猫ギターの教育論

尾道市向島の塾「US塾」塾長のブログ 早稲田大学・開成高校出身 本音が飛び交う、少し「上から目線」の教育論
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高校部の猛烈な「自習室」
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    うちの塾の高校部は「自習室」がメインといっていい。

    特に高3は、授業は日曜夕方の5時から9時なのだが、そんな時間は有名無実で、2学期からは土日は朝の9時から夜の10時まで、平日は深夜0時まで自習室はOPENしていて、ほぼ全員が最初から最後まで勉強している。

    高3が塾にいる時間は、1週間45時間以上、夏休み冬休みになると1週間60時間くらいだろうか。

     

    深夜0時といえばかなり遅いが、受験生たちはまだ勉強したりないといった顔つきである。強制的に帰らせるのは僕の方なのだ。

    韓国で塾は深夜11時までやっていて、だから日本は韓国に勝てないみたいな論調の記事を週刊誌で目にしたが、うちの塾は時間的には韓国に勝ってるじゃないかと、少し誇りに思った。

    夜遅くに送り迎えをし、塾の方針に理解を示してくださる保護者の方には強く感謝している。

     

    しかしやはり、受験生が塾にいてくれると助かる。自習室といいながら授業をやったり、英語の音読、映像授業、個別指導、暗記特訓、過去問解説、論述添削など、試験に合格できるよう、ありとあらゆることが臨機応変にできるからだ。

    「先生、直接話法と間接話法がよくわかりません」「世界史のトルコ史の流れが理解できません」とリクエストしてもらえれば、瞬間的に対処できる。

     

    大学受験をはじめて3年になるが、高3でたった週4時間の授業では、力がつかないことはすぐにわかった。4時間で華麗に授業して、モチベーションを上げ合格させる力は私にはない。だから無秩序にスプロール現象の如く時間が延びていった。

     

    ただ自習室の長時間勉強は、僕が強制したのではなく、K君たち第1期生が夜遅くまで塾に残って帰らず、僕がそれに引きずられていったのが実情だ。いまや深夜0時近くまで、塾生たちはDUOや速読英単語を音読している。

     

    家では100%集中できない。家で7時間勉強したといっても密度は薄い。塾での勉強は、密度92.5%ぐらいの濃度はあるのではなかろうか。

    塾をはじめて訪れる方は、自習室の殺気に驚かれる。

     

    また、うちの塾は英語・国語・社会の塾だが、長期休暇は理系教科、数学・物理・化学は京大のI君が個別指導を受け持ってくれる。彼はどんな問題も解いてしまう大秀才なので助かっている。

     

    僕はどうやったら志望校に合格できるか、徹底的に戦略を立てる。苦手科目を埋め合わせ、得意科目を武器にする方策を練る。ロカビリー先生は私が大学受験に果たす役割について、「プロデューサー」だと指摘して下さった。やる気を前面にアピールする子に対して、サポートに抜かりがない。

     

    こんな塾だから、大学受験に本気中の本気の高3生には居心地がいいと思う。逆に中途半端な気持ちだと腰が引ける。塾生のほとんどは厳しい部活を耐え抜いた体育会系だ。高3の6月くらいに部活を引退して、その勢いを勉強に向ける。

     

    僕がめざすのはあくまで幕末の「適塾」「松下村塾」である。若者が学問に熱いエネルギーを向け、切磋琢磨し競い合う。

     

    ところで、勉強に対する意識レベルは4つある。

     

    一番下は「指示されたことをやってこない」論外。

    その次は「指示されたことはやってくる」普通レベル、及第点。

    その上は「指示された以上のことをやる」こうなると一流。

    最高なのは「指示しなくても勝手にやる」誰もがこうなってくれるといいが、うちの高3の大部分は、「指示しなくても勝手にやる」いまどき珍しい主体的な若者である。

     

    そんな若者に囲まれていると、仕事が楽しくてしょうがない。



    ★開成塾・大学受験
    定員7名・日本の将来を震撼させよ

     

    | 大学受験 | 18:38 | - | - | ↑PAGE TOP
    京都大学に落ちる理由
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      京都大学は、独自の世界を持つ大学である。私の交流範囲だけでも、京都大学出身・在学の人は、いい意味で一癖二癖ある。

      京大界隈を歩いていて、細身の学生を見ると、森見登美彦みたいな文学的感性が詰まっているのか、あるいは湯川秀樹のような理系の研究者肌なのか、頭の中をあれこれ探ってしまう。

       

      京都大学は入試問題が独特だ。私は文系科目しかわからないが、英語は英文和訳と英作文、国語は「傍線部を説明せよ」といった記述問題ばかり、とにかく書く力が要求される。

      こんな難しくクセのある入試問題をパスした京都大学のOBや学生に、頭が良くユニークな変人が多いのは納得できる話である。

       

