2003.11.12 Wednesday
日本の食料品はこんなに高い
高校入試の社会は、難関高校でも公立高校でも、地理の統計問題がふんだんに出題される。
地理の問題は統計だらけである。
というか、知識が無くても統計さえ読めれば解ける問題が多い。
さて、おすすめ統計集を紹介する。
「データブック・オブ・ザ・ワールド」二宮書店
「地理統計要覧」二宮書店
「世界と日本の地理統計」古今書院
「日本国勢図会」国勢社
この中で一番充実しているのは「データブック・オブ・ザ・ワールド」だろう。
(「日本国勢図会」は定番だが、少々高い)
最初の3分の1は統計集。後半の3分の2は世界各国要覧になっていて、世界各国要覧では各国別に歴史・宗教・気候・経済・現況などが簡潔な文章で紹介されている。
分厚い本、しかも充実した内容で値段は600円弱しかかからない。
さて、「おもな国の食料品の小売価格」という興味深い統計があったので紹介しよう。
この統計は、主要国における食料品の価格を調査して比較している。
たとえば、牛乳やバターなどの値段が、どの国が高く、またどの国が安いか、たちどころにわかる。
この統計を見ると、日本の食料品価格がべらぼうに高いことが一目瞭然である。
賃金も高いが物価も高い日本の異常性が、数字の力によって浮き彫りになってくる。
ではためしに、日本・中国・アメリカ合衆国・イタリア・ケニア・オーストラリアの6国にしぼって比較してみよう。
(ケニアというのは、アフリカの国で、ゾウやシマウマやキリンやライオンやトラが生息している、サファリランドみたいな国だ。ただし首都のナイロビは人口の多い洗練された近代都市だが)
●米
まず他国に比べて高い高いと再三批難されている、米の価格を比較してみよう。
(1kgの値段。単位はドル)
1位 日本 3.50ドル
2位 イタリア 2.28ドル(イタリア人は米をリゾットにして食べる)
3位 アメリカ合衆国 1.81ドル
4位 オーストラリア 1.08ドル
5位 ケニア 0.69ドル
6位 中国 0.35ドル
う〜ん、日本の米はうわさ通り高い。すごく高い。
1ドル=110円で換算すると、米屋さんが運んでくる10kgの袋で日本は約3800円。
中国は何と約380円。信じられない安さ。日本の米は中国の10倍もする。
日本人が中国へ行ったら米の安さに驚く。しかし逆に中国人が日本にやって来たら、米の暴力的な値段に目をむくだろう。
中国は交通費も安い。バスで東京から名古屋ぐらいの距離乗っても200円ぐらい。日本では地下鉄で難波から新大阪まで乗っただけで200円ぐらいはする。(大阪市営地下鉄は高い)
中国人は日本の物価高にどんなに驚くやら。
●牛肉
次に牛肉。こちらも味の面ではともかく、和牛は値段が高いと評判が悪い。
(1kgの値段。単位はドル)
1位 日本 33.8ドル
2位 オーストラリア 9.18ドル
3位 アメリカ合衆国 8.41ドル
4位 ケニア 1.72ドル
5位 中国 1.51ドル
(イタリアは統計なし)
中国は日本の20分の1の安さ。アメリカやオーストラリアでも日本の4分の1である。
日本では米も牛肉も異常に高いことがわかる。
余談だが、アメリカでも中国でもヨーロッパでも、肉は大きなブロックで売っている。
牛肉でも豚肉でも両手で抱えられそうな量で売られ、鳥は一羽分丸ごと売っている。
牛でも豚でも頭がごろりと市場に鎮座している。
鶏は、とさかをはいだ頭の骨も、もみじのように開いた足もついている。グロい。
獣肉が動物を殺した結果存在する物体だということが、直感的にわかるような売り方である。
下はイタリアのフィレンツェの中央市場の写真だ。
日本のように、ままごとのような、ちまちましたキレイな売り方はしない。
日本人は獣肉に関して、肉が食卓に上るまでの、生き物を屠殺して解体する過程について無関心だ。
