猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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中学受験「お父さん家庭教師」の破綻
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    父親が子供に勉強を教えるというのは、どういうことなのか?
    中学受験期の子供に勉強を教えている「お父さん家庭教師」は、かなりの数にのぼるだろう。
    しかし子供が成長するにつれて、だんだん父親は子供に勉強を教えなくなる。教えられなくなる。

    その理由はまず、父親の学力にある。難関中学の算数は難しいから、父親が問題を解けなくなる。
    小6ぐらいになってくると、子供に「お父さん、この問題教えて」と質問されても、お父さんは30分も1時間も頭をひねるだけで、問題が解けない。

    難関中学の算数の問題は年々難化しているから、子供時代に中学受験を経験したお父さんでも歯が立たない問題は多いし、また自分の受験時代には存在しなかった面積図が理解できないから、教え方は自然と我流になり、しかも「方程式なら解けるんだけどね」と突如方程式が登場したりして子供は戸惑う。
    子供は黙ってお父さんが難問と格闘する姿を見ている。お父さんは子供の視線が拷問プレッシャーになり、ますます解けない。難問にイラつき、「こんなもん自分で解け!」と逆ギレするお父さんの気持ちもわかる。

    小4ぐらいまでは子供に「ちょっと算数教えて」と質問されても瞬時に答えることができるが、小6の子に本格的に勉強を教えるとなると、しっかりした予習が必要だ。一旦教える決意をしたら腹を括らなければならない。
    塾のプロ講師ですら綿密な予習をして授業に臨むのだから、素人のお父さんが難関中学の問題を生半可に教えることは難しいのが現実だ。本格的に教えるには膨大な時間と執念がいる。

    たった1〜2問ぐらい算数の質問に答えるぐらいは時間的に楽だと思われるかもしれないが、子供は自分が解けないから質問に来るのであって、必然的に質問される問題は強烈な難問になる。
    お父さんは仕事から帰って来たら突然、進学塾のテキストで選りすぐりの難問を子供から「わからん」と質問される。パパっと解いて鮮やかに説明できる父親は少ないだろう。

    予習した範囲を授業形式で教えるのは易しい。逆に、突然子供が持って来た難問を解くのは難しい。サーブを打つより受けるほうが格段に難しいのと同じことだ。持ち込まれた難問に答えるには強靭な学力が必要で、塾のベテラン塾講師並みに中学受験に知悉していなければならない。

    だから子供に勉強を教えることのできる父親は、時間に融通が利き予習時間や過去問研究の時間が取れる自営業の人か、あるいは予習しなくても教える能力がある医者か官僚か弁護士か大学教授のような高い学力を持つ人か、子供の教育にかける意気込みが狂気のレベルに達している人か、或いは本職の塾講師という場合に限られる。
     
    「お父さん家庭教師」は、反抗期思春期の子供に反抗されるか、無気力の仮面でサボタージュされる。
    10歳を超えれば、父親と子供はN極とN極、S極とS極といった具合に反発し合うのが普通ではないか。親子がベタベタの蜜月関係だったら気持ち悪い。
    狭い部屋で父親と子供が向かい合って、或いは子供の勉強机の横に父親が陣取って勉強を教えている姿はいかがなものか。
    個人差はあるだろうが、私には強い抵抗がある。子供の立場だったら絶対に嫌だ。ほとんどの子は抵抗を示して、「お父さん家庭教師」から卒業する。

    父親から過度に束縛された子供は「解放」され、勉強の道にはなかなか戻れない。出汁を取った後の鰹節や昆布のような抜け殻になる。特に六年間一貫中高の成績下位の子には、強い倦怠感がある。俗にいう「燃え尽き症候群」である。

    子供時代、あまり勉強しなかった人が親になると、子供に限度を超えて勉強させる傾向がある。自分が勉強しなかったから限度がわからない。勉強させられる痛みがわからない。自分は子供時代遊んだのに、子供に期待して口やかましく勉強させる親は、自分に甘く他人に厳しい典型だ。
    執拗な「お父さん家庭教師」は、内田樹氏言うところの「ファミリアル・ハラスメント」の一種だ。子供の抵抗は、無気力による成績低下か、最終的な大爆発で幕を閉じる。
     
    父親「お前、勉強しないと社会の落伍者になるぞ」
    子供「うるせいな、アンタだって落伍者じゃねえか。自分の仕事の不平不満を、俺の教育に持ち込むな。仕事やポジションに不遇感やらコンプレックスを抱いているからって、俺に夢を託すんじゃねえよ」
    父親「父さんは若いころもっと勉強すればよかったと後悔してる。だからお前にはもっと勉強してほしい。俺にとっておまえの成長が生きがいなんだ」
    子供「それが嫌だ。ああ嫌だ。その暑苦しい愛情の押しつけが嫌だ。アンタもいい加減俺にかまってないで、自分の生きる道見つけたら? 自分は努力せず俺に勉強させて卑怯だと思わないか? アンタの生き方は、夢を子供に託すという美名に酔った他力本願じゃねえかよ。迷惑なんだ。この毒親!」
    父親「父さんはお前のことを思って・・・」
    子供「アンタ幽鬼みたいな顔してるぜ。自分の顔、鏡で見なよ。アンタの本質は自己愛だ。子供の気持ちより自分の気持ちを優先する。その証拠に、俺はアンタから愛を感じない。とにかくウザい」
    父親「・・・」
    子供「アンタ、俺を使って、世間に復讐しようとしてるだろ」




     
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