猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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日本統治下朝鮮の「国語」
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    ところで「国語」という言葉が成り立つのは、1つの国家に1つの言語しか使われていない場合に限る。

    たとえばベルギーのようにフラマン語(オランダ語)とワロン語(フランス語)を話す地域に2分されている国では、単一の「国語」という概念はあり得ない。オランダ語を国語にすればフランス語圏の住民は抵抗し、逆もまた然りだ。

    また、カナダの大部分の州は英語圏だが、ケベック州の公用語はフランス語である。ケベック州はフランス文化圏に属し、カナダから独立の動きまで見せている州であり、カナダのように言語が複雑な国で、英語を「国語」と既定してしまえば、国内に大混乱が巻き起こるだろう。

    多民族国家で、しかも言語に複雑な事情を抱えている国では、教科に「国語」という名前を使うことはあり得ない。

    ところで、日本が単一言語の国かという問題に関しては、左派と右派で見解が正反対であろう。
    左派は北海道のアイヌ人や沖縄の住民の存在を反例に挙げ、本多勝一あたりが「アイヌ人も琉球人もいるのに、日本語だけを「国語」と呼ぶのはけしからん!」と主張してもおかしくはない。確かにアイヌ語は日本語とは全く別種の言語だ。「おしゃまんべ」「わっかない」「くっちゃん」なんて語感の地名は内地にはない。
    逆に右派はアイヌ語の存在をスルーし、琉球言葉は日本語の方言だと片付けてしまうだろう。

    しかし私個人は、「国語」という言葉の響きに対して、日本中心の天動説的な、世界が日本を中心に回っているような印象を持つ。

    さて歴史上、「国語」教育が最も熱心に行われた時代と地域をご存知だろうか?
    それは日本の植民地時代の朝鮮である。

    1910年の韓国併合まで、韓国で日本語は「日語」の名で教えられてきたが、1910年に「国語」と名を変える。植民地時代の朝鮮半島で、Japaneseは「日本語」でなく「国語」の名で、朝鮮の子供に教えられてきた。日本統治下の朝鮮で「国語」は外国語だったのである。
    「日本語」「朝鮮語」という並立の関係ではなく、日本語は「国語」という絶対的な名称で、朝鮮語の上に位置した。

    朝鮮の小中学校の「国語」の時間数は全時間数の4割に達した。朝鮮総督府の教育行政を担当する部署は、朝鮮人に日本語を浸透させ、皇民化政策の推進に全力を注いだ。朝鮮人にとって国語であるはずの朝鮮語は、のちに必修科目から選択科目に変更させられた。

    私が「国語」を神棚に飾るようなイメージを持つ言葉だと直感したのは正しかった。朝鮮での「国語」教育は、邪神を祭る異教徒の言葉を、強制的に履修させることに他ならなかったのである。
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