猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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アメフト野郎!by航太郎 (1)
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    僕は岡山大学法学部4年
    アメフト部BADGERS#7
    矢野航太郎です

    これから3回に分けて、岡大アメフト部BADGERS(バジャーズ)がどのような部活か、そしてアメフトの魅力について語ります。
    第1部はアメフト部の生態について紹介し、第2部では夏合宿と3人の選手の紹介、そして第3部では2015年のバジャーズの激戦を振り返ります。
    岡大アメフト部BADGERSで、僕たちと濃く真摯な青春時代を送りませんか?


    --------------------------------------------------------
     

    第1部 岡大アメフト部
       BADGERSの紹介 

    〜アメフト部って、どんなところ?〜

     
    ■アメフトで肉体改造。筋肉と体重を増やし強い男に 
    「3限筋トレ!誰か!」
    LINEの通知を開くと、アメフト部の同期LINEグループに書いてある。
    筋トレの合図だ。
    アメフト部の空きコマは筋トレだ。
    授業1コマ分は90分、1回の筋トレは1時間のメニューで組むのが基本なため、空きコマは時間的にちょうどいい。
    筋トレが終わり、更衣室で仲間の裸を見ながら、「お前、脊柱起立筋膨れてきたなぁ」とほめる。仲間の太くなった筋肉は筋トレのモチベーションになる。心のなかで対抗心を燃やす。
     
    アメフト部には、どんな人が入部するのだろうか?
    体格に恵まれ、喧嘩が強かった人が入る部活だと誤解している人もいるかもしれないが、それは太い筋肉質の体や、いかつい防具から連想されるイメージでしかないと僕は思う。
    実際に僕の同期のワタナベ君の現在の体を、入部当初と比較してみよう。彼は入部当初64キロだったが、現在では85キロもある。筋トレと食トレでここまで大きくなった。
     


    Before:ワタナベ君の1年入学時


    After:ワタナベ君の現在

    アメフト部といえども、高校までアメフトを経験した選手が学年に1人いるかいないかの岡大BADGERSの場合、入学時は意外に細い人が多い。筋肉質でも体の線は細い。アメフトの認知度が低い中国地方にある国立大学では、アメフトをしたくて入学する人はほとんどいない。3年・4年のアメフト部員が、入学当初の写真を見返すと、あまりの細さに自分を自分と認識できなかったりする。
     
    筋肉質な体を作り上げるにはどうするか?
    一昨年からBADGERSでは、新入生のために計画的なトレーニングメニューが組まれ、新入生担当のコーチとトレーナーが管理している。
    筋トレは上半身の日、背中の日、下半身の日に分かれる。まずはBIG3と呼ばれるベンチプレス、デッドリフト、スクワットの数値を上げることを目指す。ベンチプレスは入部した時には50キロも挙げられなかった選手がトレーニングを続けることで100キロを挙げられるようになるし、厚く見栄えのある胸板を手に入れることができる。夏にTシャツをタイトに着るおしゃれができるようになる。体が見栄えがするので着飾る必要がない。
    体が大きくなってくると、筋トレ後にパンプアップした自分の体を鏡の前で確認するのが至福の時だ。充実したトレーニングの後はボディービルダーのようにポーズを決める。
    僕自身は体の変化は少ないほうだが、久しぶりにあった高校サッカー部の友達や、久しぶりに訪れた父の実家の親戚からは、「大きくなったね!特に肩まわり」と言われる。


     
    ■アメフトは誰にでもでき、居場所があるスポーツ


    アメフトキック.jpg
    僕は元サッカー部。アメフト部ではキッカーを任される
     
    野球部、サッカー部、陸上部、水泳部、柔道部、剣道部、吹奏楽部、テニス部、ラグビー部、ヨット部、バスケ部など様々なスポーツ経験者が同じスポーツをしていることは珍しい。イチローと本田圭佑、五郎丸歩、錦織圭、瀬戸大也が同じチームで戦っているようなものだ。他にも囲碁将棋部や帰宅部だった人も試合で活躍しているので、将棋の羽生名人までいることになる。
    スポーツのサラダボウルたるアメフト、これは大学から始める人が多いカレッジスポーツの魅力だ。
     
