猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
kasami88★gmail.com
CALENDAR
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2019 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
twitter
猫ギター
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 僕の開成中学合格戦記 | main | 大学受験学参ソムリエ 2 「英文和訳演習」 >>
大学受験学参ソムリエ 1 「古文研究法」
0
    アカデミックな、古文参考書の最高峰。上級者向け

    最近、団塊の世代の人たちが使っていた、レトロな学習参考書の復刊が相次いでいるが、この「古文研究法」は初版発行が1955年(昭和30年)。半世紀を経て廃刊になったことがない、長い歴史を持つ参考書である。安保闘争に参加した大学生も、高校生時代にこの参考書を使っていたのだろう。

    装丁はクラシカルで古めかしい。活字も古書のように凸凹していて、しかも小さい。決して若い読者にはとっつきがよくない。
    しかし見かけと違って解説が「実況中継」シリーズのような語り口調で、非常に読みやすい。
    著者は筑波大学の副学長で、35歳で学士院会員になり、文化功労者になった国文学者の小西甚一氏で、最先端の学者が、わかりやすさに気を配りながら、次代を背負う学生に向けて熱を込めて書いた、極めて優れた参考書である。

    「古文研究法」から、古文単語の解説を、いくつか引用してみよう。

    -------------------------------------------------


    「かしこし」
    現代語の「賢い」と同じような用法もあるが、そうでない例が多いので、よく注意して見分けなければならない。「かしこまり」と同じ系統のことばだから、恐縮するような感じを基本意味ととらえ、その背後に敬意を生かした訳や、特別だといったような気持ちの加わった訳を工夫すればよい。用法と訳語の例として、
    (1) おそろしい
    (2) おそれ多い
    (3) かたじけない
    (4) りっぱだ
    (5) 良いぐあいだ
    (6) 才能がある
    (7) たいへん(連用修飾)
    などがある。現代語の「かしこい」は、(6)の用法がいくらか狭義になったもの。だから、本来は、たんに知識がすぐれているだけでなく、畏敬するに値するほど有能だという意だったろう。


    「あはれ」
    ものごとに感動して思わず出すことばで、いまなら、「ああ」とか「あっ」とか「あら」とか言うところ。品詞でいえば、感動詞である。したがって、その内容はいろいろであって、特定の色彩に限定されない。それを形容動詞として「あはれなり」と言うときも同様で、喜怒哀楽そのほか何でも、心につよく感じたのが「あはれなり」である。いまの「哀れなり」よりも、ずっと広い。もっとも、いまの「哀れなり」と同じ用法も、無いわけではない。

    「あやし」
    この語は、大別して、(a)「怪し」と(b)「賤し」との両系統になる。それぞれのなかで、また細かい用法の差があるけれど、細かい差は、うまく訳せなくても、ひどい被害はない。しかし(a)の系統に訳すべきものを(b)の系統に訳したら、一発即死ということになるから、よく注意してほしい。

    「むつかし」
    現代語の「むずかしい」はdifficultの意だが、中古語では、その意味の用例がほとんどない。基本的に「感じがわるい」(unpleasant)ということで、その程度が強くなると、いくらか恐ろしさの感じも加わって、気味が悪い(evil)の意味にもなる。


    -------------------------------------------------

    「一発即死」という大胆な比喩とか、英単語を使って古文単語のニュアンスを表現するあたり、小西先生の文章の力は比類がない。
    装丁と活字のアカデミックな無愛想さとは裏腹に、、本の世界にもぐりこんでみると賢い人のわかりやすい話を聞いているように心地がいい。

    ただ、古文が苦手な受験生が手を出すには、難所がかなり控えている。ただ東大・京大・早稲田など難関大学を目指す受験生で、古文を得点源にしたい方には強くおすすめする。

    最後に小西先生がお書きになった「古文研究法」の「はしがき」「はじめに」「おわりに」の文章は、学習参考書の白眉である。清廉で血の通った文章。僕は大学受験時代繰り返し読み、落ち込みがちな気分を高揚させてくれた。
















     
    | 大学受験学参ソムリエ | 16:59 | - | - | ↑PAGE TOP