猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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「びっくりドンキー」のハンバーグの味にびっくり
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    私が一番好きなファミレスは「びっくりドンキー」である。ここのハンバーグが大好物だ。

    「びっくりドンキー」のハンバーグは脂濃くて、B級でチープな味で、食べたあとハンバーグの脂が血に混ざって、脂肪でできた汗が出そうなハンバーグなのだが、中毒症状を催す味である。

    ハンバーグはふわっとしていて、味付けがドミグラスソースやケチャップではなく、オリジナリティーあふれる和風テイストで、しかも定番的な安定感がある。味付けは塩だけなのか、少し醤油やウスターソースの味がしないでもないが、そのへんはよくわからない。

    広島の本通りのBEAMSの地下にある「びっくりドンキー」によく通う。ピロ君たちと広島に行く時は、必ずと言っていいほど「びっくりドンキー」に立ち寄る。
    「びっくりドンキー」はどの支店も若者達でにぎわっていて、ランチタイムや夕食時には行列ができている。特に大阪・心斎橋の「かに道楽」の隣の支店は、あまりに地の利が良いためか、大行列ができている。

    「びっくりドンキー」では、1つの大きい皿にハンバーグ・ライス・サラダが一緒に盛り付けてあるディッシュを注文することが多い。必ず目玉焼きかチーズをトッピングする。

    ディッシュを頼むと箸しか出て来ないが、箸ではライスがうまく食べられない。というのも1つの皿にハンバーグとライスが盛り付けてあるから、ハンバーグから流れ出た脂が、ライスにしみるのだ。だからハンバーグの店員さんにわがまま言ってスプーンを頼む。スプーンで「ハンバーグの脂まぶしライス」を最後の一粒まで食う。減量中の人には絶対アウトだが、これがやめられない。

    「びっくりドンキー」のハンバーグにマッチする飲み物は、コーラ以外にありえない。ハンバーグの脂をコーラの炭酸で洗い流す。昔「びっくりドンキー」には「びっくりコーラ」という、ものすごい量のコーラがあったのだが、いつの間にかなくなってしまった。どうしてだろうか。

    「びっくりドンキー」のハンバーグは万人にはお薦めできないが、個人的には本当にロバがびっくりするくらいうまいと思う。少なくとも猫ギター先生は「びっくりドンキー」の味にびっくりしているよ。
    | 旅行食べ物 | 23:44 | - | - | ↑PAGE TOP
    大学受験は「頭の良さ」が試される
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      うちの塾では、2年前から大学受験の指導を始めたが、大学受験を経験したことで、中学受験や高校受験を、別の視点から眺めることができるようになった。

      中学受験と大学受験は、実はよく似ている気がする。中学受験も大学受験も、受験生が持っている「天性の才能」が試されている。頭脳が冴えた「頭が良い」子でなければ勝てない。

      いや「頭が良い」子でないと勝てないという言葉は語弊があるが、やはり子供の才能には、時速300kmを出す新幹線と、時速20kmの自転車ぐらいの差がある。この差を埋め合わせるのは容易ではない。

      大学受験は高校受験に参加しなかった、6年一貫難関高校の生徒が参戦する。しかも18歳という大人の世界にさしかかる時期、大学受験生は高校受験生に比べてモチベーションが圧倒的に高い。「やる気」のない大学受験生などほとんどいない。誰もがモチベーション面で一定以上の高さを示すため、モチベーションの高低で勝負がつく割合は、高校受験より低い。

      逆に高校受験は「やる気」にさえなれば、圧倒的な勝利に結びつく。モチベーションが高ければ、成績面で独走態勢になる可能性が高い。カメの集団から抜け駆けするウサギになれる。

      ただ、中学生の「やる気」を引き出すのは非常に骨が折れる。モチベーションさえ上がれば、成績なんかロケットみたいに上がるのにと苛立ちを感じる、カメの集団で甘んじている子が多い。
      だからこそ、高校受験で評判が高い塾の先生は「やる気」を喚起するのがうまいし、またその反面、厳しい指導で「強制力」をうまく使い、受験生を強くコントロールする。

      しかし大学受験は、受験生の頭脳を冴え渡らさなければならない。瞬発的な発想力が必要不可欠である。難関大学の入試問題は、「天性の才能」を持つ「頭の良い」生徒が欲しいというサインを強烈に発している。