あえてその類の残酷な想像を遮断する。生き物を殺す残虐性に目を向けない。
残虐性を知らないから、日本にはベジタリアンが少ないのかも知れぬ。
中国やインドや欧米のように、
「あなた達は殺した獣を食べているんですよ」と常に語りかけられているような売り方をされたら、かわいそうだから肉は食わないんだという人が増えてもおかしくないだろう。
そして日本にベジタリアンが存在するとすれば、それはダイエットが目的である。
動物がかわいそうだから、という理由ではない。
●キャベツ
(1kgの値段。単位はドル)
1位 日本 1.72ドル
2位 オーストラリア 1.47ドル
3位 イタリア 0.80ドル
4位 ケニア 0.34ドル
5位 中国 0.08ドル
(アメリカ合衆国は統計なし)
日本はキャベツまで高い。キャベツ1kgといったらだいたい1個分だろうか。
キャベツは価格の変動が激しい野菜である。
キャベツが高いとき、広島風お好み焼き屋と豚カツ屋はひどく困る。
私の行きつけの豚カツ屋は、ふだんなら「キャベツのおかわりいかがですか」とガラスのボウルにキャベツを山盛り載せてウェイトレスのお姉さんがテーブルを回るのだが、5年前キャベツの値段が高騰した時は、そういうサービスは消し飛ばされた。
日本は1個あたり約190円、中国は約9円! 中国のキャベツはぶっ飛び安値である。
●鶏卵(たまご)
(1ダースの値段。単位はドル)
1位 イタリア 2.18ドル
2位 オーストラリア 2.06ドル
3位 日本 1.98ドル
4位 アメリカ合衆国 1.02ドル
5位 ケニア 0.93ドル
6位 中国 0.45ドル
日本は卵では頑張っている。さすが「物価の優等生」と呼ばれるだけのことはある。
日本では、卵はニワトリを工場に押し込めて流れ作業で産ませる。病気が流行らないよう薬でニワトリを管理する。(と細木数子は述べていた)
昔の卵に比べて味は落ちたが(落ちたそうだが)、価格の安さと安定性はすばらしい。
地理の問題は統計だらけである。
というか、知識が無くても統計さえ読めれば解ける問題が多い。
さて、おすすめ統計集を紹介する。
「データブック・オブ・ザ・ワールド」二宮書店
「地理統計要覧」二宮書店
「世界と日本の地理統計」古今書院
「日本国勢図会」国勢社
この中で一番充実しているのは「データブック・オブ・ザ・ワールド」だろう。
(「日本国勢図会」は定番だが、少々高い)
最初の3分の1は統計集。後半の3分の2は世界各国要覧になっていて、世界各国要覧では各国別に歴史・宗教・気候・経済・現況などが簡潔な文章で紹介されている。
分厚い本、しかも充実した内容で値段は600円弱しかかからない。
さて、「おもな国の食料品の小売価格」という興味深い統計があったので紹介しよう。
この統計は、主要国における食料品の価格を調査して比較している。
たとえば、牛乳やバターなどの値段が、どの国が高く、またどの国が安いか、たちどころにわかる。
この統計を見ると、日本の食料品価格がべらぼうに高いことが一目瞭然である。
賃金も高いが物価も高い日本の異常性が、数字の力によって浮き彫りになってくる。
ではためしに、日本・中国・アメリカ合衆国・イタリア・ケニア・オーストラリアの6国にしぼって比較してみよう。
(ケニアというのは、アフリカの国で、ゾウやシマウマやキリンやライオンやトラが生息している、サファリランドみたいな国だ。ただし首都のナイロビは人口の多い洗練された近代都市だが)
●米
まず他国に比べて高い高いと再三批難されている、米の価格を比較してみよう。
(1kgの値段。単位はドル)
1位 日本 3.50ドル
2位 イタリア 2.28ドル(イタリア人は米をリゾットにして食べる)
3位 アメリカ合衆国 1.81ドル
4位 オーストラリア 1.08ドル