    アメリカンフットボールは球技に分類されるが、選手の中には特殊な状況を除いてボールに触れられないポジションもあり、ボールを扱うのが苦手だからと言って敬遠する必要は全くない。
    人とぶつかるのが強い人、ボールを投げるのが得意な人、ボールをとにかく遠くへ蹴り飛ばせる人、走るのが早い人、反復横飛びが得意な人、相手の行動が予想できる人、機転が利く人、作戦を考えるのが好きな人、人をだますのが得意な人、全てが長所になり得るスポーツだ。
     
    僕はクオーターバックとキッカーを任されている。アイシールド21で言うとヒル魔と武蔵のポジションを一人でこなしている。
    キッカーが登場するのはキックオフの時と、フィールドゴールを狙うときだ。試合開始と得点後に、キックを蹴る機会がある。
    キックオフは状況に応じて蹴り分けるが、滞空時間の長いボールを遠くまで飛ばすディープキック、高いボールで相手にあまりリターンさせないスカイキック、わざと転がすスクイブキック、自チームがリカバーして攻撃権獲得か目指すオンサイドキックなどがある。

    フィールドゴールはラグビーの五郎丸選手のキックとよく似ている。スコアリングに関係し、試合の勝敗を左右するので、キックの時には重圧がのしかかる。
    キックの技術もさることながら、強いメンタルも求められるのがキッカーというポジションだ。毎回、サッカーのPKのように決めて当然と思われる周囲からの重圧を跳ね返さなければならない。
    10年間サッカーをしていたので、蹴ることは得意だが、丸いボールを蹴るのと、楕円のBALLを蹴るのとでは感覚が違う。蹴り方もいかにBALLに体重を乗せられるかが重要で足の振り上げ方など、サッカーで言うと低い弾丸ミドルシュートを蹴る時のようなフォームになる。
     
    もう一つのポジション、クオーターバック(QB)は攻撃の要。チームの司令塔だ。
    センターと呼ばれるポジションの選手からボールを受け取り、ランニングバックにボールを手渡ししたり、ワイドレシーバーにパスを投げたりする。相手のセット位置や動き方次第で瞬時にプレーを変えることもあり、パスを投げる肩と判断力、決断力が求められる。
    大学のクオーターバックは、アメフト経験者か野球部出身の選手がやるポジションなので、サッカー経験者の僕がQBをやるのは非常に珍しい。
    キャッチボール程度なら人よりも上手にできる自信があるが、投げる動作をスポーツとして行っていなかったので、楕円の400グラムあるボールを投げるのに必要な力が無く、最初は辛かった。腕使い方や体重移動の方法などアドバイスを受けたが頭ではわかっていても、具体的なイメージが掴めずなかなか吸収できなかった。ボールを投げ込み、今ではコントロールして投げられるようになったが、飛距離ではやはり野球部出身のQBに負ける。
    ただ、QBは肩の強さだけで判断されるわけではないので、肩の弱さをカバーするため、フェイクのうまさ、目線の使い方、安定感など他の要素で僕は勝負している。
     
    僕は得意なことが無いという人には次の言葉を紹介したい。
    「技術は好不調があってお前を裏切るかもしれんけど、体重だけは信頼できる」
    体重は筋トレと食事次第で増やせる。当たりが強くなれば皆に平等にチャンスがある。こうして考えると、アメフト部に最も向いているのは食べるのが好きな人かもしれない。


     
    ■僕がアメフト部に入部したきっかけ


    岡大入学式.JPG
    岡山大学入学式で
     
    ここで、僕が岡山大学アメフト部BADGERSに入部した経緯を書く。
    僕は大学受験で都会の第一志望校に不合格になり、不本意な気持ちで岡山大学に入学した。憧れていた都会の洗練された空気とはかけ離れた、地方特有のぬるい雰囲気を感じた。長風呂した時のように体から油が抜けすぎ、しかも微妙に居心地がよく、ふやけてしまいそうだった。
    新歓ではサッカーサークル中心に回ったが、仲良こよしの球蹴りで面白みを感じなかった。自分が所属するべき環境はサークルの中に見当たらなかった。
     