      大学受験は、強烈な力量を持った才能との戦いだ。たとえば国語や論文で、ハム太郎さんと勝負できる人はいるだろうか? ハム太郎さんの文章は、取ってつけたような不自然な構築性ではなく、自然で軽やかな論理力にあふれている。

      とにかく高校受験はマインド、大学受験はブレインが合格を左右すると、今は痛切に感じる。大学受験で勝つには、メチャクチャ能力のある講師が受験生の「頭を良く」するか、受験生に一流の人間しか放てない「狂気」があるか、とにかく生ぬるいことをやっていては勝てない。


       
      | 大学受験 | 23:55 | - | - | ↑PAGE TOP
      大学受験用参考書の充実ぶり
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        大学受験用参考書・問題集の充実ぶりには唖然とする。
        私が受験生だったのは20年ほど前だが、昔と違って素晴らしい学参に囲まれた今の受験生がとてもうらやましい。

        私の時代も、参考書や問題集はそれなりに充実していると思っていた。昔の参考書は、黒い活字の部分がでこぼこと浮き出して、紙をさわるとザラザラするような粗悪な感じがアカデミックな雰囲気を醸し出していて、それはそれで格調高かった。

        しかし今の参考書は、圧倒的にすごい。

        基本的な読解力さえしっかりしていれば、もう予備校は必要ないんじゃなかろうかと思うほど、本屋に置いてある学参は受験の秘技が満載である。
        読んで理解してしまえば、予備校や塾に高い金を払わずとも、どんな大学だって入れるだろうとにと思う。

        小中学生の時代にしっかり読解力を鍛えておいて、高校になって参考書と問題集だけ買って与える。塾や予備校には通わせない。もしかしたらこんな方法が一番安上がりの大学受験勉強の方法かもしれない。

        もちろん本を通じた「目の学問」よりも、講義を聴く「耳の学問」の方が頭に入りやすいのは事実だが、参考書だけで大学に合格できるんだと錯覚させるほど、今の大学受験の学参は素晴らしい。

        特に、予備校が出版している学参には、思わず神品と呼んでしまいたいものもある。

        私が浪人生の時、伊藤和夫の「英文解釈教室」を見つけたときは、そのしつこいくらい論理的な英文の分析方法に感心し、「この本のおかげで英語はどうにかなる」という確信をもつことができて狂喜したものだが、いまの大学受験の参考書売り場は「英文解釈教室」に負けず劣らない超横綱級の学参がゴロゴロしている。

        おそらく学参が大きな転換期を迎えたのは、「実況中継」シリーズの登場からではなかったかと思う。「実況中継」シリーズの山口の英文法、青木の世界史などは実に読み応えがある。
        「実況中継」シリーズ以後、話し言葉による、語りかけ口調の参考書が主流になった。わかりやすさが格段に進歩した。
        良い参考書は著者の芸人根性と、独創性のある論理の切れ味に満ちあふれているのだ。

        また参考書の中に散りばめられている、予備校のスター講師達が書く「まえがき」「あとがき」や「コラム」は実におもしろい。私は本屋でそのコラムだけを立ち読みすることもしばしばある。予備校講師は、経歴など、紆余曲折を経てきた人がたくさんいて、思わず自分にだぶらせることもある。



        ★開成塾・大学受験
        尾道市向島・定員7名・少数精鋭



        | 大学受験 | 20:32 | - | - | ↑PAGE TOP
        裕次郎と慎太郎
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          僕の父と母は夫婦喧嘩が絶えなかった。つまらないことで喧嘩し、子供の僕はいつ喧嘩が起こるか恐怖に震え、胸がふさがれる思いだった。

          喧嘩のネタはそこら中に転がっている。たとえば僕の成績が下がった時。父は成績表を見ても、その場では怒らない。黙って飲みに行く。

          で、夜中の3時ごろ帰って来る。父は酒乱だった。外から大声が聞こえてくる。
          玄関を開け、廊下を走る物騒な音が聞こえた。

          父は大声で怒鳴る。「お前がしっかりしないから、成績が下がった。伊勢乞食、出て行け!」
          父は絶対に僕を怒らない。どうしてなのか、今でも理由がよくわからない。代わりに母とバトルが続く。

