猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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スグルの大学受験(2)
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         スグルが高校に入り、私は英語でスタートダッシュをかけようと意気込んだ。

    彼は体育の先生になる目標があった。広大か岡大が志望校になるだろう。

    ところが、高校に入学したスグルは、入学早々軽い暴行事件を起こした。同級生を思いっきり蹴飛ばしたらしい。もはや勉強どころの騒ぎではない。

     

    スグルはヤンチャな男だ。逆に尾道北高は先生も生徒も真面目な雰囲気に包まれている。水と油だった。謹厳実直な進学校に「ビーバップハイスクール」のトオルやヒロシが紛れ込むようなものだ。スグルが居心地の悪さを感じたのも無理はない。彼は純情なのだ。真面目ぶってスカしたヤツに対する敵意が爆発したのだと思う。

    北高は生徒指導が厳しい。自転車の二人乗りをしただけで会議が開かれるような高校だ。巷では「北高プリズン」とも呼ばれている。もちろん「異物」であるスグルは、先生から危険人物視された。

     

    毎日のように高校の先生から尋問にかけられ、とうとう彼は高校を辞めたいと言い出した。お母さんと2人で、私のところに相談に来られた。

    彼は私の前で大人しく座っていた。彼は私をヤクザの親分とでも思っているのか、日常生活の天衣無縫ぶりを私の前ではいっさい見せず、猫をかぶっている。

     

    面談で、私は彼に「学校は絶対にやめてはならない。この就活難で高校中退なんて、どの企業も敬遠する。経歴に傷は絶対につけてはならない」と言った。


    スグルは天性の「いじられキャラ」である。私だって金本が新井をいじるように。ブログで今スグル君のことを大々的にいじっている。高校の先生も彼の可愛げがわかれば、数ヶ月すればうまくいくだろうと予感した。


    ただ、そのとき私は不謹慎かもしれないが、心のどこかで「面白い」と思った。私の経験則は、彼のように目が素直で、高校時代に荒れた男は、立ち直ると強みを発揮することを知っていたからだ。根が真面目な子が疾風怒濤の時期を過ごしたあと、台風一過の青空のような人間になることは確かなのだ。彼は台風の渦中にいるが、私の目線は上から天気図を見つめている感じだった。

    それに、いざとなったら私がスグルに真正面からぶつかればいい。「スクールウォーズ」の滝沢賢治をやればいい。私にはまだ若さもパワーもある。


    最終的には、彼はなんとか高校に残ることになった。やれやれ。

     

    もちろんこの時点で、スグル君の学業成績は最悪だった。

    彼の高1時代の模試の成績を紹介しよう。


     
     

    国数英で校内順位がビリから3番目。スタートダッシュなんてとんでもない。開幕15連敗みたいな成績である。

    実は彼には、もっとひどい点数を取った模試があって、その模試ではなんと英数国全教科で学年最下位を取っているのである。当たり前だが総合でも最下位。


    私は塾生の模試の成績は、コピーして保存しているのだが、このときはショックでコピーするのを忘れてしまった。悪い成績を取った子に対して、私はあれこれ注意するのが日常のパターンだが、この時ばかりは頭が空白になり、呂律が回らず「がんばれよ」ぐらいしか言った記憶がない。

    勉強の成績はともかく、スグルは学校生活に馴染みすぎるくらい馴染んでいった。野球部の練習も順調にこなしたし、高校の先生方も彼の面白さをわかるようになった。最初のつまずきがウソのようだった。


    彼がつきあっている女の子は頻繁に変わった。3人同時進行でつきあっているという噂も聞いた。中学高校生活を通して、スグル君の元カノの数は20人を越えるだろう。彼がもし俳優になり、太閤秀吉をやったら最高だろうと思う。
    しかし今度は逆に、高校生活を楽しみすぎるようになった。「女性問題」である。彼は女の子にもてる。スグルには「英雄色を好む」的なものがあった。

     

    彼がもてるのは、女の子に対するやさしさが原因なのかもしれない。彼は私に対しても、合格体験記に「先生に一生ついて行きます」と書いたり、カラオケに行けば「カラオケ最高に楽しかったです」とメールでほめてくれる。彼は付き合っている女性に対しても、こんな調子なのだろう。女の子の側からすれば悪い気はしない。


    私はそんなスグルを、ひそかに「平成の火野正平」と呼んだ。問題は、火野正平をどうやって大学に合格させるかである。




     

    中学3年時代のスグル

    (つづく)


         
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