猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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高校受験「2か月で大逆転する方法」
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    「高校受験・2か月で大逆転する方法」というタイトル、自分で書いておきながら極めてあざとく、怪しい勉強法本によくあるパターンで、私のスタンスとは逆行したタイトルである。

    良心的な塾の先生から、お叱りを受けても仕方ない。

     

    私は現実主義者で、本来なら、直前の大逆転など難しいと考えている。いままで遊んでおきながら、最後だけ勉強して合格するのは虫が良すぎる、甘い、とすら思っている。

    よく中3の冬休みに「いまからでも間に合う!」とチラシで宣伝している塾があるが、数か月で大逆転できるのはレアケースである。

    ましてや内申点が低く絶望的だと合格はほぼ困難である。本番の試験を競泳にたとえると、内申点が低い受験生は、背中に20圓留瑤里もりを背負って泳ぐくらいのハンディがある。

    公立高校受験は内申点がつきまとう。高校受験より大学受験の方が「奇跡」がおきやすいのは、大学の一般入試は内申点が不要で、本番一発で判断されるからである。

    高校受験は、たった2か月で間に合わないと考えるのが、常識的な判断だ。

     

    まともな責任感が強い塾では、高校受験わずか2か月前に、中3生を受け入れたりはしない。塾側では昔から自分を信じて通ってくれる塾生の結果で頭がいっぱいで、新人の面倒を見ている余裕なんかない。

    いままで遊んできた子がガチガチの進学塾に入れば、学力意識ともに決定的な差があり、正直、塾側としたら足手まといで、新しく入塾した子の側からしても、ついていけなくて居場所がない。

    塾で長年がんばってきた子は、もともと勉強意識が高く潜在能力がある子が多い。才能あるキリギリスがアリのように勉強してきた。そんな厳粛な場へ直前に遊び人が駆け込んできても場違いで勝負にならないのである。

     

    ただ、夏休み以降に成績が伸びて、ギリギリの段階で志望校のレベルを上げる決意をした中3生なら、話は別である。模試の偏差値が2か月で60から65に伸びた、いままでの志望校の合格偏差値は62。ならば偏差値68の地域最難関高校をめざしたくなった。こういう場合なら、勢いを最終2か月で加速させることが可能だ。たった2か月で偏差値を5も上げた昇り調子の受験生なら「いまからでも間に合う!」可能性はあるのである。

     

    また、公立高校は各都道府県で難易度が違う。それぞれに地域事情がある。私の塾がある広島県の公立は、他の都道府県の公立と比べて合格は難しくない。愛知県や福岡県や神奈川県のような偏差値70近い難関公立高校は、広島県にはない。基町や尾道北でも偏差値60はいかない。難関公立でも定員割れの高校があるくらいである。

    だから内申点さえ足を引っ張っていなければ、やり方次第では「いける」可能性があるのだ。内申点が少々悪くても、逆転の余地はある。

     

    さて、これから広島県の、偏差値55くらいの公立高校合格に向け、大逆転するには何をどのように勉強をすればいいのか考察する。高校受験の突貫工事をどうすればいいか?

     

    ■数学は関数に絞る

    試験に出る確率が高い分野を重点的にやり、そうでないものはやらない徹底的な割り切りが、直前には大事だ。

    ただ、理科社会はヤマを張りにくい。各分野まんべんなく出題されるので、「ここが出る!」と直前に断定するのは避けたい。出そうな分野をチョイスして重点的にやるより、すべての分野をくまなく押さえておきたい。ルーレットの一点賭けは怖いのである。

    よく大手塾が「予想問題的中」とあるのは、中学3年間の膨大な量のテキストやテストを配布していれば何かが当たるわけで、ノストラダムスの大予言みたいなものであてにはならない。

     

    しかし、数学は予測が立てやすい。

    広島県の数学は、関数が大きな配点を占める。配点の3分の1は関数だ。関数が出ない年はない。これは全国的傾向でもある。というか、関数抜きでは数学の問題が作れないのである。

    関数はいったんコツを知ったらコンスタントな得点源になる。逆に、図形は難問にぶつかったら解法がひらめかずお手上げだし、証明問題は配点が少ないので労力の割には得点に結びつかない。2か月というタイムリミットを考えれば、一番出題され、慣れたら確実に点が取れる関数に勉強の比重をおくのは必然といえよう。

     

    関数が苦手な受験生はまず、塾のテキストや学校の教科書を復習するべきだ。新しいテキストに手を出してはならない。直前に浮気は禁物だ。

    一度やった教科書やテキストには、どれだけ過去に授業を受けたとき真剣に聞かなかったとしても、記憶の残滓くらいは残っている。教科書やテキストを引っ張り出して復習するのが最優先だ。新しいテキストは一番風呂のように体になじまない。

    あと一次関数・二次関数だけでなく、中1で習った反比例を忘れてはならない。反比例は意外にウイークポイントで、双曲線のグラフに苦手意識を持っている受験生は多い。反比例は死角になりやすいので気を配りたい。