          さて、そのあとは修羅場。母が逆ギレして父を追いかける。父は怖くなって窓ガラスを突き破って外に逃げる。ガラスの割れる強烈な轟音。外の公衆電話から父が「殺される」と警察を呼ぶ。お巡りさんが2人来る。半狂乱の父が「この女を逮捕しろ」とお巡りさんにすがる。母は泣きながら、「この人を警察に連れていってくれないと私たちが殺されます」しかしお巡りさんは「民事不介入ですから」と言いながら迷う。酒乱の父をもてあまし、「絶対警察に父を連れて行ってください」と懇願する僕と母。結局お巡りさんは父を「一晩警察に寝かせます」と連れて行ってくれる。

          父が死に母が一人になり、夫婦喧嘩がなくなって、僕は心の底から安堵している。

          父と母は芸能人の好みも違い、お互い好きな芸能人をけなしあっていた。家にTVは1台しかなく、父と母は芸能人をネタによく喧嘩していた

          好きな歌手は
          父は北島三郎  母は鳥羽一郎
          父は小林旭   母は渡哲也
          父は香田晋   母は新沼謙治
          父は渥美二郎  母は森進一

          「小林旭なんて、太ってみっともないじゃない」
          「渡哲也なんか、チンピラだろう。だからお前はバカなんだ」

          「北島三郎、顔が不潔っぽい」
          「鳥羽一郎だってヤクザみたいじゃないか。趣味が悪い」

          そんなどうしようもなく下らない会話を、いい歳をした親同士が笑顔もなく真面目にTVの前で繰り広げているのを見て、僕は情けないという感情より先に、「ああ、喧嘩がひどくならなければいいな」という恐怖感が先にたって、何とか話題が変わるように気を遣った。父と母が揃って歌番組を見ていると、僕は緊張感で胸が痛くなった。

          しかし、そんな父と母でも珍しく仲良くなる瞬間があった。それは石原裕次郎がドラマや歌番組に登場する時だ。
          父も母も、青春時代から裕ちゃんの大ファンだったそうだ。石原裕次郎がTVに出る時だけ、2人は楽しげに青春時代の思い出を語り合った。

          「裕ちゃんまた太ったわね、健康大丈夫かしら」
          「裕ちゃんは飲むからな。相変わらず派手で太いネクタイしてるね」

          いつもは仲の悪い父母が、裕次郎の前では仲良し夫婦だった。だから僕にとって裕ちゃんは、家庭に平和をもたらす、神様のような有り難いお方だった。
          裕次郎の兄貴の慎太郎も、夫婦揃って贔屓にしていた。

          さて、むかし母は、こんな夢をみたといって自慢していた。

          「すごい夢見たのよ。パーティーに行ったらね、裕次郎と慎太郎の兄弟が、両側から私の腕を組んで、エスコートしてくれている夢。右に裕ちゃん、左に慎太郎。いいでしょ?」


          | 映画テレビ | 17:47 | - | - | ↑PAGE TOP
          私立文系社会の猛ノック
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            私立文系大学社会の話。

            私は高校時代、社会は世界史と地理を取っていた。でも浪人時代、早稲田を受けることを決意した時、世界史は範囲が膨大すぎ、地理は範囲が曖昧すぎて、世界史と地理を宅浪で自学自習することは難しいと判断し、日本史を試験科目に選んだ。日本史は世界史・地理・政治経済に比べて、範囲がカッチリしているような気がする。

            それに私は大学が政治経済学部なので、政経もできると勝手に自己判断して、倫理を除いて社会の全科目を若い時に学んだことになる。だからいちおう、世界史・日本史・地理・政治経済と、社会はひと通り精通しているつもりだ。

            私立文系の社会は、教科書や用語集のスミからスミまでしゃぶり尽くす「完璧主義」にならなければならない。しかも早慶など難関私立は自分では「完璧主義」のつもりでも、8割以上はなかなか取れない。

            私は私立文系大学を受験する、ある程度基礎事項の暗記がすんだ高校生には、「重箱の隅」問題のノックを浴びせる。時間的には深夜、高校生の帰り際にやることが多い。

            日本史や世界史の山川の教科書を眺めていると、脚注や図表や史料には、「これは出そうだ」とクサイ箇所がある。そんな箇所を口頭で、一問一答クイズ形式でテストをする。
            入試問題を作成する大学の教官が、教科書のどんな箇所に興味を抱くか、視点を共有することをめざし、頭をひねりながら問題を出していく。

