猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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高1・高2で読むべき本(2)
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    小説をいくつかお勧めしたい。ちょっと古いものから。

    まず新田次郎『孤高の人』。登山小説。
    私は新田次郎を大味な小説家だと誤解して未読だった。映画「八甲田山」が凡庸だったので、原作者にも偏見を持っていた。新田次郎は「藤原正彦の父」という存在でしかなかった。
    だが『孤高の人』は本当に素晴らしい。主人公の登山家・加藤文太郎は「孤高」というより「偏屈」。だが愛すべき偏屈。
    上司に食事を奢られても自分で払い、思いがうまく伝えられず冷笑する癖があり、それが不気味に見え敵を作り、ザックに石を詰めて出勤し、夜は山中泊の訓練のため庭で寝て「孤高」というより超努力家の「変人」だった。どこか巨人の桑田を彷彿させる。

    井上靖はここ十数年、昔ほど読まれていない気がする。私に子供がいたら食卓や居間に何気なく、小学生なら『しろばんば』中学生は『夏草冬濤』高校生は『北の海』を置いておく。
    井上靖『夏草冬濤』は、親元を離れ一人暮らしする少年が、旧制中学の自由な校風に染まり、魅力的な悪友の影響を受け「文学少年」になる話。主人公が自殺するヘッセ『車輪の下』がネガなら、この作品はポジ。中2〜高2ぐらいの賢い男の子が感化されそな本。
    『北の海』は『夏草冬濤』の続編で、中学時代遊びまくった主人公が浪人するが、四高柔道部の寝技で勝つ「練習量がすべてを決定する柔道」に強い魅力を感じ、自由奔放な「文学少年」からストイックな「体育会青年」に変貌する話。私にもし息子がいたら、こんな青春時代を送ってほしい。

    井上靖は歴史小説も面白い。司馬遼太郎に比べ短く、代表作である『天平の甍』も『敦煌』も『風林火山』も薄めの文庫本一冊に収まっている。井上靖は文章がうまく、純文学と大衆文学の中間あたりのスルスル読める文体でありながら作品が短い。『風林火山』なんか司馬遼太郎なら文庫本7〜8冊ぐらいのボリュームで書きそうなところを、薄い文庫本たった1冊。超長編が合う文体の人なのに作品が短いから、いい意味で欲求不満になる。
    『氷壁』は登山小説で、井上靖の代表作の一つだが、恋愛観が古めかしく冗長を否めない。登山小説なら先に挙げた『孤高の人』や、横山秀夫『クライマーズ・ハイ』、そして何といっても夢枕獏
    『神々の山嶺』がいい。

    短編小説も気軽に読んでみよう。
    学校で暇をもてあましたり、授業がつまらない時、国語の教科書をめくれば、気の利いた短編が出ている。そんな短編をつまみ読みすれば、妙に記憶に残る。文庫本で10ページぐらいの短編を、サザエさんやドラえもんの一話分を見るようなサラッとした気分で読みたい。
    短編なら織田作之助『夫婦善哉』。ちょいと古めかしい文体だが、10行ばかし我慢して読むと意識は戦前の大阪へ。出てくる食べ物がおいしそう。ダメ男とダメ女って今は「ぼっち」を気取っているけど、昔はダメ人間同士寄り添うものだったのね。寄り添う男女がいとおしい。著作権切れてるからネットで読める。→
    こちら

    江戸川乱歩はグロい。『芋虫』は戦争で両手両足聴覚味覚を失い、視覚と触覚のみ無事な芋虫のような傷痍軍人の夫を虐げて快感を得る女の話。夫は何をされてもまるで芋虫のように無抵抗。目まで潰される。妻を寺島しのぶが演じた映画「キャタピラー」の原作か。
    乱歩の『芋虫』は四肢を失う軍人の話だから、当時は反戦を謳ったプロレタリア文学扱いされたそうだけど、違う。乱歩は左翼じゃなく、ただ悪趣味なだけ。
    プロレタリア文学でグロいといえば、葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』。超短編なので5分で読める。本当に短い文章だが、衝撃で頭の中に感想が駆けめぐる。これ読んで何も感想が浮かばないことはあり得ない。
    こういう短いけど、アルコールならアブサンのようにアルコール度数が高い作品は、読書感想文にはもってこいである。→
    こちら

     
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