    また、関数の難問には相似が絡む。グラフ内の面積比を求める問題は相似の知識が必要だ。関数と相似を同時並行で基礎を押さえるべきだ。

     

    基礎力がついたと判断したら、過去問に徹底的に当たる。広島県の過去問だけでなく、旺文社の「全国高校入試問題正解・数学」を買い、関数の問題に片端から当たってみる。

    ここで注意してほしいのは、絶対に過去問は新しい方がいい。古くさい市販の問題集は使ってはならない。強い効果があるのは過去3年の新しい過去問に限る。

    野菜と同じで過去問は新鮮なほどおいしく、ウサギの飼育小屋に散らばるキャベツの屑のような古い問題を解いても効果は薄い。関数は絶対出題される分野だが、絶対出題されるからこそ出題者は頭を使い、入試問題は年々進化している。新しい過去問を解けば、既存の問題とは思ってもいない角度から突いてくるのがわかる。古い過去問は結構あちこちで使い回しされていて、惰性で解けてしまうのだ。

    本番の入試問題はパリパリの新作である。どんなアプローチで問われても対応できるよう、新作慣れする目的で新しい過去問を解きまくるのだ。

     

    関数を勉強すると意外な副作用がある。それは、頭の中が整理整頓されることだ。関数とは段取りの学問で、一つ一つ適切な段取りを重ねていけば解ける。これは数学の他の分野、また他教科にも波及する。関数が高校受験で配点が高いのは、高校側が整理整頓された論理的な思考ができる受験生を入学させたいという意思の表れでもある。

     

    とにかく、出ても配点が少ない分野に時間をかける、無駄な勉強は絶対避けたい。

    広島県では二次方程式の文章題は配点が少なく、三平方の定理を使う空間図形は出ない。確実に出題され配点が高く、また得点が安定しやすい関数に時間をかけるのが直前の鉄則である。

     

    ■社会は過去問の解答を暗記

    直前になると社会の一問一答集が売れるそうだが、公立高校狙うのに一問一答暗記するのは、まったくばかげた勉強法である。

    また図書館で、直前にノートを綺麗にまとめる受験生を見かけるが、これは完全に無駄な勉強だ。ノートまとめは平時には効果的だが、戦時にやることではない。ノートまとめなんかしていたら時間との闘いの敗者になる。

     

    広島県の公立高校の社会の解答を見てほしい。

     

    IMG_4237.jpg

     

    記述式の、まとまった文章を書かせる問題がほとんどではないか。用語を問う問題は少ない。用語集暗記が時間の無駄であることは一目瞭然だ。

     

    社会は暗記教科と言われ、直前でも対策が立てられると思われている。他教科に比べ、直前で追い込みやすいのは確かだ。

    「暗記教科」という言葉には、暗記ならできるという、暗記を甘く見る意識が底にある。複雑なことを理解するよりも、暗記の方が楽だという意識が横たわっている。ということなら社会科は、「楽な」暗記に徹する方が、直前の正しい勉強法なのではないか。

     

    私も社会は暗記で点が伸びると考えている。ただし断片的な用語を暗記しても意味はない。記述問題の解答文を丸暗記するのだ。

    各都道府県の記述問題の解答文暗記、これが直前に最も効果がある勉強法だ。

     

    使用するのは旺文社の「全国高校入試問題正解・社会」。最新版だけだと足りないので、過去3年分はほしい。

    まず記述式の問題だけピックアップする。記述式の問題は自分で解かない。量をこなすのが目的なので、自分で頭をひねって書く時間はない。問題読んで解答のイメージを浮かべたら、すぐ正解を見る。47都道府県すべての記述式問題に目を通すのだ。正解を読みながら解答文のインプットを心掛け、頭に入りきれないものは書いて覚える。一言一句丸暗記する緻密さはいらない。雑でいい。

     

    記憶作業を続けるうちに、どの都道府県も出題されるトピックが似通っていることに気づく。同じような問題が全国の公立高校で出題されている。

    さらに社会は、表やグラフを読み取る問題が非常に多い。読み取り問題ではあらかじめ暗記した知識はいらない。表やグラフを見た素直な感想を、簡潔な文章を書けばいい。「〜が増えれば〜が減った」「〜が上がれば〜が下がった」と対比で書けば綺麗な答案が書ける。

     

    記述式の正解暗記は付け焼刃のように見えるが、邪道ではない。

    記述問題は出題者が教科書から選び抜いた、中学生に一番学んでもらいたい最重要事項エッセンスだ。教科書だけ満遍なく読んでも、初心者にはどこがコアなのかわからない。教科書の記述のどこが重要で、どこが重要でないか区別できない。公立高校社会の入試問題は、ゴマのエッセンスを小さな錠剤に詰めた、セサミンのようなものだ。

     