    そんな状況から僕を抜け出させてくれたのが岡大アメフト部BADGERSだ。活発に動き回るための酸素を与えてくれる場所だと直感的に感じた。
    1976年に学生会館に貼りだされた一枚のポスターからBADGERSの歴史は始まった。OB会は総勢400名を超え、金銭面や練習器具など多大な支援を頂いている。
    BADGERとは“アメリカアナグマ”を意味する。アメフト部初期の先輩が、不幸にも練習中の事故で亡くなられた。その方は、体は小さいがすばしっこく何度倒れても立ち上がる強靭さを持っていたそうだ。その方にちなんで小さくても果敢に相手に立ち向かうアメリカアナグマがチームのニックネームになっている。
    僕はこのエピソードを聞いて自分と重ね合わせた。僕は小さいころからアトピーとアレルギーで、体は丈夫ではなくても執念で果敢に生きてきた。加えてBADGERSのスローガンはchallenge on だ。挑戦し続けるという意味のこの言葉は大学受験の失敗に縛られていた僕を前に進ませてくれるものだった。挑戦し続ける姿勢は当時の僕に一番必要な姿勢だった。
     
    岡山大学アメフト部BADGERSに入部することを決心したのは、新歓行事として行われたパーティーが契機だった。先輩の家で鍋とたこ焼きをすることになっていたのだが、卵アレルギーの僕は生地に卵を混ぜるたこ焼きは食べられないから、鍋だけを食べようと思っていた。
    ところが予想外の出来事が起きた。4回生の先輩が、僕が卵を食べられないと知って卵を生地に混ぜずにたこ焼きを作って下さった。僕は嬉しくてたまらなかった。
    「卵なしのたこ焼きも意外とおいしいな」と先輩が笑顔で言ってくれた時は誇張ではなく泣きそうになった。入学前は大学に入ってまで部活をやる気なんてさらさらなかったが、待ち望んでいた居場所をやっと見つけたと思った。
     
    僕はBADGERSで人のために泣けるようになりたい。自分が負けたのが悔しくて泣くことはあるが、仲間を勝たせてあげることができなくて泣いたことはまだない。今いる環境は本当に汗臭く、男臭い。泥まみれで練習し体を痛めながらも執念で勝利を目指すアメフト部は自分に最適だ。共に同じ釜の飯を食い、寝、体をぶつけ合って、血を流した仲間と泣きながら抱き合いたいと思う。


     
    アメフト部のスケジュールと食生活 
    BADGERSは火、水、木、土、日の週5日全体で活動している。
    平日練習は午後6時から9時まで。周辺住民との取り決めで9時に照明を消し、10時に更衣室から完全に撤退する。体のケアと道具の手入れをしていたら消灯後の1時間は飛ぶように過ぎる。
     
    とあるアメフト部員の一日を、表にして紹介しよう。


    アメフト部員の1日.png

    スケジュールを見ると大変そうに見えるが、時間をどう使うか考え、無駄な時間がなく充実している。
     
    練習が終わり、アフターをして、ご飯を食べた後に練習の反省ミーティングを行う。時間がない時は弁当屋さんで弁当を買い、ミーティング中に食べる。
    会議中や勉強中にご飯を食べるのは許されないと思うが、アメフト部では消費したエネルギーを補給しないことや、お腹をすかした状態を作ることが一番の悪なので、ミーティング中にご飯を食べる光景は当たり前になっている。
     
    練習はビデオで撮影する。ミーティングではパートリーダーが中心となり、ビデオを何度も巻き戻しをしながら、1プレーずつ1人の動きを丁寧に確認していく。そして全体の連携をホワイトボードで整理しながら戦術理解を高めていく。
    パスプレーに関しても、
    「お前、なんでこのルート走ったん」
    「カバー判断できんかったからちょっと中に入った」
    「それじゃあ、QBが投げるスペースが狭くなるよな」
    切迫した状況でパスが通るように、ミーティングで徹底して頭の中のイメージをすり合わせていく。
     
    土曜日、日曜日や長期休暇中は午前中に練習する。朝9時から3時間程度全体練習だ。昼ごはんを食べて、ミーティングをした後、クラブハウスで昼寝するときもある。相撲の力士みたいだ。
    寝るといってもベッドや畳があるわけではなく、ホームセンターで売っている正方形のカラーマットが敷き詰めてあるだけ。それも年に1回大掃除の時に洗うだけで、汗が染みこんでいる。シミと匂いがプンプンするマットすら気にかけないほど、練習後は眠くなる。体がでかい人のおなかを枕代わりにして寝たり、パイプ椅子の下に潜り込むように寝たりしている人もいる。
    練習後の大男たちが集まるのできれいとはいいがたいが、睡魔には勝てず横になると、気づかぬ内に眠りに落ちている。起きた時に毛玉やほこりが服につきまくっていて、クラブハウスで寝たことを少々後悔する。
     
