猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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ビジネス書ばかり読むな!
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    起業したり、大企業に就職して高いポジションに就こうと志している若者に向けて、薦めるべき本は何だろうか。

    起業するからといって、若いうちからビジネス書ばかり読んでいたらダメだ。
    ビジネス書を主体に読んでいる人間の言葉や文章は、どこか言葉が軽い。心に響かない。ひんやりとした冷酷さを奥底に感じてしまう。
    活字がスカスカのビジネス書は、スカスカの人間しか作らない。

    もう一度言う。軽い言葉では軽い人間しか動かせない。重い言葉は重い人間を動かす。

    仕事に迷ったり、ビジネスのモチベーションを高めたい大人が、ビジネス書を濫読するのはわかる。零細塾の塾長の私ですら、ビジネス書の言葉しか目に映らない時もある。

    ただ、若い時からビジネス書に淫した人間は、ビジネス書の「欲」の部分にしか目を向けない。
    欲が勝てば自然に言葉が尖り、周囲から敬遠される。欲張りな人間に、誰が自分の人生を丸投げするか。起業どころの騒ぎではない。

    起業家をめざす若者は多い。だけどビジネス書だけ読んでいる若い人の文章を読むと、「誰がお前なんかに使われるかボケ!」と強い抵抗を感じてしまう。

    ビジネス書もいいが、もっと「あの人に人生を賭けたい、あの人の元で働いて、失敗して死んでも本望だ」と、西郷隆盛のような人望を集められる「情」の部分を鍛える読書が必要だ。

    私の同級生の官僚やビジネスマンに会うと、出世している男ほど「情」の部分が表に出ている。彼らに「欲」がないわけではない。それどころか「欲」は誰よりも強い。
    彼らは強い「欲」を「情」で上手にコーティングして、生の「欲」を露呈させない、紳士的な処世術を心がけている。

    強過ぎる「欲」のエネルギーを、他人への「情」に変換させ、「無私」のオーラを纏う。そうしないとビジネス界では生き残っていけない。彼らの穏やかな態度を見ると、組織内の生存競争の激しさが察せられる。

    ヤクザでも、親分ほど人当たりがいいという。

    そんなわけで、うちの塾の人格者、高2のF君に勧めたのが藤沢周平の「蝉しぐれ」。「情」を育てるには最高の本である。誰でも知っている時代小説の最高峰だが、またいずれ書評を紹介する。
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