            さらに攻守ところを変えて、高校生に教科書を渡し、私に向けて問題を出させる。高校生に問題を出してもらうことで、どうやったら私を封印できるか頭を働かせてもらう。

            よい問題を出したら、「それ、出てきそうだね」とほめ、逆にあまりにもマニアックな箇所を出してきて、私が答えられないと、「そんなの出ないよ。悪問。」と負け惜しみ半分でクレームをつける。
            ところが、そんな絶対に出題されそうもないマニアックな問題が、慶応大学で涼しい顔で出題されることもあるのが怖い。

            ところで、中日の落合監督は、バットコントロールに長けた天才打者だった。彼はまるでテニスラケットのようにバットを扱い、好きな方向に打球を飛ばした。
            だから現役引退後も、落合は卓越したバットコントロールを生かしてノックの名手になり、荒木・井端コンビは落合のノックのおかげで球界一の二遊間と呼ばれるようになった。

            私立文系社会では、落合のようなノックの名人を私はめざしているし、また逆に高校生が私を相手に問題を出すことで、教科書や用語集を叩き台にし、どんな問題が出るのか想像する力を鍛え、自分自身に厳しいノックを浴びせる快感を覚えてもらうことを願う。

            社会が好きな人にとって、私立文系の問題は楽しいクイズになるのだ。
            | 大学受験 | 19:47 | - | - | ↑PAGE TOP
            「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」の展開はどうなる?
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              「踊る大捜査線」の映画3作目は、今年撮影、来年公開の予定らしいが、順調に企画は進んでいるのだろうか。「踊る大捜査線」フリークの私は新作を楽しみに待ち望んでいる。

              柳葉敏郎演じる警察官僚・室井警視正は、現場に肩入れし過ぎて上司からにらまれたり、容疑者にされたりで、出世コースから大きく外れている。室井は警視庁から広島県警に左遷されたが、いまはどんなポジションについているのだろうか。

              室井は官僚として、内部から警察の意識構造を変え、キャリアと現場の風通しを良くしようと努力しているが、旧弊な官僚機構は微動だにしない。室井は官僚にしては血が熱く、人間のスケール大きすぎるのだ。

              官僚に飽き足らない人材は、新天地を求めて政治家に転身する。室井も警察を辞めて、政治家になったらどうだろうか。室井が政治家になったら、面白いストーリー展開になるのに。

              第3作では政治家・室井慎次が国家的大事件の解決に乗り出す。敵は北朝鮮がモデルの独裁国家という設定にしたら面白い。
              室井は時の首相から大抜擢され、国家公安委員長として警察のトップになり、いままで室井を抑圧してきた警察の上司達は、立場を変えて室井に従う。

              部下だった警察官僚の上層部の者達は、室井に命令される立場になり面白いはずがない。あの手この手で室井を妨害する。しかしキャリアである筧利夫の新城や、真矢みきの沖田が室井をしっかり支える。

              もちろん国家公安委員長・室井の意を受け、最も危険な任務に携わるのは織田裕二の青島だ。室井が「青島、国のために死んでくれるか」と青島に頼めば、青島は「室井さんの命令なら、死んでも本望っすよ」と、命がけの果敢な捜査で室井の期待に応える。青島が日本の原発に向けて発射されたテポドンに抱きついて、ミサイルの方向を変えるという話にすれば、荒唐無稽だとものすごいパッシングを受けるだろう。

              「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」での室井と青島は、まるで「24-TWENTY FOUR-」の黒人大統領パーマーと、ジャック・バウアーみたいな関係になる。
              また「24-TWENTY FOUR-」のシーズン1で、誰もが味方と信じて疑わなかったニーナが裏切り者だったように、「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」で実は深津絵里が敵のスパイだという設定だったら、観客は驚愕するどころの騒ぎではない。

              「踊る大捜査線 THE MOVIE 3」を、期待して待っています。





              ★開成塾
              尾道市向島の塾。湾岸署も熱いが、開成塾も熱い!