    アメフト部の食生活だが、ふつうの大学生の2倍くらいの量は食べる。白米だけで一日5合は食べる。
    ふだんの昼ご飯は学食か、量が多い定食屋さん、もしくは3限が無かったらお金を節約するために自炊することもある。
    山下、かがしや、学食、ひで、稲穂、かつ亭、丼丸がよく使う店だが、中でもお気に入りなのは山下と稲穂だ。
    山下は夫婦で経営されている定食屋さんだが、大盛り無料でおかずの量も多い。僕が特に好きなのは肉巻きで、少し濃い目のソースがご飯とよく合う。米がなくなり次第閉店するのが残念なところ。
    夜利用することが多いのは稲穂だ、ここも年配の夫婦が経営されている定食屋さんで、優しい家庭の味という感じで美味しい。焼き肉定食、生姜焼き定食が好き。日替わりは450円で学生には嬉しい。夜11時まで営業されているので練習後に行ける数少ない定食屋さんだ。
     

    ※2016年度からクオーター制が導入されタイムテーブルが大幅に変更されたので、体に染み付いたリズムも変更を強いられる。


    アメフトと勉強は両立可能か?


    図書館.JPG
    僕が1年間留学した、イギリス・ケント大学
     
    毎年新歓時期、アメフト部入部希望の新入生と話していると、アメフト部に関して心配事は共通している。
    勉強との両立はできるのか、お金はどれくらいかかるのか、けがは大丈夫か、親に反対されないか、自分の運動能力でアメフト部についていけるか、だ。
     
    まず、勉強とアメフトはは両立可能だろうか?
    僕は大学1年生の時、アメフト部で練習しながら、岡大からのイギリス交換留学をめざした。交換留学に選ばれるには、IELTSという試験で高得点を取る必要があった。
    現在僕は岡山で下宿しているが、1年生の時は尾道の自宅から1時間半かけて通いながら授業に出て部活もし、通学中の電車や大学に行く前の早朝、部活がない日は早めに尾道に帰り英語を勉強した。
    その結果、法学部の交換留学生に選出され、イギリスのケント大学に1年間留学することができた。
     
    交換留学に応募するにはIELTSで4.0以上取ることが条件だったが、それをクリアするだけでは他の学生との競争に負ける可能性が高いので、各セクション5.0以上を目指した。5月終わりに募集要項が発表されてから9月の試験までに時間がなかったので、空き時間は全て勉強に当てた。
    3週間で旺文社の『TOEFL3800英単語』に掲載されている単語のうち、語源や語呂を駆使して2000語弱を暗記した。僕がアメフトをやりながら暗記した単語を並べてみた
    僕が暗記した単語
    最終的にはIELTSで5.5を取れ、留学中に9月に受けた試験では7.0相当の点を取れた。
     
    部活がない日は講義が終わったらすぐに電車で尾道に帰り、夕方7時ころから深夜時ころまで勉強した。早朝も笠見先生に無理をお願いし、岡山に行くまでの時間を勉強した。
    岡山から帰ってくる時、勉強時間を確保するために新幹線を使い急いで尾道へ帰ったが、確認せずに乗った「のぞみ」の車両が福山で停車しないもので、広島まで行ってしまったこともあった。
    また、丸暗記しただけでは特に英作文など歯がたたないので、教養を身につけるために読書もした。
    留学に必要な英語は、大学受験英語では太刀打ちできない。IELTS受験後に、大学受験で一番難しいと言われる慶応大学の問題を解いたら簡単に見えた。
     
    結局は時間の使い方次第で、何か目標に向かって勉強している時は、無駄な時間を極限まで削ぎ落とせる。自分なりに工夫して時間の使い方を学べば社会に出てからも役に立つはずだ。まとまった時間は確保しにくいし、練習で疲れた体に鞭打って勉強するのは簡単ではないが、部活と勉強は両立できる。

    なお、僕の英国留学記は、こちらをご覧下さい。
    コウタロウ英国留学記
    (1) (2) (3) (4)


