ただ、路上アーティストの奏でるアコーディオンの音に誘われて集まった人たちが自然と踊り出す光景は魅力的だった。



                      アコーディオン演奏している人はいっぱいいるけど、そこでダンスが始まったのはここだけだった。日本では見られない光景。もしかしたら外国からの観光客かもしれんけど、ベルギー人の夫婦って本当に仲がいい。


                      運河の町ブリュージュ



                      翌日ブリュッセルから電車で1時間ほどのブリュージュを観光した。母がベルギーに行くならブリュージュに行くと良いとラインをくれて、自分でも調べてみたら、おもしろそうだったので行くことにした。
                      ブリュージュは世界史でハンザ同盟の盟主という情報以外に知らなかったので教えてくれて良かった。
                       
                      ブリュージュの駅は新しく清潔感があった。ブリュッセルのユースホステルで手に入れた地図を頼りに街を探検した。評判通り美しい街だった。
                      コウタロウのコウの字が航ということで、旅をする時、クルーズできる場所では必ずクルーズしようと決めていた。街中に運河が張り巡らされ北のヴェネチアと呼ばれるブリュージュでクルーズしないという選択肢は無い。クルーズ船に乗り込むとフレンドリーな船頭さんが英語とフランス語で見どころを説明しながら、軽快な口調で客を楽しませてくれる。
                      下船するときに「ありがとう」とイントネーションが不安定な日本語で言われ、僕一人のためにわざわざ日本語で挨拶してくれたことがうれしく、飛び切りの笑顔で「ありがとう」と返事した。乗船の際に乗客がどこの国からから来たか聞いていたが、それを覚えていて、サプライズをするあたりがプロフェッショナルだなと思った。


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                      ブリュージュのクルーズは最高にお勧め。途中の家の窓に必ずいるという看板犬、フィデル君。その寝顔は観光客を癒してくれる。あまりの愛おしさに、ほとんどの乗客が一斉にカメラを構えた。通過する際、船のスピードを落とす船頭さんのおもてなし。


                      アムステルダム「セックスミュージアム」

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                      ブリュッセルは2日滞在しただけでオランダに移動した。移動にはタリスという高速列車を利用した。
                      アムステルダムには珍しいものばかりがあった。特にセックスミュージアムは大変興味をそそる博物館だった。なんともオランダらしいミュージアムだと感心した。一度前を通り過ぎ入る決心をしてから再び戻ってきた。入場料は2.5ユーロ。破格の安さだ。
                      中に入ると一般に大人のおもちゃと言われる代物の数々や、飾り窓地区の再現、金玉の部分に座れるようになっている、高さ2メートルほどあるであろう男性器をかたどった椅子など、写真からおもちゃまで本当に多種多様なセックスに関するものが展示してあった。
                      19歳の男が一人で入ったのもよほどの変態だと自分のことながら思ったが、高校生くらいのカップルが2人で楽しんでいたり、これまた若い女子が喜々として例の椅子に座して写真をとっていたりと、恥ずかしくないのかと思うような光景だった。
                      彼らを見ていると相手がいないわけでもないし、セックスレスの夫婦でもあるまいし、こんなところに来て刺激を受ける必要など無いだろとも思った。アムステルダムに旅行したら誰でも大人のおもちゃの専門店を見つけることになるだろう。
                       

                      アムステルダム。「飾り窓」朝の光景

                      オランダは売春が合法なので、飾り窓地区という風俗街が堂々と町の一角に陣取っている。女性が魅惑的な格好をして赤く照らされたショーウィンドウの中に立っている光景はほかでは見られない。
                       
                      だがもっと刺激的だったのは飾り窓地区の朝だ。ムチムチのボディをした女性が胸から太ももの中ほどまでをエナメル質のボンテージで隠し、タバコをふかしていた。
                      写真を取ろうとカメラを構えたら画面越しに目があって睨まれた気がしたので小便をちびりそうになった。営業時間だとあれほどにも艶めかしいのに、朝の疲れ切った表情を見るとその世界の激しさが窺えた。風俗街も朝は疲れ果てた雰囲気を纏っているのを見ると逆に人間味を感じる。運河や道にはゴミが散乱し、ガタイの良いおじさんがたむろしている。興味は惹かれるが思わず早足になってしまうレッドディストリクトの朝だった。


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                      W杯、オランダvs豪州戦翌日の運河。アムステルダムの朝は道路のゴミ掃除から始まる。