              関連項目

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              | 映画テレビ | 22:28 | - | - | ↑PAGE TOP
              生徒の絶妙な授業中の合いの手
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                授業中に生徒に話しかけられたら授業が混乱する。授業が生徒の「しゃべり場」になっちゃうと、赤虎先生のおっしゃるとおり、若い先生なら生徒に振り回され、授業が崩壊してしまう。

                私ももちろん、授業中に生徒の勝手な発言は許さない。しかし勝手なもので、あまり静かな授業も困る。静かすぎると私の話が生徒の頭に入っているのか不安になるし、ものすごい孤独に包まれてしまう。
                歌舞伎では「成駒屋!」と大向こうから掛け声がかかり芝居を盛り上げるが、授業でもタイミング良く、合いの手を入れてほしい欲望に駆られる。

                いいクラスは、私がいかに閻魔大王のように振る舞っても、必ず軽くツッコミを入れる賢い子が1人か2人はいる。うちの中2クラスがそうである。

                コタロウ君なんかは真面目な顔をしているが、授業中、ボソッと一言ナイスなツッコミを入れてくる。彼はニュースに興味があり、社会科に抜群のセンスを持っているので、もし私が中川財務相の話を始めたなら「アル中」とか、金正日の後継者の話をしたら「金正男」とか、私の口が滑らかになるような絶妙な言葉をかけてくるだろう。

                また、スグル君は少し反抗期で、学生服のボタンは上3つも開けてるし、字も汚くていい加減だし、何事もキッチリさせなければすまない女性の先生なら目を吊り上げて怒るだろうが、彼は根が素直で理数系の才能が高く、それに強い反抗期を過ごす男の子は、受験になると物凄いパワーを見せつけることを経験で知っているので、スグル君の反抗期を楽しんでいる。

                余談だが、スグル君たちの中学校は荒れているそうだ。トイレは喫煙室状態だし、中2の生徒が先生の肩甲骨を折り、その先生が警察に被害届を出しひと悶着あったり、なんだか80年代校内暴力のニオイがする。

                おまけに、スグル君の中学校の修学旅行は沖縄なのだが、去年の中2が悪さをしたため、巨大で透明なアクリルパネルに、人間を5人ぐらいは同時に喰いそうなサメが泳いでいる「沖縄美ら海水族館」から出入り禁止を食らったらしい。今年は水族館ではなく美術館に行ったそうだ。

                私は冗談で「去年の中2のワルワル軍団は、人間をサメの水槽にぶち込んで食わしたんか。水槽が血まみれになったろうが」とブラックジョークをかましたが、もちろんそんな残酷な事件はなく、出入り禁止の原因は万引きだったらしい。

                そんな学校の荒れた環境とは裏腹に、スグル君は反抗期のくせして私に修学旅行土産を買ってきてくれ、私に差し出すときボソッと「冷やして食べてください」とつぶやいたりする。

                そういえば1週間前、こんなことがあった。
                コタロウ君やスグル君のいる中2で、湿度の授業をやったときに私は、「ここは難しい箇所です。僕は1日で教えられる自信はありません。ネットでもいろんな先生の間で、どんな教え方がいいか議論になっている、教師泣かせの単元です。僕はいままで「重量挙げ」の比喩で教えてきましたが、全国の凄い先生方は「ミズー」という奇抜なキャラクターを使ったり、回転寿司の例を出したり、僕よりわかりやすい教え方をブログに書いてくれました。とにかく理解してもらうのが難しい単元なので、今日1日で半分わかればいいです。3回やって理解したら、それで十分です」と、たっぷり「ここは難しいぞ」と強調の前置きをしてから教え始めた。

                丁寧にしつこく説明して、演習をやってもらったら、結構難しい計算問題なのに、嬉しいことに全員が正解した。私が感激して「飲み込みが早いね。よくやった」とほめたら、なんとスグル君はひとり、突然拍手を始めたのだ。そして、クラスのほとんどの子が、スグル君につられて拍手し、教室は拍手と笑いの渦になった。

                なんかテレビドラマの1シーンみたいだが、場をしっかり読みきったスグル君の拍手には感激した。
                とにかくコタロウ君もスグル君も、頭の良いナイスなツッコミを授業中に仕掛けてくる。私が授業妨害に対して激烈に怒る反面、場をわきまえたユニークな行動に対しては、過剰なくらい喜ぶことを2人とも良く知っている。かしこい2人に、私は性格を完全に読み取られ、手のひらの上で踊らされているのだ。
                | uniqueな塾生の話 | 23:30 | - | - | ↑PAGE TOP
                尾道北高、倍率高し
                0
                  広島県公立高校の倍率が発表され、県下有数の進学校、尾道北高の倍率は約1.25倍、40名が不合格になる激戦となった。
                  北高は校則が多く、厳しい指導で知られている。国公立大学の進学率は6割以上と極めて高い。近隣の福山や三原の公立高校に比べても圧倒的に高い。福山誠之館高校や三原高校が定員割れする中、北高に受験生が殺到する状況になった。