     
    ■バイトや恋愛と両立できるか?就職活動は? 
    バイトについて。
    まず書いておかなければならないのは、アメフト部員は食費にお金がかかるということだ。逆に言えば食費以外、服や飲み代にお金がかからないので食費しか出費がないといえるが、力士並みに食うため4万から5万円程度毎月かかるので、バイトをして生活費に充てなければならない。
    事実、8割以上の部員がバイトをしいる。長期休暇中を除いて、部活が休みの月曜日と金曜日、土曜日、日曜日の午後から夜にかけて働く人が多い。スポーツジムのトレーナーやベネッセのサポートスタッフ、ドラッグストア、レストラン、居酒屋、家庭教師、酒屋、牛丼チェーン、デパート、ラーメン屋、コンビニ、カフェなど業種は幅広い。
     
    恋愛については問題で、「腹減ったー」と同じような感覚で「彼女ほし〜」と叫ぶ人もいる。アメフト部の狭いコミュニティーで日常の大部分の時間を過ごしているのと、普段女性との接点が少ない分、理想が高くなりがちな傾向がある。それは置いといて自分たちで一番問題だと思っているのが、デブかデブじゃないか。アメフト部の中ではガリガリと揶揄される人でも、一般世界に出ればゴリゴリとの評価を受ける。そうすると、アメフト部の中で、いい意味で「でかくなったなー」と言うと、普通ではデブと分類される体型に成長している危険性がある。これが価値観の違いというやつか、いや、そんなに大層なものではない。彼女ができないのをデブのせいにして諦めている姿勢が良くないだけだ。
     
    体育会の部員は就活で有利と聞くが実際はどうなのだろうか。
    先輩の就活を見てきた実感としては、比較的早い段階で終わっている印象だ。アメフトで鍛えているため、ストレス耐性が強いことは高く評価されるようだ。志望する業界に進めている人も多い。メガバン、製薬、ゼネコン、生保、公務員と業種は様々だ。
    また、大学のキャリア開発センターが主催する部活生だけの就活合宿にも参加でき、部活を活かした就活方法を勉強できる。アメフト部というだけでキャリアの先生と仲良く慣れるのも魅力だと思う。
    公務員になる人も多い。岡大の公務員講座は3年の6月に始まるが、部活と平行して頑張っている人もいる。部活の時間を犠牲にしないために独学で公務員試験の勉強をして就職した先輩もいた。
    さらに先輩や直接の関わりのない部OBからサポートをしていただけるのも体育会の魅力だろう。マスコミ、商社に勤めておられる古い先輩もいらっしゃる。


     
    ■アメフトは痛い? ヘルメットや防具は重い?


    アメフト写真1.JPG
    大学1年の5月、はじめてヘルメットをかぶった時
     
    アメフトに“痛そう”という印象を抱いている人が多いと想像するが、想像よりも痛くない。頑丈な防具が身を守ってくれるからだ。アメリカンフットボーラーからするとラグビー選手が生身でトップスピードの選手に対してタックルしているのを見て、怪我しないのかとひやひやする。アメフトはヘルメットで頭を守り、ショルダーパッドで肩から胸にかけてと背中を守り、下半身にはヒップパッドとサイパッド、ニーパッドの着用義務がある。
     
    試合は人工芝のグラウンドでできるので血が出るけがは多くないが、もし出血した場合は止血しなければフィールドに入ることができない。試合にはトレーナーやチームドクターが帯同しており、安全面には細心の注意が払われている。
    練習は砂のグラウンドなので擦り傷や切り傷ができやすいが、出血したらすぐにトレーナーが処置してくれる。
     
    アメフトのヘルメットは野球やバイクのヘルメットと違い、重量感がある。 顔への打撃を防ぐフェイスガードが付いているためで、合わせて1.5キロほどだ。
    重量に耐えるために首トレは欠かせない。また首トレにはタックルの衝撃に耐えるという超重要な意味もある。初めて首トレをした次の日は筋肉痛で朝起きるのがしんどい。首が回らないので、自転車に乗っている時に後方確認しようとしても後ろが向けないので、腰からひねらないといけない。筋肉痛が痛いのは辛いが、トレーニングの成果が出ていると実感できる嬉しい瞬間でもある。
    聞いた話だと関東の強豪校である東大アメフト部は首の周囲が40cmを超えないと試合に出場できないそうだ。


     
    ■アメフトとラグビーの違い 



    ラグビーとアメフトのボール。どっちがアメフトのボールでしょうか?
     
