猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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有名人自慢男
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    面白い人と出会った。
     
    ある企業の中間管理職の方(仮に名前をP氏としておく)と、縁あって神戸で会ったのだが、これが奇妙な人だった。
    P氏は挨拶もそこそこに、自分の会社の事業内容をはじめた。私にはあまり興味のない話だったが、私は儀礼上おとなしく耳を傾けていた。P氏には、相手が自分の話に興味があるのかについての配慮がなかった。どうしてこの人は自分の話ばかりするのだろう、何で人の話を聞きだそうという姿勢がないのか。おかしい。P氏の話はtalkでなくspeakで一方的なものだった。

    私はよく聞き上手と言われる。特に、私は初対面の人と会うとき、自分から語りかけるモードでなく聞くモードから入る。人の話を聞くのが好きだからだ。私が一方的に話すのは、信頼している方に悩みを相談する時と、尊敬する教え子に人生観を語る時くらいだ。
    ただ、聞き上手にも限度がある。P氏の自己語りは限度を超えていた。

    いつ私に話をさせてくれるのか、探りを入れてみたがP氏は打ち消すようにまた自分の話を続ける。私が自分のことを話そうとすると「そういうこともありますよね」と私の話を一般化し、よくある話として受け流し、強引に自分の話に持ち込んで、また自分語りを再開してしまう。しかも最後のほうになるとネタが尽きたのか、たった1時間前にやった話と同じ話を語り始めた。

    私はP氏との対話を期待して来たのだが、十数分でP氏との対話を断念し、以後は相槌モードに切り替えて話を聞き続けることにした。まるでビートきよしになった気分だった(もちろんP氏には、ビートたけしの話のキレは全くない)
    最初「聞きモード」に設定した私も悪いが、ここまで自分の話ばかり続ける人ははじめて見た。P氏は社内では中間管理職で、P氏の自分語りに部下が我慢しているのが見て取れた。
     
    さて、そのあとが圧巻だった。
    有名人といかに自分が知り合いか、政治家とどれだけ仲がいいかについて、ずっと有名人自慢を続けたのである。「私は歌手のAさんとパネルディスカッションをした」「Bさんとはいつでも電話できる仲」という話のマシンガントークが炸裂した。
    最初の2〜3人は「なるほど」と感じ、ミーハー気分で面白いと正直感じたのだが、あまりに有名人自慢が止まらないので、「この人は最後までこの調子なんだ」とあきらめモードになった。

    ある程度常識がある人なら、有名人自慢は自分を小さく見せる最悪の行動パターンだと知っているはずである。しかし、P氏は有名人の名前を口にするたびにドヤ顔をし、私がわざとびっくりした顔を見せ「そうですかあ」と大げさに答えると、「ヒヒヒ」と笑った。笑顔でからかい続ける私も人が悪いが、相手が辟易していないか省みないP氏も悪い。いったい何人有名人自慢を続けるのかと思いきや。最後まで数えてみると2時間で17人にものぼった。
     
    そして、この人は有名人だけでなく、どこに自分の友達がいるか、えんえんと全国津々浦々にいる友達の話を始めた。金沢の友達、鹿児島の友達、札幌の友達、「友達」という言葉が何回も登場した。本当に友達が多い人間、深い親友を持つ人間は「友達」という言葉はあまり口にしない。
    最後には有名人ネタも尽き、さもホリエモンと知り合いのような話をするので、「知り合いですか」とたずねると、サークルの友達の友達だという。P氏とホリエモンの関係は、アルカイダの友達の友達のレベルだった。

    必死で交友関係を誇示し、賢者を演じている人間の前で、私は愚者になりきっていた。私もP氏も等身大を見せない奇妙な会話だった。私は最後の方になると、どういうわけかP氏のカウンセリングやっている気分になった。
    失礼な言い方かもしれないが、私にはP氏が政治家や有名人のコバンザメにしか見えなかった。P氏は饒舌で気持ちよかっただろう。また私に対してあまり話さない人だという若干の不満と軽蔑も感じたかもしれない。最後まで意地悪くP氏の有名人自慢を続けさせた私も人が悪いし、こんなところで書くのも良くないことだとわかっている。でも会話の途中で「有名人自慢が多すぎます、やめて下さい!」とストップをかける勇気は私にはなかった。
     
    意外にも、ここまで見事な有名人自慢を続けるP氏に対して不愉快な感情は持たなかった。いまどきこんなに無防備な人はいるのかと感心したくらいだ。
    ただ、私はこの人に絶対に借りを作ってはならないと思い、食事の勘定は全部払った。

    自慢話をするのは小さい人間、また自慢話を面白がる人間はいない。P氏の有名人自慢で再認識した。
    そして、これまで私が文章に惚れてお会いした教育関係者の方々が、いかに凄い人たちかを再認識した。彼らは有名人自慢など思いもしない。虎の衣を借りぬとも、自己の世界を確立している。彼ら自身が一匹の虎なのだ。

     
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