                      EUで観戦したワールドカップ
                      アムステルダムを訪れた時がワールドカップ期間中だったこともあり、街中がオランダカラーのオレンジに染められていた。滞在中にちょうどオランダ対オーストラリアの試合が行われる日があった。市内のバーで観るかパブリックビューイングで観るか迷った結果、ユースホステルのロビーで観ることにした。ブラジルをはじめ各国からの観光客が集まっているためいろんな意見や歓声が聞けて楽しいと思ったからだ。試合はオランダの快勝。外からはオランダ国家を歌う声が聞こえてきた。


                      アムステルダムの思い出といえばもう1つビールだ。オランダのビールといえばハイネケンだが、ホステルにおいてあったのはババリアというビール。ビール初心者の僕にとってはエグみが弱くのど越しがいい、飲みやすいビールだった。
                      ビールが好きになったのはこのときからだ。“Can I have a pint of bavaria please?”ビールがおいしくて何度も注文した。 19:30〜22:00までは半額になるspecial timeで、ビール片手にポテトをつまみながらワールドカップを見るという最高にだらしないが快適な時間を過ごしていた。


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                      アムスで泊まったユースホステルは世界中で最大級。1度に300人程が宿泊できる。僕が泊まった部屋は男女ミックス4人ドームタイプ。2段ベッド2つと、トイレにシャワー、セーフティーBOXがあるだけの典型的なホステル。狭いが清潔。ベッドも快適

                      オランダからブリュッセルに帰り、帰りのユーロスターまで、EU本部に行ったり、街を端から端までを歩き回ったりして時間を潰した。街並みよりも道路に興味を持ち、自転車専用レーンが整備されていて、自転車が走りやすそうだなという感想を抱いた。
                       
                      ベルギーオランダ旅行から帰国してからは、大学内にあるバーでワールドカップを観戦する日々が続いた。
                      大学内にはK-BARやOrigins Café、Woodysと呼ばれる昼間はご飯を食べる食堂のように利用でき、夜はスポーツをテレビやスクリーンで見ながらお酒が飲める場所がある。僕がよく利用したのはK-BARでgoogle map で検索したらスポーツバーとして表示される。W杯の期間中はちょうど夏タームが終わったころでキャンパスにいる学生自体が少ないが、語学プログラムの生徒や、交換留学の学生たちが集まって試合に見入っていた。部屋が広く、テレビが何台も壁にかけてあるので何か所かに分かれていた。


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                      イギリス・ケント大学内のK-BAR
                       
                      印象的だったのは、3位決定戦キックオフ前の国歌斉唱で、オランダ人が立って国歌を熱唱している姿だ。オレンジの帽子やレプリカユニフォームを身にまとい自分の国が勝つことを本気で応援したり祈ったりしている。そのような光景を見るとサッカーが本当に人気スポーツなのだと感じた。
                       
                      またワールドカップに関して、イングランドの試合は大学を出て街のパブで見たが、早々に敗退が決まった時の呆れっぷりは途轍もなかった。グラスをテーブルに叩きつけ、一目散に店から飛び出た。イングランド代表の不甲斐なさに大声で文句を叫んでいた。
                       
                      W杯に出場している国の留学生たちがそれぞれ母国を応援していた一方で、中国人は応援する国がないので、ベットサイトで勝敗予想することに楽しみを見出していた。イギリス国内の銀行に口座がないと賭けることはできないが、小額から賭けれるし、勝敗だけでなく得点者や得点の時間帯にも賭けることができ気軽で楽しそうだなと思った。

                       
                      食べ物がまずいイギリス。ラーメンの味は?
                      ちょうどこのころ、旅行の疲れからだと考えているが、急に日本が恋しくなった。温泉に入りたいとか、おいしいラーメンを食べたいとか、これまでは感じたこともなかった気分を味わった。
                      そこで、少しでも日本を感じるために日本から持ってきた干しシイタケを戻して食べた。写真をフェイスブックにアップしたらサウジアラビア人がお前はそんなものを食べるのかと気持ち悪そうな反応をしていたのが面白かった。


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                      食べ物の話題になったので、イギリスの食事について僕の感想を書いておく。
                      帰国してから、イギリスのご飯ってやっぱりまずかった?とか、そもそもイギリス料理って何なん?と聞かれることがほとんどだったが、吐き出すほどまずいと思ったことはほとんどない。ハギスやヨークシャープディングなど伝統料理は確かに美味しくないが、それらは現地の人も頻繁に食べるものではない。