    フットボーラーにとって、ラグビーとアメフトを間違えられるのはアメフトの知名度の低さに歯痒い思いをする悔しい瞬間ではあるが、昨年ラグビー日本代表・ブレイブブロッサムスがラグビー旋風を巻き起こしたことを考えると、仕方ないのかと思う。
     
    「ラグビーとアメフト何が違うの?」とよく聞かれるが、ボールを持って走る動作やキック、ボディコンタクトが激しいこと以外、共通点を見つけるのは難しい。
    ラグビーは流れの中で攻撃を組み立てる一方で、アメフトでは1プレー1プレー、次にどのような攻撃をするかをレストランのメニュー表よりも多い選択肢の中から様々な要素を総合的に判断して決める。ラグビーのプレーヤーは全員が兵士なのに対して、アメフトでは参謀の力も備えていなくてはいけない。アメフトは身体能力お化けがするスポーツと思われがちだが、かなり知略が求められる。
     
    アメフトとラグビーはボールの形が似ている。
    岡山から尾道に帰るとき、一度アメフトボールを持って帰ったことがあるのだが、ボールを入れたカバンを電車に忘れ、終点の駅まで荷物を取りに行った時のことだ。
    内容物を確認するのに、「ボールが入っていると思うのですが…」と駅員さんに言ったところ、「あー、ラグビーボールが入っているカバンがあったよ!」と躊躇なく言われた。去年ラグビーのラグビーブームもあり、ラグビーが一気にメジャーになったが、楕円のボールを見ると、大きさや模様に関係なく、ラグビーボールだとし認識するのだと感じた。その時はあえて言い返さなかった。
     
    ラグビーとアメフトを混同した人のエピソードを2つ紹介したい。
    まずは小学生。小学校の体育の授業でフラッグフットボールを行う時に、BADGERSの部員がサポート役として参加するボランティアがあるのだが、小学生たちは僕たちに向かってしきりに五郎丸ポーズを見せてくれた。ラグビーと間違えているなと思いつつ、一緒になって五郎丸ポーズで遊んだ。
    2つ目は、つい先日、前期試験の合格発表のとき。合格発表では定番になっているアメフト部による胴上げは例にもれず岡山大学でも行われるが、いざ胴上げしようという時に一人の男子が中腰で前傾し、両手を合わせて、人差し指を立てていた。誰かに浣腸でもしたいのか、度胸のある子だなと思っていたが、すぐに、なるほど、この子は五郎丸ポーズをしていて、自分たちをラグビー部だと思っているのだと気付いた。


     
    ■中国地方なのに関西リーグの岡大
    ここからは具体的に日本学生アメフトの話をしたい。
    日本学生アメフトは北海道、東北、北陸、中部、関東、関西、中四国、九州のリーグにわかれている。西側では九州と中四国の勝者が関西の勝者と戦い、東日本では東北と北海道の勝者が北陸、中部の勝者と戦い、それの勝者が関東の勝者と闘う。東日本と西日本のチャンピオンが学生日本一をかけて相まみえるのが甲子園ボウルだ。
     
    その中で岡山大学のBADGERSが所属しているのが関西学生アメリカンフットボール連盟だ。そのため中四国リーグの広島大学や島根大学とは公式戦では戦わない。


    中四国リーグ.png

    関西リーグの公式戦は大阪や神戸で行われる。 岡山でのホームゲームはシーズンでたった1試合。あとはアウェイだ。
    BADGERSは国立大学のチームで、私立のようにお金もなく新幹線で移動することはできない。渋滞に巻き込まれ試合時間に遅れることは許されないのでバスを借りる選択肢はなく、公共交通機関を使う。岡山から在来線を乗り継ぐこと3時間強、試合会場についた頃にはふくらはぎが張っていることもある。試合は週末に開催されるので乗客も多い。運良く座れれば良いが、岡山から大阪まで立ちっぱなしのこともある。
    逆に関西にある桃山学院大学や天理大学は岡山で試合がある時は前泊するか、新幹線で岡山まで乗り込む。桃太郎がいる地に自ら新幹線を使って堂々と乗り込むとはいい度胸をしている。金にものを言わせるチームには絶対に負けたくない。