                  去年の尾道北高は、厳しい指導が中学生に嫌われたせいなのか知らないが定員割れした。おかげでうちの塾には去年、もし定員割れしなかったら北高合格が危ぶまれた子が2人いたのだが、定員割れで救われた。
                  だから去年の北高受験生にとって、定員発表から試験日までの2週間は、まるで無投票当選の選挙みたいに刺激が一気になくなってしまった。

                  尾道北高には、景気が良かった昨年は「厳しい」から受験生が敬遠し、今年は「厳しい」から受験生が集まったのだろう。不景気が公立高校全般の人気を押し上げ、その中も「厳しい」北高に受験生が殺到する。受験者数は、社会情勢をそのまま示す形になった。

                  もはや高校生は遊んではいられない。不況のせいで日本の若者は、サバイバルゲームを戦わざるをえなくなった。惰眠をむさぼる余裕は消え去った。自分を高める「厳しい」環境に身を置かなければ、生きてはゆけなくなったのである。

                  うちの塾にも毎年とは明らかに違う緊迫感が漂う。たとえば、KさんとNさんは北高に推薦合格したのに、自習室の常連となって勉強を続けている。信じられない。こちらはただ脱帽するしかない。

                  ところで、北高の倍率が高いのは想定内だ。株価が暴落した時期から、不景気で公立人気が高まるのは予想できていたし、中3生にもキッチリ告げてあった。
                  私の言うことを素直に聞いていれば、どんな危険な状態になっても微動だにしない学力はつけている。いまさら慌てふためくことはない。

                  不景気は、日本列島に大量の氷水を浴びせた。親の経済的庇護のもとで、安眠を貪っていた若者は、背筋が凍る思いがしただろう。

                  不景気になるとろくなことがない。しかし歴史的に見て、日本の経済的危機は若者を強くしてきた。
                  たしかに戦前の世界恐慌は、経済的混乱を超え政治的混乱まで起こし、戦争を引き起こすきっかけとなった。日本の若者は「強すぎる若者」になって、若死にの道を余儀なくされた。氷水を浴びせすぎて、数多くの若者が凍死してしまった。

                  しかし今回の不景気の「おかげ」で、「ハングリー精神」という日本では死語になった言葉が生き返る兆候が見える。少なくともうちの塾ではそうである。塾内はピリピリに引き締まった若者の熱気であふれ、緊張感が漂う。

                  たかが、島の小さな個人塾の少ないサンプル数で、日本全体を語るのは大袈裟かもしれないが、妥協のない指導をする塾や高校に、目の据わった若者が集まるののは、方向性としては絶対に間違っていない。

                  北高の倍率が高くなり、敵は強くなった。敵が強くなればなるほど、武者震いで快楽を覚える。うちの高校受験生たちは、おそらく不安でいっぱいで、気持ちが押し潰され、心が縮まったような気分だろうが、追い詰められて開き直った時に、途方もない攻撃的な力が体中から湧いてくる感覚を、ぜひとも味わってほしい。
                  | 硬派な教育論 | 23:10 | - | - | ↑PAGE TOP
                  村上春樹「エルサレム賞」スピーチ
                  0
                    村上春樹が「エルサレム賞」を受賞し、エルサレムでスピーチを行った。ガザ地区を攻撃中のイスラエルで、こんな肝の据わった発言をした村上春樹に賞賛の声が上がっている。

                    スピーチは長いものだが、肝になる箇所がこの部分だ。

                    Between a high solid wall and a small egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg. Yes, no matter how right the wall may be, how wrong the egg, I will be standing with that egg.

                    「高く強固な壁と、壁にぶつかって割れる卵の間において、僕はいかなる場合でも卵の味方になります。はい。たとえ壁がどんなに正しかろうと、卵がどれほど間違っていようと、私は卵の味方です」


                    言葉に尽くせないほど感動した。ブルブルと身体が震えた。弱い卵でも、強い壁に向かって、自爆的行動を取らざるを得ない場合がある。そんな修羅場を作らざるを得なかった政治の過ち。切実な比喩で政治の過ちを非難し嘆き、正しかろうが間違っていようが、弱い者に味方するスタンスを終始一貫崩さない小説家。

                    続けよう。

                    Why? Because each of us is an egg, a unique soul enclosed in a fragile egg. Each of us is confronting a high wall. The high wall is the system which forces us to do the things we would not ordinarily see fit to do as individuals.

