猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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国語とオタクの話
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    国語の試験は言うまでもなく、受験生が自己主張する場ではなく、相手の主張を正しく受けとめる場である。
    国語の試験では、活字でギッシリ書かれた小難しく長い文章が、怒涛の如く受験生に襲いかかる。試験時間も短い。必然的に受験生は文章の奔流に飲み込まれ、受け身にならざるを得ない。

    国語はピッチャー的教科ではなく、キャッチャー的教科である。松坂大輔ではなくドカベンのようなスタンスで問題を解かなければならない。
    天性の才能で剛速球や変化球を投げる必要は全くない。剛速球や変化球を受ける能力さえあればいいのである。

    しかし「受ける」ことが、必ずしも「投げる」より簡単だというわけではない。

    たとえば身の回りに、相手を無視して自分の興味あることばかりを熱中して話す人がいないだろうか。

    私が大手塾にいた頃の同僚に、星の話ばかりする人がいた。彼につかまったら延々と星の話を聞かされるのが苦痛なので、講師の誰もが彼を敬遠していた。
    ちょっとでもわかったふりして相槌を打つと、彼は自分の「話術」に酔い、さらに勢い込んで話し続けた。

    彼の星の話は、初心者にも興味を抱かせるような楽しい話ではなかった。知らない星の固有名詞が頻出し、大学で天文を研究している人か、宇宙オタクの人にしか興味が持てない類の話だった。
    いや、もしかしたら星が好きな人でも、彼の早口で聞き取りづらいしゃべり方には辟易しただろう。
    同僚の前だけならいいが、授業中にも同じ調子で星に関する雑談をして、子供に顰蹙を買っていた。

    そんな友人知人の話なら、理解できなくても生返事で相手をして、タイミングを見計らって逃げればいいが、国語の試験で興味のない話題の文章に接した時に
    「あんたの言うことは俺には興味がない。しかも文章が難しくてわかりにくい。もっと誰にでも理解できるように書け!」
    と途中放棄するわけにはいかない。

    どんなオタクの友人の話にも興味を持てる良い聴き手になるには、ゲーム・ガンダム・エヴァ・盆栽・ポケモン・クラシック・歌舞伎・自作パソコン・宗教・写真・占い・野鳥観察・推理小説・サッカー・ゴルフ・ワイン・昆虫など、サブカルチャー一般に精通した「オタクの総合商社」にならなければならない。でも、そんなことは無理だ。

    これは国語の問題を解く上でも同じで、環境・教育・軍事・政治・経済・芸術・音楽などの様々なジャンルに関して、読み手が全てに同じ興味を示せるわけではない。政治には強く、芸術には弱いといったように、関心の濃淡がある。

    ただし、森羅万象の事柄に一家言持つこと、つまり「教養」があれば、読み取りは大幅に楽になる。
    「投げる」には自分の興味をぶつければいいが、「受ける」にはどんな球が来ても確実に捕球できる教養が必要だ。
    教養の幅が広ければ、キャッチャーミットは大きくなり、捕球がしやすくなる。

    とにかく国語とは興味が持てない難しい話を、わかった振りして聞かなければならぬ、苦痛を伴う受身の作業なのだ。


    真の国語力ってあるの?
    理想の国語教師(大学受験編)
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