猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
kasami88★gmail.com
CALENDAR
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
twitter
猫ギター
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 英作文・小論文の採点は、人に任せるべし | main | 尾道の魚系ラーメン「有木屋」 >>
大学受験学参ソムリエ 10 「速読英単語・必修編」
0
     高等学校で買わせる英単語集の話。

    今年の尾道北高の高3は、高2の時に駿台「システム英単語」(通称「シス単」)を高校で買い、高3になっても引き続き「シス単」を使うと疑わなかったのだが、何を思ったのか突然、高3になって灘高キムタツ先生の「ユメタン」に変更した。これには少し困った。

     

    僕は1つの単語集を、隅から隅まで完璧に暗記するのがベストだと考えている。1つの単語集をボロボロになるまで使い切るのが理想だ。高2でせっかく「シス単」を買ったのに、たった1年でお役御免になり、別の単語集に乗り換えさせるのは疑問だ。

     

    単語集を2つ持つのはいい。メインの単語集とサブの単語集を使い分け、時々サブの単語集で確認するのはよい方法だ。

    単語集が1つだと配列を無意識に記憶し、どこらへんにどんな単語が出てくるのかわかってしまい、惰性で覚えてしまう。そうなると暗記が浅くなり、単語集で記憶したつもりなのに長文に出てくると思い出せないという弊害がある。

    サブの単語集を時々紐解けば、そんな弊害がなくなり、また別の単語集は配列が違うので、いい気分転換になる。
    僕は生徒個別の単語テストに、旺文社の「英単語ターゲット1900」のカードを利用している。シス単で馴染みの単語も、カードでテストされると意外に瞬時に答えられないものだ。

     

    とにかく、1つの単語集を完全に消化しないまま、別の単語集に乗り換えるのはよくない。高2の最初に買ったメイン単語集は、受験までの2年間使い続けるべきだと思う。メイン単語集は1つでいい。

     

    ちなみにうちの塾は高校部を開始して以来、メイン単語集として「シス単」を使っている。塾の単語テストは全部「シス単」から出題し、「シス単」を分子原子レベルまでなめ尽くすため、塾生の「シス単」は手垢で真っ黒になっていて、カバーなんてとっくの昔になくなり、本が破損しかけている。英単語は「シス単」に全面的に依存している。

     

    ところが、突然宗旨替えして恐縮なのだが、「シス単」一筋の僕も、高3の12月になって新しい単語集を生徒に渡し、いま急ピッチで使い続けている。センター2ヶ月前に新しい単語集を使い始めることは、一種の大冒険である。

     

    12月になって買った単語集は、「速読英単語・必修編」である。

    この単語集は普通の単語集ではない。長文を読みながら単語を暗記していく形式である。英題は’Vocabulary Building×Rapid Reading’ とある。要するに語彙を増やすのに加え、速読訓練が目的の本である。

     

    なぜ「速単」をいまさら使うか。

    「速単」は、純粋な単語集としては使いにくい。特に英語嫌いの高校生は「速単」の長文に怖気づいてしまう。文章の中で単語を暗記する利点はわかっているものの、どうしても抵抗感がある。


    だが「速単」は速読訓練には実に使い勝手のいい教材である。別売りのCDを使ってこそ相乗効果を発揮する。

    僕がいま恐れているのは、センター試験で塾生が「こける」ことだ。英語のセンターで「こける」原因は、たいてい第6問の長文問題で時間が足りないか、あるいは読み方が雑になり誤読して落としてしまうことにある。センター第6問は200点満点中50点前後の高配点で、隙があれば丸ごと吹っ飛ぶ危険性がある。

     

    うちの高3たちは、単語暗記に力を入れてきた。だがせっかく暗記した単語が、完全に血肉化しているかと尋ねられたら若干の疑問が残る。単語を完璧にして入試直前のいま、読む速さと正確さに、さらに磨きをかけたい。

    具体的に言えば、シス単の第2章に出てくる’immense’ ‘awkward’ ‘deliberately’ ‘ridiculous’ あたりの少々難しい単語を、’important’’different’ 並みの、瞬時かつ無意識に意味が取れる「鉄板」レベルの単語に仕上げておきたいのだ。

     

    固体は熱伝導率が高い。特に金属は瞬時に熱を通す。単語が「鉄板」になれば、鉄板に熱を通すように素早く長文が読める。

    逆に単語暗記が不十分で、液体のように記憶がグラグラしていたら読解が滞ってしまう。「速単」は単語を液体から固体に変え、速読力を身につけるにはもってこいの教材である。

     

    「速単」をセンター1ヵ月半前に使うとは邪道のように思えるが、実は今の時期こそが「速単」投入のグッドタイミングではなかろうか。

    「速単」は塾の授業で使っている。うちの高3はいま、週の授業時間が21時間あり(地獄)、そのうち9時間を「速単」に費やす。3週間で終了させる予定で、センターや私立の試験直前まで反復する予定だ。

     

    「速単」の使い方は、まず右側の和訳をハガキで隠し、別売りのCDを2回流し、黙読しながら意味をとってもらう。



    2回の黙読のあと、和訳を隠したまま、私が英文について「このセンテンスを和訳してほしい」「この’it’は何を指す?」「’save’の意味を3つ言いなさい」「zoo-keepersの日本語の意味は?」「‘円滑な関係‘を英語2文字で表している部分はどこ?」「本文中で述べられている、’読み聞かせ’の利点を4つ言ってくれ」「個人主義者、協力者の長所と欠点をそれぞれ挙げなさい」「この話は一種の笑い話ですが、どんなオチかな?」みたいな調子で質問をする。高3生は素早く答えねばならない。

     

    質問攻撃のあと、生徒に和訳を参照してもらう。



    今度は、次のページに羅列された単語を確認させる。



    わからない単語、不安な単語にチェックを入れてもらう。同時に私が「これは絶対に暗記せよ」とポイントになる単語をいくつか指摘する。

     

    高3の今の時期、このレベルだとお馴染みの単語が多いが、着目点は「同義語」である。

    長文読解問題は「本文の内容とあっているものを選べ」という問題がメインだが、本文と設問の文章では、同じ意味の単語が言い換えられていることが多い。


    たとえば、本文では’reduce’という単語が使われているのに、設問では’diminish’と言い換えられている。
    ’reduce’’diminish’で、どちらも「減少」という意味の言葉だと意識しておけば、本番で時間が圧縮できる。
    「速単」には同義語がキッチリ指摘されていて、最終確認にうってつけである。
    たとえば「がんこ」というキーワードでも、同義語がこれだけ列挙されている。



     

    同義語の意識的な把握が、問題を解く処理スピードのアップにつながる。

     

    最後はCDを使って音読。同じ英文を3〜4回繰り返す。そして3〜4日後にまた音読を反復。さらにその3〜4日後にまた音読。1つの文章につき50回音読をめざしている。
    音読が読解スピードを上げるのは周知の事実だし、リスニングの力を伸ばし、また発音・アクセント問題の抜本的解決にもつながる。

     



    センター・私立大試験の2週間前は、短文精読から長文速読シフトに意識して切り替えなければならない。「速単」は英文の面白さといい、単語の網羅性といい、直前の速読訓練には最高の教材である。

     

    | 大学受験学参ソムリエ | 17:25 | - | - | ↑PAGE TOP