                    「なぜか。僕たちはみな壊れやすい殻の中に唯一無二の魂を持ち、1人1人が高い壁に立ち向かう卵なのです。その壁とは、人には適していないことに人をむりやり強制させるシステムのことです」


                    We are all human beings, individuals, fragile eggs. We have no hope against the wall: it's too high, too dark, too cold. To fight the wall, we must join our souls together for warmth, strength. We must not let the system control us - create who we are. It is we who created the system.

                    「僕たちはみな人間であり、個人であり、壊れやすい卵です。誰もが壁に対して希望を持てません:壁は高すぎ、暗すぎ、冷たすぎます。壁と戦うには、暖かみや強さを得るため、心を結びつけていなければならないのです。僕たちは、自分たちが作り出したシステムに、コントロールされるままであってはなりません。システムを作り出したのは、僕達に他ならないのですから」


                    私の教育スタンスは、子供を「強い人間」に育てることであった。
                    個人が卵ではなく爆弾になり、高く堅牢な壁を破壊し、旧牢なシステムを打破することを願った。はかない卵の殻を、鍛えて鉄に変化させることを願った。

                    もう1つの願いは、子供を固い壁の内部に押し込み、壁の中で生きるよう仕向けることだった。とにかくアウトサイダーにせよインサイダーにせよ、「強い人間」になって欲しかった。

                    でも内田樹氏が述べているように、人間の存在が本源的に弱いものなら、「強い人間」とは存在しないのだろうか。人間に「強い」という形容詞を冠してはダメなのだろうか。

                    明日、高2諸君にこの英文を訳してもらおう。とにかく久々に、臓腑にしみる文章にめぐり会えた。
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                    K君の似顔絵イラスト
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                      うちの塾の広告では、K君の合格体験記を連載している。4回連載予定のうち3回はすでに折り込みで出し、あとはクライマックスの合格発表の回を待つのみだ。

                      塾長の私のちょっと過激な文章と、K君の素朴で情にあふれた文章で埋めつくされ、チラシは殺気を放っている。おかげ様で一緒に戦う本気の高校生がたくさん来てくれた。

                      世の中は不景気だ。厳しい世情だからこそ厳しい塾が求められている。期待をひしひし感じている。熱くて殺気あるピリピリした環境を、本気の受験生は欲しているのだ。

                      ところで、K君は阪大のテニスサークルの部長に就任したらしい。
                      彼はただの受験秀才ではなく、明るいムードメーカーであり、おまけに心に激情を秘めていて、強いリーダーシップを発揮できる稀有の男だ。どんな環境にいても、自然にリーダーになってしまう。

                      もし彼に野球の才能があって、WBCのメンバーになったら面白い。イチローや松坂に可愛がられ、どんなピンチになってもベンチで高い声でしゃべりまくって、場をポジティブにし、凄いチームに引き上げるだろう。

                      そんなK君の真の姿を伝えるため、広告には彼の文章だけではなく、彼の顔も掲載したいと思った。ただ、うちの広告は白黒のリソグラフなので、写真は載せられない。
                      似顔絵を描いてもいいのだが、私は絵が下手だし、カミエス先生の塾のように専門家に発注するのも、うちのような零細個人塾にとっては大袈裟なような気がする。

                      そこで私はパソコンソフトの似顔絵マシーンを利用することにした。'visual shock'というソフトで、写真を何枚かソフトに入れれば、似顔絵イラストを作ってくれるという触れ込みのソフトだ。

                      もちろん発展段階上のソフトだから、でき上がりに期待したわけではない。でも試しにK君と香港に行った時の写真を、イラストにしてみた。

                      でき上がりがこれ












                      に、似ている・・・

                      K君の顔の特徴をしっかり捉えている。過剰にパワフルなところとか、飛び切り童顔のところとか、赤い頬の膨れ方とか、K君本人よりもK君の顔をしている。似顔絵ソフトが、まさかここまで進化しているとは。

                      ただこの表情は、ちょっとアホっぽい。K君はもう少し知性ある顔をしているので、別のアングルに改造してみた。

                      それが、これ



                      まさに完璧ではあるまいか。


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