                      有名なイングリッシュブレックファストは手ごろで量も食べれて美味しい朝ごはんだ。一般的なものは、トーストに焼いた分厚いベーコン、焼きトマト、マッシュルーム、ベイクドビーンズ、果物ジュースなどが出てくる。
                       
                      ただし、イギリス人にラーメンを作らせると大変なことになる。大学内の食堂のようなところで、Ramenという文字に誘われて注文したら、見たこともない料理が出てきた。麺はうどんを少し細くした感じで、スープは醤油のお湯割り、スパイスが加えられていてどこか酸味を感じ、極めつけは彩りを与えるためかパプリカやハーブのような葉物がトッピングされ、正体不明の代物が完成していた。1年間の留学中まずくてご飯を残したのはこの一回きりである。


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                      ラーメン食べてます。尾道から届いた「壱番館」のラーメン。スープと麺だけだが、僕の変な感覚でトッピングするより、余程美味しいと思う。事実、美味い、、、 
                       
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                      イギリス人の国民食・フィッシュアンドチップス。フィッシュアンドチップスは基本的においしい。揚げ加減でべちゃっとしたものを完食すると胃がもたれることはあるかもしれないが、味に関しては塩を振ればおいしく食べられる。
                       

                      休暇の最後に1回目の引越しをした。夏タームが終わり正規の学生が寮を出て、寮のメンテナンスをする関係で、pre-sessionalの留学生は1つの建物に集められた。引っ越した先はリフォームされたばかりのハウスで快適に過ごすことができた。また、ハウスメイトが全員同じコースに参加しており、生活リズムが同じで、朝シャワーやキッチンが混雑すること意外は快適で、規則正しい生活ができた。

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                      フラットには炊飯器が4つ。タイ人、中国人、日本人2人の持ち物。合計で12合炊ける。この人たちとは9月までフラットメイト。みんな自分で料理するので朝晩はキッチンが混み合う。4人とも綺麗好きで、清潔さは完璧。

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                      『店』という名のアジアンショップで買った日本米。パッケージのイタリア国旗から分かるようにイタリア産。IDEAL FOR SUSHIとの文句が気になる。10kgで22ポンド、日本円にして4000円弱。因みにバスでのロンドン往復は12ポンド。

                      それにしても、両親が送ってくれる、日本産日本米は美味しい。見た目: てかてか艶があり美しい。食感: 硬すぎず柔らかすぎず。味: 噛めば噛むほど甘さがにじみ出てくる。香り: 薬品のような臭みがなく、口に含んだ時に鼻に抜ける芳醇な香り。焼き海苔やのりの佃煮も、鮭のふりかけで、晩ご飯に白飯を食べるのが楽しみ。

                      (つづく)

                      コウタロウシリーズ

                      (1)中1・私の理想の生徒 
                      (2)60年代の中高生がタイムスリップした少年
                      (3)重度のアレルギー・アトピーと戦う
                      (4)高1・青春ドラマな若者
                      (5)高2・ゆとり教育
                      (6)受験一年前・私の入院
                      (7)高3・世界史詰め込み
                      (8)一橋過去問対策
                      (9)大学受験直前・走れコウタロー! 
                      (10)一橋合格発表・生徒コウタロウの視点
                      (11)一橋合格発表・講師の私の視点
                      (12)岡山大学でアメフト開始! 
                      (13)ビスコ少年とアメフト
                      (14)誇大妄想の師匠と弟子
                      (15) 私の大学受験失敗 
                      (16) イギリス留学をめざす 
                      (17) 大学1年・英単語2000個を2週間で暗記?
                      (18) 英単語を2週間で2000個暗記!
                      (19) ロカビリー先生とコウタロウ
                      (20)一橋得点開示・留学に向け坊主頭
                      (21)先輩コウタロウと後輩ワタル
                      (22)交換留学のため使った英語教材
                      (23)コウタロウ、塾を去る
                      (24)慶應大学をめざせ
                      (25)慶應大学をめざせ
                      (26)コウタロウと浅田真央
                      (27)慶應大学をめざせ
                      (28)慶應大学をめざせ
                      (29)慶應大学をめざせ
                      (30)私からの最後の言葉
                       
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