猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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ミスチルはユンケルの味
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    Mr.Children,Kazutoshi Sakurai
    ¥ 2,290
    日本のJ−POPの弱点の1つは、「普通の社会人」を対象にした歌詞の曲が、極めて少ないことである。
    20代後半から40代前半ぐらいのサラリーマンが「この人は、俺のために歌ってくれてるんだ!」と共感する曲は実に少ない。

    仕方ないことだけど、J−POPは10代から20代前半をターゲットにした歌詞が多い。

    ♪ 僕が見つけた答えは一つ 
      怖くたって 傷ついたって
      好きな人には好きって伝えるんだ

       〜「千の夜をこえて」Aqua Timez

    ♪ 「ねえ、大好きな君へ」笑わないで聞いてくれ
      「愛してる」だなんてクサいけどね
      だけど この言葉以外 伝える事が出来ない
      ほらね! またバカにして笑ったよね

      〜「愛唄」GReeeeN

    最近の若いミュージシャンの曲は、純粋でひねりのないストレートな歌詞で好感が持てるが、ただ、もし30代後半のオヤジで ♪愛してるって言ったら バカにして笑ったよね という歌詞を聴き感動する人がいたとするなら、私はその人の人格を疑う。

    また、ミュージシャンはドロップアウトした人が多く、どうしても歌詞に反抗のフレーバーが加わる。そんなミュージシャンが書いた曲は、ハングリーだった若い頃に聴くのは都合がいいが、30過ぎたらもっと「現実的」な言葉を求めたくなる。

    長渕剛の ♪くそったれの人生に 小便引っかけてえ とか、浜田省吾の ♪いつか奴らの足元に big money 叩きつけてやる みたいな詞は、堅気のサラリーマンの心象風景とは隔絶している。

    かと言って演歌はもっと困る。たとえば「天城越え」や「北の蛍」のような過激な怨念の世界、♪もしも私が死んだなら 胸の乳房を突き破り 蛍が飛んで恋しい男の胸へ行け〜 みたいな、異常人格者の発情期の如き歌詞は、ちょっと引いてしまう。

    サラリーマンのことを歌った曲は、演歌にも見当たらない。
    なぜだか演歌はホステスを主人公にした曲がやたら多い。小林旭「昔の名前で出ています」みたいな、好きな客に未練を残しながら地方都市を転々とするホステスの気持ちなんか、サラリーマンにはわからない。
    演歌には鳥羽一郎「兄弟船」のような漁師、北島三郎「与作」みたいな木こり、おまけに「花街の母」のような売春婦の歌まであるのに、サラリーマンが空白地帯になっている。

    日本の歌謡史を眺めると、サラリーマンという職を表立ってテーマにした歌手は、植木等以来お目にかかれない。

    ただ、「この曲はサラリーマンへの応援歌です」「私たちは疲れたお父さんの応援団です」なんて暑苦しいコンセプトの曲があったら、それはそれでウザイ。
    応援と称して、心の中に土足でズカズカ入り込んで来るような無神経な曲は、耳元で笛をピーピー鳴らされ、太鼓をガンガン叩かれているみたいに不愉快だ。

    ミスチルの曲は、繊細な歌詞がサラリーマンのリスナーの心に静かにしみ渡る。
    仕事の疲労をクールに癒し、同時に地に足をつけ堅実に働く人々の存在価値をホットに代弁してくれる。

    ♪ 僕のした単純作業が、この世界を回りまわって
      まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく
      そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
      モノクロの僕の毎日に 少ないけど 赤 黄色 緑

       〜「彩り」MR.CHILDREN

    もはや若かりし頃のように大きな夢を語らず、自分を庶民だと既定することは、人生をあきらめたようでどこか淋しいけど、家庭を大事にしてどっしりと会社に根を張りながら、仕事をコツコツこなしていく。そんな人にメッセージを送り、元気を与えてくれるミスチルの存在は貴重である。

    尾崎豊の音楽が吸い始めの煙草の味、矢沢永吉がウィスキーコークなら、ミスチルの曲はリゲインやユンケルの味がする。
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