猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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村上春樹「エルサレム賞」スピーチ
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    村上春樹が「エルサレム賞」を受賞し、エルサレムでスピーチを行った。ガザ地区を攻撃中のイスラエルで、こんな肝の据わった発言をした村上春樹に賞賛の声が上がっている。

    スピーチは長いものだが、肝になる箇所がこの部分だ。

    Between a high solid wall and a small egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg. Yes, no matter how right the wall may be, how wrong the egg, I will be standing with that egg.

    「高く強固な壁と、壁にぶつかって割れる卵の間において、僕はいかなる場合でも卵の味方になります。はい。たとえ壁がどんなに正しかろうと、卵がどれほど間違っていようと、私は卵の味方です」


    言葉に尽くせないほど感動した。ブルブルと身体が震えた。弱い卵でも、強い壁に向かって、自爆的行動を取らざるを得ない場合がある。そんな修羅場を作らざるを得なかった政治の過ち。切実な比喩で政治の過ちを非難し嘆き、正しかろうが間違っていようが、弱い者に味方するスタンスを終始一貫崩さない小説家。

    続けよう。

    Why? Because each of us is an egg, a unique soul enclosed in a fragile egg. Each of us is confronting a high wall. The high wall is the system which forces us to do the things we would not ordinarily see fit to do as individuals.

    「なぜか。僕たちはみな壊れやすい殻の中に唯一無二の魂を持ち、1人1人が高い壁に立ち向かう卵なのです。その壁とは、人には適していないことに人をむりやり強制させるシステムのことです」


    We are all human beings, individuals, fragile eggs. We have no hope against the wall: it's too high, too dark, too cold. To fight the wall, we must join our souls together for warmth, strength. We must not let the system control us - create who we are. It is we who created the system.

    「僕たちはみな人間であり、個人であり、壊れやすい卵です。誰もが壁に対して希望を持てません:壁は高すぎ、暗すぎ、冷たすぎます。壁と戦うには、暖かみや強さを得るため、心を結びつけていなければならないのです。僕たちは、自分たちが作り出したシステムに、コントロールされるままであってはなりません。システムを作り出したのは、僕達に他ならないのですから」


    私の教育スタンスは、子供を「強い人間」に育てることであった。
    個人が卵ではなく爆弾になり、高く堅牢な壁を破壊し、旧牢なシステムを打破することを願った。はかない卵の殻を、鍛えて鉄に変化させることを願った。

    もう1つの願いは、子供を固い壁の内部に押し込み、壁の中で生きるよう仕向けることだった。とにかくアウトサイダーにせよインサイダーにせよ、「強い人間」になって欲しかった。

    でも内田樹氏が述べているように、人間の存在が本源的に弱いものなら、「強い人間」とは存在しないのだろうか。人間に「強い」という形容詞を冠してはダメなのだろうか。

    明日、高2諸君にこの英文を訳してもらおう。とにかく久々に、臓腑にしみる文章にめぐり会えた。
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