    記述式の問題に接していくうちに、中3生は社会科の本質を知るようになる。高校では用語を丸暗記しかできない受験生はいらない。社会の構成の因果関係をストーリーとして知る、言い換えれば高校の先生と現代の社会を取り巻く問題点について語れる高校生がほしいのだ。記述問題の丸暗記は単なる暗記ではない。社会科という中学校の教科を、生きた社会に昇華させるための、質の高い読書である。

     

    よく「本番に強い」という言葉が使われる。本番に強い受験生は、過去問に多く接し、過去問のコアな部分を感じ取る感性がある受験生である。枝葉末節は大胆に捨て、幹の部分だけおさえる。社会で直前に記述式だけにこだわる勉強は、まさに社会科の心臓をわしづかみにする勉強法である。

    この勉強法は、理科でも通用する。また英語の自由英作文でも、全国都道府県の模範解答を暗記すれば、英文の型を身につけることができる。

     

    ■英語・マンツーマンで英文和訳

    断言する。英語は一人では這い上がれない。英語の力を入試に耐えるまで底上げするには、マンツーマンで鍛えなければならない。集団塾のワンオブゼムで伸びるわけがない。

    説教口調で申し訳ないが、英語が苦手なのは「素直じゃなくて、だらしない」からである。英語は指導者の言葉を信じ、言語体系を脳に埋め込む素直な頭脳を持ち、毎日淡々と勉強時間を取らねば上達しない。英語は頭脳のキレより継続力がモノをいう科目である。

    英語学習は筋トレに似ている。英語を2か月で志望校の合格レベルまで伸ばすのは、絞ればへそから白いラードが出てきそうな太った腹を、腹筋が割れた筋骨隆々とした身体に変えることである。

     

    英語を短期間で上げるには、厳しい指導者と1対1で対峙し、「素直じゃなくて、だらしない」自分を変える覚悟がいる。私はマンツーマンで、英文読解を一文ずつ丁寧に訳させる方法を取ってきた。

    この動詞は過去形か過去分詞形か、この~ingは現在分詞か動名詞か、この不定詞の用法は名詞的か形容詞的か副詞的か、この代名詞itやthemは何を指すか、このthatは関係詞か接続詞か代名詞か、細かいことを一つ一つ尋ね、理解が浅い文法事項はその都度解説する。

    また、知らない単語が出てきたらすぐ意味を教えるのではなく、意味が閃くまで追い詰める。こんな相撲のぶつかり稽古みたいな逃げ場がない勉強を長時間続けてこそ、英語に開眼するのである。

     

    私は英語がピンチか、あるいはより高いレベルまで短期で伸ばす必要性に迫られた時には、男の子は頭を坊主にさせ鍛えている。覚悟を形で示させる。受験まで1日5~6時間ぶっ続けで英文解釈。英文を一文ずつ訳させる地味な作業。頭を丸めて英文を暗唱する姿はまるで修行僧だ。

    時代錯誤かもしれないが、耐えながら勉強し結果が出た時の自己肯定感は半端じゃなく、自信がなかった「僕でいいのかな」という弱気な顔つきが「俺がいなくちゃだめだ」という自信に満ちたものになる。英語力に加え人格力が加わり、打たれ強さも鍛えられる。逆境から這い上がれば、同年代の若者に比べて強く凛々しくなり、厳しく鍛えられた子は各方面で活躍している。

    試験直前の逆境を利用して私は、英語力だけでなく、時代を超越した普遍的な人格力を上げようと企んでいるのである。

     

    直前で追い上げるには、勉強中毒にならなければならない。concentrateどころではなくaddictするレベル、たとえば高校駅伝の強豪校・佐久長聖は全寮制で、漫画も携帯もテレビも禁止で、唯一の娯楽が陸上雑誌だという。陸上雑誌で全国のライバルの記録を見て、闘志を奮い立たせているのだ。記録を伸ばすことだけに集中し、邪念を振り払わないと奇跡は起こらない。

     

    直前の追い上げで忘れてならないのは、自分だけが頑張っているわけではないということだ。良心的な塾では朝から晩まで勉強会をやり、1月2月に合宿をやる塾もある。生半可なことでは追い越せない。勉強は自分との戦いだというが、直前の3か月は他の受験生との競争になる。自分だけではなく、ライバルに勝たねばならない。

    また、志望校合格が99%絶対に大丈夫と太鼓判を押されている受験生ほど焦る。もし落ちたらどうしよう、不安で一心不乱に勉強する。なぜかトップクラスの子は、直前に脅迫観念が取りつきやすいのだ。強者が焦っているのに、弱者がのんびり構えていたらダメなのである。

     

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    最後は精神論のようになってしまったが、直前2か月で大逆転したいのなら、過去問と相談しながら、無駄な勉強はしないこと、本質を突くこと、そして勉強中毒になることである。

    直前だからこそ邪道は通用しない。正攻法あるのみである。

     

     

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