5位 ケニア 0.69ドル
6位 中国 0.35ドル
う〜ん、日本の米はうわさ通り高い。すごく高い。
1ドル=110円で換算すると、米屋さんが運んでくる10kgの袋で日本は約3800円。
中国は何と約380円。信じられない安さ。日本の米は中国の10倍もする。
日本人が中国へ行ったら米の安さに驚く。しかし逆に中国人が日本にやって来たら、米の暴力的な値段に目をむくだろう。
中国は交通費も安い。バスで東京から名古屋ぐらいの距離乗っても200円ぐらい。日本では地下鉄で難波から新大阪まで乗っただけで200円ぐらいはする。(大阪市営地下鉄は高い)
中国人は日本の物価高にどんなに驚くやら。
●牛肉
次に牛肉。こちらも味の面ではともかく、和牛は値段が高いと評判が悪い。
(1kgの値段。単位はドル)
1位 日本 33.8ドル
2位 オーストラリア 9.18ドル
3位 アメリカ合衆国 8.41ドル
4位 ケニア 1.72ドル
5位 中国 1.51ドル
(イタリアは統計なし)
中国は日本の20分の1の安さ。アメリカやオーストラリアでも日本の4分の1である。
日本では米も牛肉も異常に高いことがわかる。
余談だが、アメリカでも中国でもヨーロッパでも、肉は大きなブロックで売っている。
牛肉でも豚肉でも両手で抱えられそうな量で売られ、鳥は一羽分丸ごと売っている。
牛でも豚でも頭がごろりと市場に鎮座している。
鶏は、とさかをはいだ頭の骨も、もみじのように開いた足もついている。グロい。
獣肉が動物を殺した結果存在する物体だということが、直感的にわかるような売り方である。
下はイタリアのフィレンツェの中央市場の写真だ。
日本のように、ままごとのような、ちまちましたキレイな売り方はしない。
日本人は獣肉に関して、肉が食卓に上るまでの、生き物を屠殺して解体する過程について無関心だ。
あえてその類の残酷な想像を遮断する。生き物を殺す残虐性に目を向けない。
残虐性を知らないから、日本にはベジタリアンが少ないのかも知れぬ。
中国やインドや欧米のように、
「あなた達は殺した獣を食べているんですよ」と常に語りかけられているような売り方をされたら、かわいそうだから肉は食わないんだという人が増えてもおかしくないだろう。
そして日本にベジタリアンが存在するとすれば、それはダイエットが目的である。
動物がかわいそうだから、という理由ではない。
●キャベツ
(1kgの値段。単位はドル)
1位 日本 1.72ドル
2位 オーストラリア 1.47ドル
3位 イタリア 0.80ドル
4位 ケニア 0.34ドル
5位 中国 0.08ドル
(アメリカ合衆国は統計なし)
日本はキャベツまで高い。キャベツ1kgといったらだいたい1個分だろうか。
キャベツは価格の変動が激しい野菜である。
キャベツが高いとき、広島風お好み焼き屋と豚カツ屋はひどく困る。
私の行きつけの豚カツ屋は、ふだんなら「キャベツのおかわりいかがですか」とガラスのボウルにキャベツを山盛り載せてウェイトレスのお姉さんがテーブルを回るのだが、5年前キャベツの値段が高騰した時は、そういうサービスは消し飛ばされた。
日本は1個あたり約190円、中国は約9円! 中国のキャベツはぶっ飛び安値である。
●鶏卵(たまご)
(1ダースの値段。単位はドル)
1位 イタリア 2.18ドル
2位 オーストラリア 2.06ドル
3位 日本 1.98ドル
4位 アメリカ合衆国 1.02ドル
5位 ケニア 0.93ドル
6位 中国 0.45ドル
日本は卵では頑張っている。さすが「物価の優等生」と呼ばれるだけのことはある。
日本では、卵はニワトリを工場に押し込めて流れ作業で産ませる。病気が流行らないよう薬でニワトリを管理する。(と細木数子は述べていた)
昔の卵に比べて味は落ちたが(落ちたそうだが)、価格の安さと安定性はすばらしい。