      京都大学の問題を見れば、どんな学生を求めているのかがわかる。東大や慶応みたいな情報処理型の仕事がバリバリできるタイプではなく、子供のような探究心を残した受験生を誘っているのが一目瞭然でわかる。

       

      だから、センターのようなデジタルな問題が少々できたからといって、京大2次のアナログの魔窟のような問題が解けるとは限らない。

      英語にせよ国語にせよ、センターのように地表でキノコを採るわけにはいかない。シャベルで自分の脳味噌の中の教養を掘り進めなければならない。

      頭が硬い、地面が土でなくコンクリートで固められているような子が、センターができたからといって京大に挑戦し不合格になり、広大あたりに志望変更したというケースはよく聞く話である。

       

      京大は書く力が求められる。京大の問題は、受験生が小説家で、講師が編集者のつもりになって、ひっきりなしに原稿のやり取りをし、はじめて合格答案が完成する。講師と生徒が1対1の個別で向き合わないと、完成度の高い答案を書くのは難しい。

       

      論述問題は主観的に「自分が書けた」と思っても、客観的に見れば「全然ダメ」な文章になってしまう。シビアな目にさらされてこそ文章力は伸びる。特に京大はそうだ。

       

      また京大の問題は、添削する側にも力が必要で、講師が生半可な力しか持たなければ添削できない。英語にしろ国語にしろ、講師が京大の問題が求めている本質に気づかず、講師も生徒もお互いが自己満足な添削では、京大教授に認められる答案は書けない。

       

      私の頭の中には、京大OBや在学生の方の顔が何人か浮かんでいるが、彼らはほぼ例外なく、頭の土壌が長年の読書で涵養され、シャベルが抵抗なくサックリ入るような、豊かな教養と英知の持ち主である。


      ★開成塾・大学受験
      しまなみ海道の「凛」とした知的空間

      | 大学受験 | 16:38 | - | - | ↑PAGE TOP
      わが塾の受験
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        わが塾の受験も、終わりを告げた。

        受験結果はHPに掲載してある。

         

        わが塾は「厳しい塾」なのだと思う。退塾者も多い。でも本気で学力を伸ばしたい、自分の力を試したい子には、居心地がいいと思う。厳しい部活が、ハードだからこそ、やり甲斐があるように。

        とにかく最後までよく耐え抜いたと思う。

         

        毎日平日は深夜0時まで、土日は朝9時から夜10時まで自習室を開けた。私は1月1日以来、休みを取っていない。高3生は自習室にフルで参加していた。1日12時間勉強しても、「まだやり足りない」みたいな顔をして帰って行った。

         

        指導に妥協してもいい。妥協した方が経営的にはプラスだ。だが僕は才能を眠らせたくない。ガツンとした子にはガツンと返したい。その思いだけは曲げないようにしたい。


         

        実は大学受験で、あと2問で浪人生活を余儀なくされた男の子もいる。筆舌に尽くしがたいほど頑張ったのに、合格させることができなかった。彼には本当に申し訳ない。何ておわびしたらいいかわからない。

         

        たったあと2問。悔やんでも悔やみきれない。

         

        彼はすべり止めを蹴って、もう1年、僕と一緒に頑張ることになった。これから週6回、昼は彼とマンツーマンで戦う。彼を合格させるための作戦で、いま頭がフル回転している。

         

        彼は人間性が極めて高く、真直ぐな若者だ。天然記念物みたいな男だ。彼の悪口を言う人を見たことがない。

         

        僕のような少し斜に構えた性格の男にとって、真直ぐとか素直という言葉は、嫌悪すべきものだった。しかし彼のような正直で歪みのない純粋な男に出会って、いつの間にか宗旨替えしてしまった。

        やっぱり真直ぐとか素直というのは、いいことなのだ。彼を慕って、周囲の人間が一生懸命になる。知らない間に組織は彼中心に回っている。

         

        彼は紳士的な物腰で、表面は草食系だが、芯の強さは肉食系だ。中途半端が嫌いな男で、大きな目標を掲げ、それに向けて努力を重ねられる男だ。

        彼の場合、言葉より行動が先行する。

         

        彼は1年間、浪人生としてストイックな生活を送る。僕も彼に倣って1年間、最大の趣味である旅行を断つことにした。海外旅行は一切しない、国内移動は奈良と福岡に限定。とにかく後悔のないように全力を尽くしたい。

        1年間で、僕が42年生きて得たすべてを、彼の頭脳にぶち込んでやろうと思う。

         

        彼のような爽やかな人間を教え子に持つことは、私の誇りである。



        ★開成塾・大学受験
        尾道市向島・しまなみ海道の「知的空間」



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