    1348054215.jpg
    僕たち岡大アメフト部員を大阪まで運ぶ新快速
     
    関西学生リーグ編成の説明をしよう
    関西学生リーグには1部・2部・3部があって、強豪校が揃う1部は現在、立命館大学、関西学院大学、関西大学、京都大学、神戸大学、龍谷大学、甲南大学、同志社大学の8校だ。
     
    関西の強豪校にもそれぞれ色がある。
    関学は頭脳のチームだ。関大のヘッドコーチの言葉を借りると、関学は小さい体を補って余りある頭脳で勝ってきたチームだそうだ。2部の僕達からすると関学の選手の体が小さいと思ったことなどなかったが、確かに、戦術のチームであることは疑いようがない。2010年から2014年まで5連覇。学生アメフト界では無類の強さを誇る。
     
    立命館は“アニマルリッツ”と言われるように動物的、野性的な猛獣の集団だ。一度1年生の時に試合当番で立命館のサイドラインに立ったことがあるが、背中から感じる迫力は凄まじかった。アメフトをやっていて、あれ以上の飲み込まれるような雰囲気を感じたことはない。2015年には関学を倒して関西学生リーグを制し、東の覇者早稲田とのライスボウルでも僅差で早稲田を倒した。さらに社会人王者と対戦するライスボウルでは、社会人チャンピオンのパナソニック・インパルスを終了間際までリードするなど勝利まで後一歩のところまで迫った。
     
    京大アメフト部ギャングスターズはハードヒットが売りだ。かつては水野弥一監督の猛烈なスパルタ指導で有名だった。現在は、アメリカから元NFLのプレーヤーをコーチとして招聘し、関大の板井ヘッドコーチは京大もおしゃれなフットボールをするようになったとおっしゃっていた。京大でアメフトがしたくて浪人して入学する人もいるが、やはり国立大学で経験者は少ない。技術も体もゼロからスタートする選手を鍛え、関学、立命、関大の3強を崩すかもしれない。
     
    毎年7月に定期戦を行っている甲南大学は、昨シーズン1部に昇格した。圧倒的なラインの力で相手を押し込み、ランプレーを主体にして勝ってきたチームだ。
    春に甲南大学と練習試合をした時、1stメンバーが全員出場していたわけではないが、全く歯がたたない相手ではないと感じた。ただ先制されても焦らず、難なく逆転する底力は持っているので簡単に勝てる相手ではない。
     
    岡大BADGERS は21世紀になってから、1年ごともしくは2年の間隔で2部と3部を行ったり来たりしている。実際に聞いたことはないが、連盟上層部ではBADGERSは3部のライオン、2部のお荷物と揶揄されているらしい。
     
    いまは勝てないかもしれないが、僕はこれらの強豪私立には負けたくない。人工芝のグラウンドで練習でき、グラウンドメイクや整備の手間がない。雨の日も汚れずに練習ができる。擦り傷も切り傷も少ない。専属コーチもいれば、資金があるので前述したように新幹線移動ができる。
    たとえば甲南大学は監督が自費でグラウンド横にそびえるマンションの12階の一室を借り、ベランダから練習風景を撮影して、戦術を研究している。ドローンで撮影したようなアングルで、選手の動きが確認しやすい。私立の強豪チームはそこまでやるのである。
    私大の選手たちは、資金に恵まれていて不自由なくアメフトができる。逆に僕たちは資金が少なく、土のグラウンドで水抜きや整備に時間を取られ、大阪神戸まで移動しなければならず、しかも普通列車で立ちっぱなしの時もある。そんなハンディを乗り越え、恵まれた私立大学に反骨精神むき出しで立ち向かっていきたい。

     ※  ※   ※ 


    アメフトの公式戦は、9月から12月にかけて行われる。
    岡山大学アメフト部では、1月から月末まで体づくりやファンダメンタルの強化に主眼をおいた練習やトレーニングを行い、4月は新歓、5、6、7月は春シーズン、学校のテスト期間に合わせた2週間程度のオフを挟み、8月に合宿を行い、9、10、11月に本番の秋シーズンを戦うようになっている。
    春シーズンはプロ野球のオープン戦のような扱いで、勝敗にこだわるのは勝負として当然だが、それよりも戦術理解を深め、チーム力を向上させることが重要だ。夏合宿でチームをレベルアップさせ、秋シーズンが公式戦となる。
     
    第2部は夏合宿と、BADGERSの魅力ある3人の選手について語りたい。



    (つづく 4月12日(火)に掲載予定)
     
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